給電機能やリモート操作などスマートフォン連携を強化

スマートフォン関連の機能が充実している点にも注目したい。まず、Wi-Fi接続用に専用の無料アプリ「AtermらくらくQRスタート」を用意。アプリを起動し、スマートフォンのカメラ機能を使って、AtermWM3800Rに同梱されるQRコードを読み取るだけで、AtermWM3800RにWi-Fi接続できる。SSIDや暗号キーを入力する必要がないので便利だ。ただし、同梱のQRコードには、SSIDや暗号化キーなどの情報も含まれているので、紛失しないよう大切に保管しておこう。

「AtermらくらくQRスタート」は、iOS版もAndoroid版もある。AtermWM3800Rに同梱のQRコード(写真左)を読み取ると、各種情報が表示される(写真右)。「設定適用」をタップすれば、自動的にWi-Fi接続が可能だ。写真の例はAndroid版

同じく無料のアプリ「Aterm WiMAX Tool」を使えば、スマートフォンやPCから端末の状態をチェックできる。AtermWM3800Rをバッグやポケットに入れたままでも、バッテリ残量や電波状況を確認できるので便利だ。

AtermWM3800Rの電波状況やバッテリ残量を確認できる「Aterm WiMAX Tool」(写真左はAndroid版、写真右はWindows版)。iOS用/Android用のスマートフォン向けアプリのほか、Windows版やMac OS X版も用意されている

アプリを常駐しておくと、ステータスバーにバッテリ残量が表示される

Android版のアプリなら、さらにAtermWM3800Rをリモート操作できる。「休止状態」ボタンをタップすることで、AtermWM3800Rが休止状態になるのだ。この状態から「リモート起動」ボタンをタップすれば、AtermWM3800Rを通常の待ち受け状態へと復帰させられる。わざわざ電源ボタンを操作しなくて済むので、外出時にAtermWM3800Rを使うときに、カバンから出す必要もないのだ。

Android版アプリからリモート操作でAtermWM3800Rを休止状態にしたり、休止状態から復帰させたりできる

なお、この機能で注意しておきたいことがある。休止状態からのリモート起動には、Bluetoothの電波を利用している(インタフェースとしてのBluetoothを利用しているだけで、Bluetoothデバイスとしての機能は持たない)。そのため、PCやほかの端末でBluetoothデバイスを検索すると、休止状態のAtermWM3800Rが見えてしまうのだ。

AtermWM3800RはBluetoothデバイスではないのでペアリングは行われず、WiMAXやWi-Fiにタダ乗りされることはないのだが、ペアリングを試されると休止状態から復帰してしまう。とはいえ、ペアリングを試みた端末とAtermWM3800RのWi-Fi接続が確立されなければ、AtermWM3800Rは再び自動的に休止状態へ移行する。この挙動が気になる人は、AtermWM3800Rの電源や待機モードを手動で操作するほうがいいだろう。

さらに補足すると、Androidアプリで休止状態から復帰させる機能を使うには、AtermWM3800RのWeb設定画面で「リモート起動」を有効にしておく(デフォルトは無効)。有効から無効へ切り替えるには、AtermWM3800Rを工場出荷状態へ戻す必要がある(ハードウェアリセット)。この操作をすると、Wi-Fi設定などもクリアされる点は覚えておきたい。

AtermWM3800Rの「リモート起動」を有効にすると、Bluetoothデバイスとして検索される(写真左)。ペアリングは行われないので、不正にアクセスされる心配はない(写真右)

新たに搭載された、スマートフォンへの給電機能も便利。付属のUSB給電ケーブルでAtermWM3800Rとスマートフォンを接続することで、AtermWM3800Rのバッテリを使ってスマートフォンを充電できるのだ。AtermWM3800R側のバッテリ残量が20%に達した時点で給電が自動停止するため、AtermWM3800Rがバッテリ切れになることはない。自動停止する残量は、40%や80%に変更することもできる。ただし、スマートフォンを満充電できるほどのパワーはないので、あくまでも緊急手段と考えておこう。

付属のUSB給電ケーブル(写真左)。このケーブルを使ったときのみ、AtermWM3800Rのバッテリから電力が出力される。コネクタ部分に電気の流れる方向を示す矢印を表記しているのは良い配慮。スマートフォンと接続するには、さらにUSB(A端子)とUSB(micro B端子)のケーブルが必要となるが、付属もするし(写真中央)、スマートフォンのユーザーなら1本は手元にあるはず

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今回はAtermWM3800Rの外観や注目機能について紹介した。レビュー後編では、実際の通信速度やバッテリ駆動時間のベンチマーク結果などについてお伝えしよう。