スマートフォンやオーディオプレイヤーなどに、良質なサウンドを求めるユーザーにとって、非常に大きなポイントとなるイヤホン選び。前回までのレポートでご紹介した「実売1万円台前半の高品位イヤホン」「実売2,000円以下のお薦めイヤホン」に続き、本レポートでは、ハイクオリティな製品が目白押しの「実売3万円以上の高級イヤホン」について、まとめてレポートをお届けする。一般のユーザーが、購入を決断するにはかなり勇気のいる価格となっているイヤホンではあるが、高級素材を使用した各種パーツやスペック、それらが生み出す優れたサウンドにユーザー自身が相応の価値を見出だすことができれば、まったく損はないといって良い秀逸な製品ばかり。ご自分の予算や好みのサウンドと比較しながら、憧れの高級イヤホンの世界を味わってみてはいかがでしょうか。

SONY MDR-EX1000(実売3万8,000円前後)

低域から高域までバランス良く繊細でクリアなサウンドを再現し、オールジャンルで理想的なリスニング環境を実現する。耳にあわせてハンガーの形状を変えられる耳掛けスタイル、および直径16mmの大口径ドライバーユニットを外耳道に対して垂直に配置する密閉型バーティカル・イン・ザ・イヤー方式を採用し、自然な装着感と優れたサウンドを両立。ボディーは、軽量かつ堅牢なマグネシウム合金製となっており、筐体とドライバーユニットを一体化されている。2種類の硬度のシリコンを組み合わせたハイブリッドイヤーピース、遮音性を追求したノイズアイソレーションイヤーピース、2種類の長さを使い分けられる着脱式コード(0.6mと1.2m)などが付属し、シーンにより使い分けも可能。

SENNHEISER IE80(実売3万3,000円前後)

イヤーモニターとして、アーティストにも愛用者の多い同ブランドのダイナミック型イヤホン。すべての帯域において優れた音の表現力と臨場感を再現し、音楽鑑賞用途にも優れた性能を発揮する。デザイン的な特徴ともなっているハウジングトップにはアルミプレートが採用され、耳の上からコードを取り回す耳かけ式に最適なハウジング形状となっている。また、イヤーフック、ケーブルクリップを装着することで、さらなる安定性を確保できる。なお、付属のドライバーでダイヤルを回すことで、左右それぞれ個別に低音の量感をコントロールすることができる音質調整機能も搭載しており、好みや音楽的趣向に合わせたカスタマイズを行える。

audio-technica ATH-CK100PRO(実売3万4,000円前後)

低音・中音・高音のそれぞれの音域毎に専用ドライバを設けた、3WAYトリプル・バランスド・アーマチュアドライバーを内蔵。各ドライバーは、新設計のネットワークにより自然なつながりを生み出し、スムーズかつバランスの良い連携駆動を可能としている。さらに、ドライバーの再生音をより忠実に伝えるホーン形状の導管「ACOUSTIC HORN」を組み合わせた高い表現力は、クラシックやジャズなどの繊細なサウンドのリスニングにも最適だ。なお、存在感のあるハウジング部は、不要な振動を抑制する超小型・軽量のチタン素材となっている。人の体温でイヤピースの素材が非常に柔らかくなり、耳の内側に圧迫感なく密着するコンプライ社製フォームイヤピース T500(Mサイズ)も付属。

SHURE SE535(実売3万8,000円前後)

3基の高精度MicroDriver(シングルツイーターとデュアルウーハー)を搭載し、豊かな低域を備えた奥行きあるサウンドを再現するイヤホン。最大37dBまでの雑音をカットするという高い遮音性能とフラットで原音に忠実なサウンドは、ライブステージなどでのイヤモニターとしてはもちろん、外出時のベストなリスニング環境としても活躍してくれる。付属のコードは、脱着式かつ耐久性のあるケブラー強化ケーブルとなっており、交換およびカスタマイズも容易だ。3種類のサイズ(S、M、L)のソフトフレックスイヤパッドとソフトフォームイヤパッド、トリプルフランジイヤパッド1組、イエローフォームイヤパッド1組が同梱されており、好みに合わせて幅広いチョイスが行える。

Ultimate Ears UE 900(実売3万9,500円前後)

低音に2基、中音に1基、高音に1基と、左右4基ずつのバランスドアーマチュアを搭載する豪華なクアッドドライバー仕様が、深みと明瞭さを併せ持つ広大なサウンドを実現。一世を風靡した同社イヤホン「Triple.fi 10 Pro」の後継モデルとなっており、高解像度を誇るサウンドをブラッシュアップすると同時に、さらなる装着感と安定性の改善がなされている。iPhoneやiPodで曲変更や音量調節などを操作できるマイク/マルチファンクションボタン付きケーブル、およびオーディオケーブル、さらにシリコン製ソフトイヤーチップ4サイズ(XXS/XS/S/M/L)、高い遮音性と優れたフィット感を生み出す低反発ポリウレタン製Complyフォームチップ3サイズ(S/M/L)などが付属する。

なお、今回紹介したような高いサウンド再生能力を持つイヤホンの魅力を最大限に活かすなら、MP4やMP3などの圧縮フォーマットでなく、Apple LosslessやFALCなどのロスレスフォーマット、またはWAVやAIFFといった非圧縮フォーマットを利用して音楽データを取り扱うのがお薦めだ。さらに、楽曲を再生するアプリやヘッドホンアンプなどについても、標準搭載のものだけでなく様々なバリエーションを試すことで、サウンドクオリティーの向上や、より自分に最適なサウンドを見つけられるだろう。もちろん、高級イヤホンだけでなく、安価なイヤホンでも音楽データのフォーマットやアプリを変更するだけでサウンドの変化を楽しめるので、ぜひ気軽にお試しいただきたい。

内山秀樹
ライター/サウンドクリエイター/ITコンサルタント
10代の頃より、楽器メーカーの製品開発やインストラクションなどに参加。既存の製品にも多くのデータなどを提供中する。現在はフリーランスとして、PC誌/音楽誌への執筆活動をはじめ、作曲、編曲、WEBプロデュース、ITコンサルティング、ゲームサウンド製作、学校講師など多岐にわたる幅広い活動を展開中