10月2日より千葉県・幕張メッセで開催中の「CEATEC JAPAN 2012」ライフ&ソサエティステージに出展しているベトナムの「TOSY ROBOTICS JSC」(出展小間位置 5B104)が、自社ブースにて"ダンスロボットに変形するポータブル・スピーカー"「mRobo」のお披露目会を行った。

CEATEC JAPAN 2012のTOSY社ブース

日本初公開の"可変"ロボ・スピーカー「mRobo」

TOSY社はこれまでに「TOOP」「AFO」といったハイテク・トイや、オーディオ関連製品を手がけてきたメーカー。1月に米ラスベガスで開催された世界最大の家電見本市「CES2012」で、初めて「mRobo」の試作品を公開し、ジャスティン・ビーバーを招いたイベントとともに世界中で話題となった。今回のCEATECでは、製品化に向けてさらに進化したバージョンを出展しており、3日11:00からのステージが日本での初公開となった。

「mRobo」はまず、スタッフに抱えられてスピーカー形態で登場。最初は想像よりも大きい印象で"ブーンボックス"と呼ばれる大型ラジカセを思わせたが、資料によれば幅20cm強。実際はそこまで大きくないようだ。TOSY社によれば、このサイズの決定こそ、ポータブル性と高音質・重低音を両立させるために一番頭を悩ませた点だとか。

腹部のスピーカーから音が出はじめると、いよいよ変形スタート。左右にはね上げたような形の脚が展開され、そのままスクッと立ち上がる。ボディの前方に収まっていた腕が動き出す。胸部が開き、収納されていた頭部が「ジャキーン!」という勢いで飛び出すと、変形完了! CESの試作バージョンより、はるかにスタイルがよくなった。

そして、自ら流すマイケル・ジャクソン「ビリー・ジーン」などのダンスMIXに合わせ、キレのある動きでダンスを披露。まだ少々あぶなっかしく、スタッフの助けを借りる場面も多かったが、見事に踊り切って最後は再びスピーカー形態に戻ってみせた。まさに、80'sロボットアニメ世代の夢のキーワード"可変"がここに実現! といった趣きで、変形パターン自体はシンプルだが、やはり自動変形は感動モノだ。

スピーカー形態で登場した「mRobo」

脚が展開され変形中

頭が飛び出し、ヒューマノイド形態完成!

以下、配布資料を元に「mRobo」のスペックをご紹介しよう。

サイズはスピーカー形態で幅210×奥行120×高さ245mm、ヒューマノイド形態で幅640(両腕を広げた時)×奥行120×高さ600mm。重量は2.5kg。リチウムポリマー充電池(15V、1500mAh)で駆動し、動作時間はミュージックモードで6時間、ダンスモードで2時間。可動部自由度は頭部2、腕4×2、脚3×2で計16。接合部は合計27に及ぶ。内蔵メモリは2GBで、インターフェースはUSB2.0とBluetooth、3.5mmオーディオジャックを搭載。スピーカー出力は30W(サブウーファー×1、ツィーター×2)。バッテリーと充電器、リモコンが付属する。

提供形態などは未定だが、mRobo専用ソフトウェアも用意。専用サーバ「TOSY StoreRobo」からモーションファイルをダウンロードしてmRoboと同期させる「Tune Robo」と、ユーザー自身がmRoboのモーションファイルを作成・編集し、サーバに投稿もできる「Edit Robo」の2本のリリースが予定されている。

「mRobo」変形前後のCGイメージ

TOSY社の国際広報担当、チャン・ファムさん

ステージ終了後には、通訳担当の方を通して、国際広報担当のTRANG PHAM(チャン・ファム)さんはじめスタッフの方にさまさまなお話を聞くことができた。「mRobo」は来年夏の世界発売を予定しているが、現時点では販売チャネルなどは未定とのこと。価格もまだ全くの未定だが、200ドル代の戦略的な低価格を目指しているという。もし実現すればとんでもなく安い!! が、あくまで未定なのであしからず。

基本的な設計は完成しているが、外装デザインなどは、発売に向けてさらに改良されるとのこと。現状ではスピーカー形態でも手足がどう収まっているか分かるが、製品版はよりカッチリと箱っぽくしたいそうだ。いわば「ゴールドライタン」や「サウンドウェーブ」のようなソリッドなスタイルに近づくのか? 変形前後のカタチに差があるほど意外性があってインパクト大なので、ぜひその方向での完成を期待したい。


CEATECのTOSYブースでは「mRobo」の他にも、来年夏に発売予定の2種類のロボット・トイを出展している。ブース正面右手で実演されているのが「DiscoRobo」。音に反応して踊るダンスロボットだ。音楽に限らず、手拍子を打つだけでもリズムに合わせて踊ってくれるのが面白い。

カラーはブルーとピンクの2種類で、本体のみの「SINGLE」の他、MP3プレーヤー内蔵のポータブル・スピーカーを同梱した「SUPERSTAR」という製品も発売される。価格はmRobo同様にまだ未定だが、前者は60ドル程度、後者は120ドル程度を想定しているという。

リズムを感じてダンスする「DiscoRobo」

「SUPERSTAR」タイプの"Try me"パッケージも展示

ブース左手では、オートマタ以来のスタイルのお絵かきロボット「SketRobo」が実演されている。右腕が稼働し、内蔵メモリに記憶されたさまざまな線画を描くことができる。今回の実演では、有線接続されたPCで絵柄を指示していたが、製品版では台座部分にユーザーインターフェースが設けられる予定だとか。価格は100ドル程度を想定しているが、やはり現在はあくまで未定。ちなみに、来年1月の「CES2013」では、このバージョンとは別に、頭部にカメラを内蔵し、顔認識と輪郭抽出で似顔絵を描くバージョンも参考出展する予定だそうだ。

お絵かきロボ「SketRobo」。「學天則」なども想起させる?

右腕が稼働し、線画を描く。手先に合えばペンは交換可能

TOSY社がロボット関連製品をリリースするのは今回が初めてだが、もともと同社のトップはロボットコンテストの優勝経験者で、こうした展開は創業以来の夢だったとか。研究開発は以前より続けており、今後はエンタテインメント系以外にも、産業ロボット、サービス・ロボットの分野で製品を発売していく予定だそうだ。ちなみに、CEATECのブースで配布中のカタログには、「mRobo」とそっくりな、白いボディにサングラススタイルの卓球ロボ(?)「TOPIO」も掲載されている。

CEATEC JAPAN 2012は10月6日(土)まで開催。TOSY社ブースでは1日数回のmRoboデモンストレーションが行われるそうなので、ロボ好きは要チェックだ!