2012年11月28日~30日に「FileMaker カンファレンス 2012」が開催された。29日の午前中に実施されたオープニングセッションには、ファイルメーカー株式会社社長のビル・エプリング氏らが登壇し、FileMakerソリューションの現状などについてプレゼンテーションを行なった。同日午後、エプリング社長と米FileMaker,Inc.のプロダクトマネジメント シニアプロダクトマネージャーのテリー・バーウィーゲン氏の両氏に、FileMaker 12ファミリーをめぐる状況を中心に話を聞くことができたので、その模様をご紹介しよう。
FileMakerにとって日本の市場は重要
――エプリング社長には、昨年のカンファレンスの際にも、オープニングセッションの後にインタビューに応じていただきましたね。
エプリング 多くの皆さんが集まるこのオープニングセッションのような場では、経営の上層部である私がお話ししなければ失礼にあたると思っています。FileMakerにとって日本の市場はとても重要です。私は米FileMaker,Inc.のCFO(最高財務責任者)という立場でもあり、日本での事業に前向きな影響力を持って取り組んでいます。そのように力を尽くしていることをご理解いただきたいと思っています。
――具体的に、日本ではどのような業務に携わっておられるのですか?
エプリング 日本では、ユーザやメディアの皆さん、そして社内のメンバーと直接話すことに加え、主にiOSソリューションに関してアップルとも常に緊密に連携しています。たとえば銀座のApple Store直営店で行なわれたバージョン12の新製品発表会では、登壇してプレゼンテーションを行ない、日本のお客様に直接メッセージをお伝えしました。
――テリーさんは、オープニングセッションでの担当パートをすべて見事な日本語で説明なさったので、驚きました(※)。日本のユーザの前でプレゼンテーションをするのは2002年のMacworld Expo Tokyo、アップルのキーノートアドレス(基調講演)以来とうかがっていますが。
バーウィーゲン いやいや、日本語の間違いも多くて……。大学で日本の古典文学を、大学院で翻訳理論を勉強しましたし、日本に1年間住んでいたこともあります。日本でプレゼンテーションをするのは約10年ぶりですが、米国で開催されるFileMaker Develper Conferenceでは日本のユーザと話をしていますし、日本のユーザとはメールでのコミュニケーションも日頃からあります。日本の皆さんの前でお話しでき、皆さんの反応も素晴らしくて、うれしく思いました。
※バーウィーゲン氏はオープニングセッションの一部を担当し、そのプレゼンテーションを日本語で行なった。なおこのインタビューにあたっては、正確を期して英語で話していただいた。
――FileMaker 12ファミリーが登場して約7カ月経ちました。推移はいかがですか?
エプリング たいへん好調で、売上も記録的です。また、無償化したFileMaker Goのダウンロードは私たちの期待を超える、驚くべき勢いです。ダウンロード数については、近々ひとつのマイルストーンへの到達をお伝えできる予定です。
――ファイルフォーマットが変更されたことで、バージョン12へのアップグレードを躊躇するユーザもいるのではないかと思われますが。
エプリング 私たちの独自の調査では、大きな影響はありませんでした。バージョン12はバージョン11よりも速いペースで売れていますし、前回のファイルフォーマット変更にあたるバージョン6からバージョン7のときと比較しても速く移行しています。複数のソリューションを動かすための調整は必要ですが、それでもバージョン12を使うメリットがユーザの皆さんに受け入れられていると思います。
バーウィーゲン ファイルフォーマットを変更することにより、たとえばネットワークのプロトコルやiOSとの連携など、これまではできなかったことがたくさんできるようになります。移行するメリットは大きいのです。私たちは、ファイルをスムーズに移行できるように十分配慮しました。移行のために長いドキュメントが必要なんて、困るでしょう? シンプルな手順で移行できるようにした上で、バージョン12をお届けしています。
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