インテルが11月2日~4日の3日間、北海道のJR札幌駅を会場にUltrabookのユーザーイベントを開催した。各メーカーの最新Ultrabookを一堂に集め、スタッフの解説なども聞きながら実際に触れて体験できるというイベントだ。同社代表取締役社長の吉田和正氏も会場入りし、道行く人々に直接Ultrabookの魅力を訴えるなどしていた。

JR札幌駅の構内に、最新Ultrabookを体験できる特設会場が出現

よく見ると、スタッフに混じってインテルの吉田社長も呼び込みを行っていた

Ultrabookは登場から1年が経ち、ラインナップが充実しただけでなく、コンバーチブル型などの新たなコンセプトのモデルも追加され、またコンバーチブルと相性の良いタッチUIを備えるWindows 8の登場などもあって、これまで以上に注目されている。このイベントは、既に終了した10月末の福岡会場でのイベントからスタートし、今回が札幌、次回が11月10日~11日に名古屋での開催が予定されている、3週連続で実施中のUltrabookイベントだ(詳細はこちらの記事の文末を参照)。

利用スタイルにあわせたテーマ毎のブースでは、専門スタッフから直接解説なども聞きながら最新Ultrabookに触れることができる

こちらのブースでは性能の高さを実感できるデモとして、古いA4ノートと最新Ultrabookでのアプリケーション動作速度の比較ベンチマークなどを実施していた

アンケートに答えて参加できる抽選会も開催。LEDライトは参加賞で全員もらえる

各会場共通で、Ultrabookの様々な魅力を、テーマ毎に区切った展示ブースで体験できる。発表されたばかりの最新Ultrabookが数多く出展されているので、それだけでも一見の価値があるだろう。恒例の、アンケートに答えて参加できるプレゼント抽選会なども用意されている。

展示されていた最新Ultrabookも少し紹介。ソニーのコンバーチブルUltrabook「VAIO Duo」

レノボのコンバーチブルUltrabook「Yoga」

レノボの「ThinkPad X1 Carbon」。A4最薄最軽量をうたう高性能Ultrabookだ

スライドディスプレイが特徴の東芝「dynabook R822」

スタイリッシュなカラーリングも特長の富士通「Floral Kiss」

パナソニックのコンバーチブルUltrabook「レッツノートAX」

NECの世界最軽量Ultrabook「Lavie Z」

日本HPの「HP ENVY」最新モデルも

Ultrabookは新たな付加価値を先導する存在になる

インテル 代表取締役社長 吉田和正氏

当日の会場では、イベント用のスタッフジャンパーを着込み、道行く人に声をかける同社吉田社長の姿も見られた。今回、インテルの好意で、イベントの合間をぬって吉田氏のお話を伺うこともできた。将来の製品に関係する興味深い話題も出たので、紹介しておきたい。

まず今回のイベントについてだか、このような体験型のユーザーイベントは、同社がかなり長期間取り組んできたものだそうで、PCの無線LANを一般的にしたCentrinoのころから実施しているのだそうだ。

Centrinoの登場当初は、今でこそ当たり前の、PCを無線でネットワークに接続してモバイルする、という利用スタイル自体が広く認知されているものではなく、ごく普通のPCユーザーにとっては、そうのような利用スタイルをイメージすることすら簡単ではなかった。そこで、どうやったらその価値を知ってもらえるか、という課題のひとつの答えとして、ユーザーに直接利用スタイルを提案し、実感してもらえる場を設ける必要があったのだという。

これは今回のUltrabookでも同様で、Ultrabookの薄さと軽さは、PCを使った働き方やライフスタイルを変えられる技術的要素であり、吉田氏には「ライフスタイルを変えられるツールということを、体験して知ってもらいたい」という思いがあったのだそうだ。今回のイベントの内容も、そのため、実際の利用シーンや、使い道に具体的にフォーカスする内容となっている。

また、ユーザーと直接コミュニケーションし、アンケートなども実施することで、ユーザーの生の声を、リアルタイムに得ることができ、すぐに製品の方向性に活かすことも、イベントを続けている理由なのだそうだ。ちなみに今回、途中までのユーザーの反応を集計中のデータでは、来場したユーザーは、特にUltrabookのタッチ操作と薄さ、それとコンバーチブルモデルの機構への注目度が高いとのことだった。

また興味深いのが、来場して実際にUltrabookに触れた人々が、アンケートの結果、90%近い割合で「購入したい」と回答しているのだそうだ。これは「さすがに全てが実際購入するという割合ではないだろうが、これまでに無い高い数字」(吉田氏)だそうで、吉田氏はUltrabookの今後に「手ごたえを感じている」と評価している。実際に触る前と後では、後の方が購買意欲が高まっているというデータもあるそうで、Ultrabookの製品としての魅力の高さの一方、「魅力を伝えきるのは大変なのだという実感がある」(吉田氏)との反省もあったようだ。

吉田氏はUltrabookの今後について、そのビジョンも紹介してくれた。1年前の登場時は、薄く、軽いだけでなく、コスト的に安価で、お買い得というのもポイントだったUltrabookだが、これからは、吉田氏によれば、「付加価値を認めてもらう方向に行きたい」と考えているのだそうだ。

吉田氏は「Ultrabookと普通のクラムシェルで、(同じパソコンなので当然あり得る理屈として)部材のコストの共通化が進んでいる。将来は、クラムシェルとUltrabookは薄さや軽さでは融合していく。A4もきっと薄型軽量へと進化しているだろう。どこかの時点で、Ultarabookでなくとも、PCはすごい薄くて軽くなる」と説明する。その時になっても、「その時には、Ultrabookは新しい価値を実現している。インテルはUltrabookを、(薄さや軽さだけでなく)さらに進化させている。インテルのプラットフォーム戦略では、Ultrabookは、常に何らかの付加価値を持ち、夢を見せるような存在であり続けるものと位置づけている」という。

Ultrabookが同社のプラットフォームを先導する重要な存在になっていることは、かなり強調されており、現行の同社のプロセッサは第3世代CoreことIvy Bridgeだが、吉田氏は「第4世代CoreのHaswell、さらにその先のアーキテクチャでも、新しい機能や性能は、常にUltrabookで付加価値を与え続けると考えている。PC全体の付加価値が高まっていく中で、ベストの価値はUltrabookに、という状態になる。今の世代では、薄さ軽さ、起動の速さなどの価値をUltrabookが先導した。今後、プラットフォームの進化の先端を行くのはUltrabookということになる」と述べていた。