600万部の大ヒットを記録し、2011年小学館漫画賞を受賞したコミック『闇金ウシジマくん』が深夜の連続テレビドラマとして放送されてから約2年。ついに待望の映画化が実現し、8月25日から全国で公開される。野心と欲望、金の恐ろしさが渦巻く〝究極に危険なエンターテインメント″と称される当作品で、注目の若手実力派、山田孝之演じるウシジマくん、成り上がりの人生を目指し、危険なカケに出るイベントサークル代表役の林遣都など、個性的な役者たちに囲まれ、演技に新境地を開く大島優子に本作の魅力を聞いた

――個性派俳優に囲まれての出演ですが、プレッシャーはありませんでしたか?

大島「好奇心旺盛な性格なので、プレッシャーというよりも楽しみな気持ちの方が大きかったです。『究極に危険なエンターテインメント』というキャッチがついているし、これまで私が携わったことのないタイプの作品なので、とても興味がそそられて。でも実際に脚本を読んだら、自分の生きている世界とは確かに違う部分もあるけど、そこまでかけ離れてはいないと感じました」

――未來という役の魅力とは?

大島「彼女は人を思いやる気持ちをすごく持っているんだけど、関わる相手からは、ひどい言葉を浴びせられるということが何度もあるんです。道を踏み外しそうになるけど、『あ、こうなっちゃいけない』と自分で判断し、ちゃんと修正できる。まわりをよく見て考えるし、心の強い女の子だと思います。10代後半の頃は、私もやっぱり流されやすかったですね。だから、未來の言動も共感できました。劇中には個性の強いキャラクターがたくさんいて、その中でごく普通の女の子の未來がいる。普通の女の子だからこそ、演じるのはすごく難しかったです」

――この作品は繁華街など、街中でのロケが多いですね。

大島「人通りの多いところや団地での撮影では、みなさんが声援を送ってくださって。ただ、撮影のときは集中しないといけないので、本番前はそのシーンのセリフを、心の中でずっと唱(とな)えていました。カフェで一緒に撮影した林さんもすごく集中されていたから、話しかけることはお互いにほとんどかったです(笑)」

――AKB48の活動とは離れて女優という立場になったとき、自分にはどんなことが必要だと思いますか?

大島「舞台とか、いろんな作品を観て芝居の勉強をすることももちろんですが、たくさんの人生経験をしたいなと思っています。未來は普通の19歳の女の子ですが、私は19歳のとき、既にこの世界にいましたし、普通ではなかったと思うんです。だから、これから自分が生きていく中で、たくさんの経験をすることが大切だし、いろんな人の人生も知りたいです。社会で働いている友達にいろんな話を聞いて、改めて知ったりすることもあるから、それを自分の中にとり入れていくのも楽しいし、そうしていくことが必要かなって思っています。」

――映画をご覧になる読者へメッセージをお願いします。

大島「撮影のときは、こんな映像になるんだろうなとイメージしながら演技をするんです。でも今回、試写を見たら『こんな映像になっていたんだ!』と驚くことばかりで、まさに衝撃的な作品でした。非現実的な物語のようで、実は誰もが持っている欲望とか、お金の恐ろしさがテーマになっているから、改めて自分の生き方を考えるし、エンターテインメントとして楽しめるので、ぜひご覧いただきたいです!」

文:馬場千枝 写真:加藤英明

映画出演情報

『闇金ウシジマくん』
コミック累計600万部、2011年小学館漫画賞を受賞した漫画家・真鍋昌平の問題作『闇金ウシジマくん』。2010年10月よりMBS・TBS系にて放送され話題を呼んだ深夜の連続ドラマが更にスケールアップして物議必死・問答無用の映画化!息を呑むスリリングな展開で、どこにでもいそうな人たちのどこにでもある欲望の結末と救いようのない社会の闇と、そして、ほとんど見えない微(かす)かだが確かな希望の光を描く、見たことのない新しくて過激なエンターテインメント作品。

8月25日(土)新宿バルト9ほか 全国ロードショー

(C) 2012真鍋昌平・小学館/映画「闇金ウシジマくん」製作委員会