銀河の彼方から極秘任務遂行のために地球にやってきた宇宙人一家と、彼らと同居する男子中学生の、奇妙な日々を描いた異色のSFコメディドラマ『やつらは多分宇宙人!』のDVD-BOXとメイキングDVDが発売された。このドラマで宇宙人と同居する呂葉守(ろはす)の姉 寺野絵子(えこ)を演じた谷村美月に話を訊いた。

「題名を見たときに『ム?』と思いました」

谷村美月
1990年6月18日生まれ。大阪府出身。血液型O型。『まんてん』(2002年 NHK)でドラマデビュー。2005年に初主演した映画『カナリア』で第20回高崎映画祭 新人女優賞受賞。映画出演作に『笑う大天使』(2006年)、『檸檬のころ』(2007年)、『リアル鬼ごっこ』(2008年)、『神様のパズル』(2008年)、『死にぞこないの青』(2008年)、『おろち』(2008年)、など多数。テレビドラマ出演作品に『わたしたちの教科書』(2007年 フジテレビ)、『パンドラ』(2008年 WOWOW)、『キャットストリート』(2008年 NHK)、『太陽と海の教室』(2008年 フジテレビ)、『メイちゃんの執事』(2009年 フジテレビ)、『必殺仕事人2009』(2009年 テレビ朝日)など多数。2010年も『ボックス!』、『おにいちゃんのハナビ』、『十三人の刺客』、『海炭市叙景』、『行きずりの街』、『HESOMORI-へそもり-』など、多数の出演作品が公開予定。

――『やつらは多分宇宙人!』は、何というか凄い奇妙なお話なんですが、出演のお話がきた時、正直どう思われました?

谷村美月(以下、谷村)「まぁ、題名を見たときに"ム?"と思いましたよね。『やつらは多分宇宙人!』って(笑)」

――ドラマでは後半の9、10話くらいまで、谷村さんはほとんど部屋にいて、弟さんと携帯電話で話すだけという、ひとり芝居がメインです。谷村さんは役を作り込む女優さんだと聞いていたのですが、今回の場合はどうしたのかなと……。

谷村「まぁ、役の作り込みも、時と場合によってですね(笑)。作品の内容にもよるし、監督さんが『じゃあ、やって見て』という風にいきなり言われる方だと、作り込んだりはします。でも、今回は他の役者さんと会うこともなく、自分のパートだけの撮影がほとんどでしたから……。他の出演者の皆さんが、どういうテンションで芝居されているのかも知らずに現場に行って、衣装合わせもその日にやってしまって、というような感じだったんです。作り込むというよりは、流れに任せてというか、雰囲気な感じでしたね。10話まであるんですけど、毎回そんなに統一感はなくていいと言われたので。むしろゆるい感じでやろうと思いました(笑)」

――今回のようなひとり芝居の経験は今まであったのですか?

谷村「ひとり芝居的な演技は珍しくはなかったんですけど、今回はがっつりひとりだったので、大変でした。ほとんど携帯電話で会話してる場面が多いのですが、結構難しかったです」

やつらは多分宇宙人!

宇宙人一家の日常が描かれる奇妙な作品だが、ひたすら携帯電話で話すというシーンばかりの谷村美月もかなり奇妙です
(C)2010「やつらは多分宇宙人!」製作委員会

――毎回、色々なシチュエーションで電話してましたよね。エジプトからも電話していましたし。

谷村「そうですね、じゃあ今回はどうしようかとか、現場の皆で考えながら撮影してました。エジプトのシーンは、絵子の部屋と同じ場所で撮影しているんです(笑)。グリーンバックの前で演技してました」

――ロデオボーイに跨りながら携帯電話をかけるという、凄い画もありました。

谷村「今回のお芝居では、『使うか使わないかはこっち(制作側)で判断するから、とりあえず演じてみて』という感じの、本当に緩い現場だったんですけど(笑)、ロデオボーイに乗ったときは、さすがにどうしたらいいのか困りました(笑)。これオチがあった方がいいということで、スピードアップして最終的に私がロデオボーイから派手に落馬したのですが、その場面は使われなかったんです(笑)」

――谷村さんは、そういう、アドリブっぽい演技には対応できるのですか?

谷村「対応するようになりましたね。やっぱりなんか台本に書いてない部分をやったときの方が面白かったりとか、不意に起きたことが凄い面白い内容になったりもするので」

「最近は明るい役が増えました」

――弟が宇宙人の家にいったまま、何日間も帰ってこない。これって、普通に作れば、恐い話になりそうな設定なんですが、『やつらは多分宇宙人!』では、そこを全編完全にギャグにしてて、かなり異様な作品です。谷村さんは本当に沢山の映画やドラマに出演されてるんですが、今回の作品は谷村さんのキャリアの中でも、何というかかなり異色ですよね。

谷村「そうですね、今までは、出演する作品も、どちらかというとシリアスで内容も暗い作品が多かったのですが、2009年あたりからだんだん役柄の幅も広がってきて、割と明るい役だったり、変わった役の作品も多くなってきたんです。この作品の場合、一応主演という肩書きではあるんですけど、登場場面も正直皆さんよりは少なくて、そのなかでポンと入って芝居するというのは未経験だったので、新鮮だったのですが、確かに異色の作品ですね(笑)」

――これまでの作品での谷村さんは、影があったり、不幸な少女の役が多かったという印象があるのですが、今回は明るくて凄くはじけていますよね。どちらの演技が、谷村さんには合っているというか。好みなのでしょうか?

谷村「お仕事の内容に関しては、私自身がこういう役を演じたいというのは特にないんです。まぁ、暗い役の方が合うんだろうなというのは思いますね。雰囲気が(笑)。たぶんそういう役が多いということはそういうイメージも強いんだろうし、多分それが一番ぴったりくるから多いんだろうと思います。とはいえ、そこに頼らず、いろんな役が演じられるように拡げていきたいとは思ってます。まぁ、基本のテンションが他の子に比べると低いらしいので、暗い役が多いのは、わからなくもないです(笑)」

――それでは、この作品をDVDで初めて観る方にひとことお願いします。

谷村「ほとんど最終話あたりまで、私はそんなにがっつりは出演していないのですが(笑)、ストーリーテラー的な立ち位置ではあります。お話としては、地球人の私たちから見ると『それは有り得ないんじゃないか』ということを平然としてる宇宙人たちの姿がとにかく笑える作品です。地上波では観られない30分ほどのドラマだったので、DVDでまとめて楽しんでいただけたら嬉しいですね。1話の長さもちょうどいい感じですし、お話も緩いですし、クスっと笑える部分がたくさん入っているので、そういうところを見ていただけたら嬉しいです」

――谷村さんを中心にしたメイキングDVDも発売されますね。この作品では、色々な谷村さんの表情が楽しめると思うのですが。

谷村「素の私というか、ドラマの現場ではこんな感じですという様子を見ていただける作品です。基本、このメイキングでも、ひとりで芝居している場面が多いのですが(笑)」