既報の通り、AMDは「Northern Islands」シリーズとして知られていた新世代のGPUを発表した。というわけで、取り急ぎの性能評価を行ったので、お伝えしたい。

Radeon HD 6800シリーズの概要

今回発表になったのは、「Barts」の開発コード名で知られるRadeon HD 6850/6870である(Photo01)。そのBartsであるが、追求したのは絶対性能というよりも価格性能比であることが明らかにされている(Photo02)。マーケットポジション的には、Radeon HD 6850/6870は、Radeon HD 5850/5870よりも微妙に性能が下、というあたりに位置づけられるようで、ハイパフォーマンス向けは今後登場する「Cayman」(開発コード名)ベースのRadeon HD 6950/6970や、これのCrossFire構成である「Antilles」(開発コード名)ベースのRadeon HD 6990が担うことになるだろう(Photo03)。

Photo01: Caymanは恐らくRadeon HD 6900として出てくることになる。Radeon HD 5700は引き続き併売される形になるのが面白い。

Photo02: ここでの価格はあくまで発表時の価格という扱い。

Photo03: 以前はRadeon HD 5770とRadeon HD 5870の間に大きな性能ギャップがあり、ここを埋めるのがRadeon HD 6800シリーズということになるようだ。

実際の構成であるが、HD 6850はこんな構成である(Photo04)。AMDから示されたベンチマーク結果はこちらであった(Photo05)。微妙、というかゲームの描画オプションの設定でこの性能差は大きく変わりそうである。とは言え、ほぼ同等レンジの性能にあるようには見える。

Photo04: Shader Processorの数は色々な話が出てきたが、最終的には960になったようだ。

Photo05: 仮想敵は「GeForce GTX 460 768MB」。

またRadeon HD 6870の構成はこちら(Photo06)で、ベンチマーク結果はこちら(Photo07)である。こちらでは全般的にもう少し大きな差がついており、GeForce GTX 460よりはちょっと高速、というあたりだろうか?

Photo06: Shader Processorは1120に、コアクロックも若干引き上げられたほか、微妙にメモリ速度も上がっている。

Photo07: こちらでは仮想敵が「GeForce GTX 460 1GB」になっていることに注意。

ちなみにRadeon HD 5800シリーズとの比較をまとめたのがこちら(Photo08)である。端的に言えば、ShaderやTexture Unitの数も減り、それに伴いメモリ帯域も減らされている。当然これはダイサイズや消費電力、最終的にはコストにそのまま跳ね返る訳で、この結果として価格が(Photo01に示すように)やや低めに抑えることが出来たわけだ。

Photo08: Shaderの数は減っているにも関わらず、Geometry Throughputが増えていることに注意。ついでに言えば、Radeon HD 5870ではなく5850との比較であることにも注意。

もっとも単に低コスト化のみならず、性能改善も試みられている(Photo09)。例えばTessellationに関して言えば、Factor 10位までに関してはRadeon HD 5870を大きく上回る性能が出るとされている(Photo10)。このあたりがどうか? というのはテストで確認することにしたい。

Photo09: これはTessellationに関する話であるが、他にも幾つかの改善点が挙げられている。

Photo10: 他にも内部の見直しや高効率化で、Shaderの数そのものは減っても性能を維持できた、というあたりがRadeon HD 6800シリーズの売りとなっている。