ニコン「COOLPIX A」は、28mm相当の単焦点レンズを搭載したコンパクトデジカメだ。ポケットに収まる薄型軽量ボディながら、撮像素子にはシリーズ中で最大となるAPS-Cサイズ相当(23.6×15.6mm)の大型センサーを搭載。その画質と機能、使い勝手をレビューしよう。
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ニコン、シリーズで初めてAPS-CサイズCMOSセンサーを搭載する「COOLPIX A」(2013年3月5日)
近ごろ、「高級コンパクトデジカメ」が愛好家層を中心に人気を集めている。通常のコンパクトデジカメよりもワンランク上のレンズとセンサーを備え、外観や操作性にもこだわったカメラである。中でも画質面で特に有利なのは、APS-Cサイズ以上の大きなイメージセンサーを搭載した高級コンパクトだ。APS-Cサイズ以上なら、一眼レフ機に遜色のない画質、あるいは一眼レフ機に勝る画質を得られる、と考えて良い。
そんな中、一眼レフの分野でキヤノンと双璧をなすニコンからもいよいよ、APS-Cサイズの大型センサーを搭載した高級コンパクトが登場した。COOLPIXの新ライン第一弾となる「COOLPIX A」である。
まずは外観から見てみよう。ボディはやや横に長い長方形のシンプルなデザインを採用する。外装は、天面がマグネシウム合金で、前面や背面にはアルミニウム合金を使用。外装の表面には薄いシボ処理が施され、手触りは心地良い。サイズは手のひらに隠れるくらい小さく、ポケットにもすっぽりと収まる。
天面の電源レバーを回すと、レンズバリアが開いてレンズが約1.2cmせり出し、約1秒で素早く撮影スタンバイの状態になる。両手でも片手でも、構えたときのホールド感は悪くない。
レンズには、35mmフィルム換算で28mm相当の焦点距離を持つ単焦点レンズを搭載する。CMOSセンサーと合わせて本モデルのために専用設計されたレンズであり、光学性能は良好だ。四隅までシャープに解像し、気になる色収差や歪曲はほとんど見られない。マクロモード使用時に最短10cmmで近寄れる接写性能の高さもうれしい。
28mm相当という焦点距離については、メモやスナップ、風景写真などに使いやすい焦点距離といえる。薄型軽量を重視しているため、手ブレ補正機構に非対応なのは少々残念なところ。とはいえ、レンズの開放値がF2.8とまずまず明るく、高感度の性能も優秀なので、手ブレ補正がなくても実用上で困ることはあまりないだろう。
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