ライティングジャパンは、最新の照明器具や、その製造装置、部品、材料などが一堂に集まる国際商談展。会場は、3つのエリアと、1つの特別フェアとに分けられている。3つのエリア(工学部品エリア、電源エリア、放熱部品エリア)は、我々一般ユーザーには直接関係してくるものではないが、特別フェアとなっている「LED/有機EL照明フェア」には、家庭向けの製品、あるいは、将来的に家庭に導入される可能性がある製品なども展示されている。今回は、この「LED/有機EL照明フェア」のブロックから、ポイントとなりそうな部分にしぼって紹介したい。

2010年は、LED電球が一般化した年だった。今回ももちろん、LED電球の展示はあるが、それよりもメインとなっているのが、40形/110W形の蛍光ランプを置き換えるための直管形LEDランプだ。直管形LEDランプというと、昨年10月に電球工業会が制定した新規格「JEL801:2010」が記憶に新しいところだろう。直管形LEDランプの多くは、専用の電源回路が必要になり、従来の器具にそのまま取り付けた場合、機器の破損といった問題が発生する可能性がある。JEL801:2010で規定されている「GX16t-5」(旧称L16)は、片方が2ピンで、もう片方が1ピンとなっており、蛍光灯に使用されている「G13」(40形までランプに使用される)「R17d」(110形のランプに使用される)と、物理的な互換性がない。そのため、間違ったランプを取り付けたことによる事故を防ぐことができるというものだ(R17dを置換する新規格の口金はまだ規定されていない)。現在、直管LEDランプには、GX16t-5に対応したものと、G13/R17dに対応したものの2種類が存在することになる。なお、会場に展示されている直管形LEDランプは、新規格に対応したものはまだ少なく、そうでないもの、つまり従来の直管蛍光灯の口金「G13」「R17d」に取り付けて使用するものの方が多数を占めていた。

そのような中、ロームのブースでは、JEL801:2010に対応した40形の直管形LEDランプを展示している。同社によると、誤取り付けを防ぐことによる、安全性の確保が重要と考えたためとのことだ。11年春に発売予定。同ブースには、間接照明向きの拡散カバー仕様のLEDランプなども参考出品されている。

JEL801:2010に対応した直管形LEDランプ

間接照明用のLEDランプ

また、アイリスオーヤマブースでは、同社が18日に発表した直管形LEDランプ「ECOLUX」を展示している。ECOLUXはG13/R17dに対応した直管形LEDランプだが、ランプ自体に保護機能を搭載しているという特徴を持っている。供給されている電源の種類をランプ側で検知して、直管LEDランプに適した電源だと判断した場合にのみ、ランプの主電源をオンにし、非対応の電源の場合にはオフになったままだ。また、ランプが確実に取り付けられてからでないと通電しない仕組みなので、感電の危険性も少ないという。ブースには、20形/40形/110形の3種類のサイズが展示されている。また、同社では、40形や110形といった、オフィスや公共施設、工場などで使用されるランプだけでなく、20形のランプも発表しているが、同社は、ランプだけでなく、照明器具も製造しているメーカーであり、同ブースには、これを使用した照明器具も参考出品されていた。展示されている製品は、マンションなどの共用部分の照明を想定したもので、ランプ交換といったメンテナンスの手間が省けるというメリットがある。もちろん1灯タイプは一般家庭での使用も視野に入れたものだ。

蛍光ランプと同じ口金だが、保護回路が搭載されており、安全性が高い「ECOLUX」シリーズ

マンションなどの共用部分などでの使用を想定したモデル

セントレードM.E.のブースにも、直管形LEDランプが展示されている。同社は、家電チャンネルの読者の方には、低価格な地デジチューナーやDVDプレーヤーなどのメーカーとしておなじみだと思うが、同社によると、AV機器ももちろん製造しているが、高出力LEDを使用した街路灯や防犯灯、LED投光器などが、現在力を入れている分野、とのことだ。なお、同社が展示している直管形LEDランプはG13口金に対応したタイプ。しかし、同社では、顧客のニーズに合わせて、G13、GX16t-5のどちらのタイプでも、供給できるとのことだ。

