既報の通り、米AMDは6月5日(現地時間)に「Richland」の開発コードネームで知られる新世代APUの、デスクトップ向けモデルを発表した。内部的な構造は前世代Aシリーズ「Trinity」と同様で、CPUコアがBulldozerベースのPiledriverコア、GPUコアがDirectX 11に対応したVILW4世代のコアを採用。ソケットもSocket FM2をそのまま維持する

RichlandはTrinityと比較して、どのくらい性能差があるのか、それぞれの最上位モデルを用いてベンチマークテストを行った。

クロックの向上と最大対応メモリを強化

製造プロセスは32nmで、ダイサイズは246平方mm、トランジスタ数は13.03億個。統合GPUは、新たにRadeon HD 8000シリーズを備える。ただスペック的にはTrinityほとんど変わらず、HD 8000にリブランドしたものと思われる。

Richlandのダイ

発表されたラインナップは、「A10-6800K」「A10-6700」「A8-6600K」「A8-6500」「A6-6400K」の5モデル。型番末尾に"K"がつくモデルは、従来同様に倍率ロックフリーのオーバークロック向けモデルとなる。

従来世代とのパフォーマンス比較

さて、RichlandとTrinityの違いとして、動作クロックと最大対応メモリの2点がまず上げられるだろう。

最上位モデル同士の比較では、Trinity世代の「A10-5800K」がCPUクロック3.8GHz(Turbo Core時4.2GHz)、GPUクロック800MHz。一方、Richlandの最上位モデル「A10-6800K」では、CPUクロック4.1GHz(Turbo Core時4.4GHz)、GPUクロック844MHzとCPUではおよそ10%、GPUでは5.5%クロックを引き上げている。

■スペック比較
モデル A10-6800K A10-5800K
コア数 4 4
定格クロック 4.1GHz 3.8GHz
Turbo Core 4.4GHz 4.2GHz
共有L2 4MB 4MB
最大対応メモリ DDR3-2133 DDR3-1866
GPU Radeon HD 8670D Radeon HD 7660D
GPU SP数 384基
GPUクロック 844MHz 800MHz
TDP 100W 100W

最大対応メモリは、「A10-5800K」がDDR3-1866MHzまでサポートしていたところ、「A10-6800K」ではDDR3-2133MHzまでサポートする。

AMDではRichlandとTrinityのパフォーマンスを比較した資料を公開。これによると、Richlandでは、3DMarkで21%、PCMark 7で8%、TrueCryptで11%のパフォーマンス向上が見られるとしている。

従来世代とのパフォーマンス比較

今回のテスト環境

それでは今回のテスト環境を紹介しよう。ベンチマークはA10-6800KとA10-5800Kで行う。

A10-6800K

A10-5800

パッケージの裏側もほとんど見分けがつかない

CPU-Z 1.64での表示

GPU-Z 0.7.1での表示

マザーボードはチップセットにAMD A85Xを搭載するGIGABYTEの「GA-F2A85X-UP4」を使用した。既存のFM2マザーボードを使う際に、BIOSのアップデートが必要になると一部マザーボードベンダよりアナウンスされている。「GA-F2A85X-UP4」も、2013年3月にGIGABYTEからRichlandに対応したBIOSが提供されている。

またテストに当たり、RichlandではDDR3-2133MHzの高クロックメモリをサポートしているため、メモリクロックを1866MHzと2133MHzに設定して、それぞれベンチマークを行う予定だった。

しかし、1866MHz以上に設定すると、Richland、TrinityともにOSが起動しないというトラブルが起こったため、今回はクロックを1600MHzに設定してテストを行った。このほかの環境は以下の表にまとめた。

■今回のテスト環境
APU A10-6800K A10-6800K
ドライバ Catalyst 13.5 Beta Catalyst 13.2
M/B GA-F2A85X-UP4(AMD A85X
RAM Kingston KHX2133C9A03X2K2 2GB×2枚
Storage Samsung SSD 840 250GB
Power ANTEC TruePower Quattro 1000W 80 PLUS
OS Windows 8 Pro 64bit(Build 9200)

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