今週からWindowsにまつわる様々な情報をお送りする。ご興味のある方はしばしの間、お付き合い頂きたい。さて、現時点で気になるのは次世代Windows OSとなるWindows 8(開発コード名)だろう。2012年中にリリースされるであろう「Windows 8」は、現行OSであるWindows 7への搭載を見送った数々の機能をサポートする予定だ。まずは現時点でのいくつかの情報を取りまとめてみよう。

Windows 8の開発状況は ?

Windows 8の公式ブログ。今回は英語だけでなく、日本語やフランス語など主要言語への翻訳も行われている

Windows 8に関しては、2011年年初にARMアーキテクチャに対応する旨を発表し、2011年6月には新UI(ユーザーインターフェース)を披露するためのプレビュー版を発表した。この時点で、Microsoftは「Windows 8」という呼称を使ったが、同名称が製品版に使われることが決定した訳ではない(九割九分、Windows 8で決まりだと思うが……)。

また、来月の2011年9月に開催される予定の技術者向けカンファレンス「Build 2011」(従来のPDC:Professional Developers Conference)でベータ版を公開する予定である。この間、数多くのリーク版がネット上に流出したため、スクリーンショットを見た方も少なくないだろう。これらのリーク版はいずれもBuild番号が七千番台と、Windows 7をベースに改良を加えたものであり、Windows 8の全貌を把握するには物足りないものだった。

Build 2011で公開される予定のベータ版は、三段階のマイルストーン(開発の進捗状況を示す用語)を経たものと思われる。従来の開発プロセスをかんがみると、ベータ版移行はいくつかのビルドアップを経て、RC(Release Candidate:製品候補版)、RTM(Release To Manufacturing:製品版)となる予定だが、Windows 7の開発プロセスと同じく、ベータ版やプレリリース版が一般ユーザーに公開される可能性は高い。

Microsoftは2011年8月16日(米国日時)にWindows 8の公式ブログを立ち上げ、WindowsおよびWindows Live担当役員のSteven Sinofsky(スティーブン・シノフスキー)氏の名前でWindows 8の情報提供が行われている。同ブログで興味深いのが、Windows 8の開発に携わるチームの紹介記事。大半はWindows 7で実現された機能名が並んでいるが、なかには各方面で話題になっている「App Store(アプリストア)」や、「In Control of Your PC(PCのコントロール)」などもある(図01)。

特に「App Experience(アプリエクスペリエンス)」「Runtime Experience(ランタイムエクスペリエンス)」は、アプリケーションの操作性やランタイムファイルの管理を軽減させるのだろうか。真相は来月までお預けとなるが、Windows OSの設計スタイルは、ランタイムライブラリを切り離すことは難しく、「DLL Hell(地獄)」という俗語が生まれるほどだったので、この点が改良されることを望みたい。

Windows 8ではUSB 3.0をサポート

Windows OSがUSBを初めてサポートしたのは、Windows 95である。正しくはマイナー版として出荷されていたOSR(OEM Service Release)2もしくは、サプリメントディスクを追加したOSR1。当時の新ハードウェアであるUSBへの対応を行ったものの、当時はまだUSBデバイスも少なく、動作検証が足りなかったのか、安定動作には至っていない。Windows OSとUSBデバイスの親和性が高まったのはWindows 98以降である。

次バージョンとなるUSB 2.0がサポートされたのは、Windows XP Service Pack 1。当時は現行OSとして活躍していたWindows 2000もService Pack 4で対応し、USB 2.0のサポートは現在のWindows 7まで受け継がれている。そして、次世代OSとなるWindows 8では、USB 3.0をサポートすると前述のブログで発表された。

図02 WWindows 7では特定のドライバーを用意してUSB 3.0をサポート。Windows 8ではこれらのドライバーが不要になる予定だ

そもそもUSB 1.0は1996年に制定され最大転送レートは12Mbps。2000年制定のUSB 2.0は最大480Mbps。そして2008年に制定されたUSB 3.0では最大転送レートは4.8Gbpsと、バージョン2.0の約10倍。必然的にOS側でもスピーディな転送に対応するためのロジックが必要だ。前述のとおりWindows OSにおけるUSBのサポートは、後発的な追加で実現されており、現在に至るまで少しずつ改良を重ねてきた結果である。

だが、USB 3.0のサポートに対しては、従来のドライバースタックを強化する道ではなく、新規作成という道を選択した。同社では仮想USBポートや仮想USBハブをソフトウェアで実現し、約千種類ものUSBデバイスの動作検証を実行。Windows 8のスリープおよびスリープ復帰の正常動作やストレステストなどを行ったと言う。

筆者が述べるまでもなく、手軽に使用できるUSBデバイスは、それこそ「あっという間」に普及し、それまでのインターフェースを過去に追いやってしまった。USB 3.0は同ブログで公開されている動画でも示されているように、圧倒的な転送スピードを打ち出し、従来のデータ待避やコピーといった作業を一新させるポテンシャルを備えている。

もちろんハードウェア側の準備として、USB 3.0ホストコントローラーや同ポートが必要となるため、ユーザーは新たな出費を強いられるかもしれないが、Windows 8のUSB 3.0サポートを素直に歓迎したい(図02)。