セントレードM.E.が、現在力を入れている高出力LEDランプ

直管形LEDランプも展示する

いくつかのブースで話を聞いてみると、新規格への対応には明らかな温度差がある。同規格がパナソニック電工と東芝ライテックの2社が主導して策定されたものという点も、その原因のひとつとなっているようだ。また、一般的な40形のラビッドスタート形の蛍光ランプでは、定格寿命が1万2,000時間程度。1日に16時間、365日点灯し続けた場合、約2年で寿命を迎えることになるが、直管LEDの多くは、約4万時間の定格寿命を謳っている。同じような使用頻度ならば、7年弱は使用できる計算になる。ランプ交換はまだ先の話で、しかも頻度はそれほど高くない。どちらの規格が主流となるか、市場の推移を見ているということもあるのだろう。直管方LEDランプには、消費電力、メンテナンスコストの削減といったメリットがあるが、JEL801:2010の策定や、アイリスオーヤマの、蛍光ランプと同じ口金を使用しても安全性が高い直管形LEDランプの発表などにより、今後は安全性をユーザーに任せたモデルは苦しい立場に立たされることになるのではないだろうか。

直管形LEDランプ以外にも、注目の展示があった。まずは、日川電機ブースに展示されている「e-SPロッドライト」(開発元:e-SP)。ロッドライトは、アクリルの棒の両端に高輝度LEDを取り付けたもので、アクリルの棒の片面には反射材が塗られており、その反対側に光を発する。このような方式を採ることで、ドットのない光、LEDの眩しさを低減したをライティングを実現。同社のe-SPロッドライトは、山田照明のシャンデリアやフロアスタンドなどにも採用されている。また、アクリルは直線だけに限らず、自由な形を作ることが可能とのことで、ブースには円形タイプなども展示されている。また、ロームのブースには、新しいスタイルのLED電球が展示されている。一般的なLED電球では、個々のLEDは、内部に平面状に並べられているのに対して、同社のブースに展示されているLED電球「AGLED」(販売元:丸善電機)では、LEDを配置する部分自体が立体的な構造となっている。これにより、より白熱電球に近い配光が可能となっており、白熱電球を前提とした照明器具に取り付けても、違和感のない配光となる。

アクリル製のロッドの両端に高輝度LEDをそれぞれ配置した「e-SPロッドライト」

すでに、商品化の実績もある

白熱灯に近い配光を実現するLED電球

白熱灯の代わりに取り付けても違和感のない配光パターン

また、LED以外では、CCFLを使用した取り組みも注目だ。豊光社のブースでは、soranaブランドで展開している、直管形、電球形のCCFLランプを展示している。CCFLは、液晶テレビなどのバックライトにも使用されている蛍光ランプの一種だが、同社のランプでは、LED並みの長寿命と(直管形の場合、20形/40形ともに定格寿命は4万時間)、LEDに近い低消費電力を実現している(同じく直管形の場合、20形で13W、40形で28W)。AC100Vで動作し、安定器などを必要とせずに点灯する。そのため、一般の照明器具で使用するためには、安定器やグロースターター、インバーター回路などをバイパスする必要があるが、ランプ自体が非常に低価格で提供されているのが大きな特徴だ。同社の直販価格では、20形の「SOLANA-FD20L」が3,980円、40形の「SOLANA-FD40L」が4,980円。なお、国産蛍光管を使用した「SOLANA-FD20J」「SOLANA-FD40J」も新たにラインナップに追加されたが、価格は従来と変わらない。

長寿命と低消費電力を低価格で実現したsolanaのCCFLランプ

同じくCCFLを採用している電球形ランプ