シチズン時計株式会社はこのほど、中国市場向けの新作発表会を沖縄県内にて開催した。今後発売を予定している新作の披露のほか、トヨタの新スポーツモデル「TOYOTA 86」とのコラボレーションウオッチ「CITIZEN×TOYOTA 86」も会場に展示。同製品を中国で、年内に発売することを検討中と発表した。発表会には中国全土から、多くの販売代理店関係者が訪れた。

会場に展示された「CITIZEN×TOYOTA 86」

今後の成長戦略の基軸となる重要市場は中国

「CITIZEN×TOYOTA 86」は、2012年6月14日に国内限定860個として発売された限定モデルだ(詳しくは本誌記事参照)。シチズン独自の光発電技術「エコ・ドライブ」をエンジンとして、日本を代表するマニュファクチャーが生み出したFRスポーツ「TOYOTA 86」(以下「86」)をイメージ、精悍かつスポーティーなデザインに仕上げている。

ケース径は45mm、厚みは13.23mm(設計値)、素材はケースがステンレスと合成樹脂、バンドはウレタン。ガラスは球面クリスタルガラス。防水仕様は10気圧。過去のモーターショーやイベントでコンセプトカーとして出展したカラーリング3色(レッド、ホワイト、ブラック)のモデルをラインナップ。各860個の国内限定モデルで、価格はそれぞれ3万8,600円となる。

2009年東京モーターショー展示車色にちなんだ「レッド」

2010年東京オートサロン展示車色にちなんだ「ホワイト」

2011年ジュネーブショー展示車色にちなんだ「ブラック」

裏ぶたにはエコ・ドライブと「86」ロゴのダブルネームを彫刻

豪華スペシャルボックスもダブルネーム仕様

同製品の中国での展開について、シチズンの担当者によると、「当社の中国市場での売行きは伸びています。中国では、シチズンのラインナップの中でも比較的スタンダートなモデルが好まれる傾向にあるのですが、そんな中で『CITIZEN×TOYOTA 86』はいままでにないテイストの製品です。これを投入することで、シチズンが中国市場に新たなカテゴリーを開拓していくひとつのきっかけとなると考えています」とのこと。

また、グローバル戦略として、「日本、北米、欧州などの先進国は今後も確実な成長を見込み、投資を継続していく」とした上で、「今後の成長戦略の基軸となる重要市場は中国」とコメント。中国市場を伸ばしていくことで、その影響を受ける東南アジア圏の成長も見込む。加えて、「新興国市場であるメキシコやブラジルなどの中南米市場に対しても、さらなる市場拡大を見据え、取組みを進めていく予定」と語った。

満員の発表会会場。中国市場がシチズンに向ける熱い視線を象徴するかのようだ

発表会で登壇したシチズン時計代表取締役社長、青柳良太氏

スタッフが中国の販売代理店関係者から質問責めに遭う一幕も

会場に展示された「86」も大人気。レンズの砲列を向けられてる白いスポーツカーの姿にかつてのスーパーカーブームを思い出し、思わず胸が熱くなる

トヨタ自動車スポーツ車両統括部の岸宏光氏

「CITIZEN×TOYOTA 86」の発表に伴い、会場には「86」の実車も展示。時計とともに大勢の人垣ができ、終始、写真撮影のシャッター音が途切れないほどの盛況ぶりだった。その光景に、コラボレーション・パートナーであるトヨタ自動車サイドのゲストとして登壇したトヨタ自動車スポーツ車両統括部の岸宏光氏も大きな手応えを感じたようだ。

「中国には、この時計を欲しいという人が日本以上にいると思う。トヨタも企画を始める段階で、いかに『86』のコンセプトをしっかりと伝え、デザインに込められるか、シチズンさんとともに心を砕きました。何より時計そのものの完成度が高いので、中国でも話題になると期待しています」と岸氏。

「岸氏から見た『CITIZEN×TOYOTA 86』のおすすめポイントは?」との質問に、「文字板のTメッシュパターンですね。『86』のインパネやメーターなどに使用している新しいメッシュのパターンが、文字板にも使用されているんですよ」と、時計とクルマをつなぐ意匠に愛情たっぷりに回答した。

岸氏お気に入りの文字板のTメッシュパターン。「86」のメーターパネル地にも使用されている共通意匠だ

また、コラボモデルに対する反応として、トヨタの相談室に、「この時計はどこで売っているのか?」という問い合わせがあったことや、他の時計業者からも高い評価を得たことに触れ、「単に話題性からだけではなく、商品そのものの魅力がこのような結果に繋がっていると思う」と岸氏は語った。ちなみに、「女性用のコラボレーショングッズはないのか?」という問い合わせもあったという。