大島和隆氏

楽天証券経済研究所 チーフストラテジスト。約20年間にわたり、欧米の企業も自ら訪問調査するファンドマネージャーとして活躍し、2008年6月から現職。日本企業を外から見た目線で評価する独自の判断にこだわってきた。

昨年1年で42%も値下がりしてしまった日本株式市場。今年はさらに値下がりしてしまうのか、それとも明るい兆しが見えるのか。楽天証券経済研究所チーフストラテジスト 大島和隆さんに今年の展望についてインタビューしました。

――「100年に1度」「TSUNAMI」などといわれた昨年の相場でしたが、今年の日本株式市場はどんな1年になりそうでしょうか?

大島「まず昨年を振り返ってみますと、年始大発会の初値は1万5,155円。年末30日、大納会の終値は8,859円。単純に計算しても、6,696円、41%の下げで終わったということになります。1年で4割以上も株価が下がったのですから、まさに波乱の1年だったといえると思います。」

添付したチャートは日経平均株価の過去37年間の年足チャートです。白い棒が陽線、青い棒が陰線といって、年末(終わり)が年始(始まり)よりも株価が上昇していれば"陽線"、逆ならば"陰線"ということを示しています。ご覧いただくとわかりますが、1980年代の大バブル相場では大きな白い棒が並んでいますが、1990年に大きな青い棒(陰線)になり(バブル崩壊)、その後は青い棒が一旦始まると3本続くというジンクスがあるように見えています。2007年はご覧のように青い棒(陰線)、2008年も結局陰線となってしまいました。」

――つまり、ジンクスどおりに行くと、2009年も陰線を描くというのが、大島さんの説でしょうか?

大島「2009年も3本目の陰線を描くのが過去の経験則だ、と見えますが、ジンクスどおりになるか、それを翻して陽線を描くのかは、まさに米国市場次第だと思っています」

――12月に恒例のアメリカ市場視察に行かれていたそうですが、そこで得た感触はいかがでしたか?

大島「ちょうど、クリスマス商戦真っ盛りでしたが、シリコンバレーのエリアは、不景気のせいで、店内は閑散としているといった光景は特に見られませんでした。確かに『For Lease』『Available』と空き家を告げる看板を掲げたビルが驚くほど増えていますし、車内のラジオから『住宅ローンを低金利なものに借り替えたいなら……』とフリーダイヤルを連呼するようなCMを何度も耳にしました。ただショッピング・モールは週末どこも駐車場が満車で入れないうえに、周辺道路も渋滞といった混雑ぶりで、私が米国民の消費意欲が減退していると肌で感じることはできませんでした。シリコンバレーは全米でも特殊なエリアではありますがね。

また米国民は国家の危機が起きたとき、不思議なほど強い団結力をみせることがあります。9・11のときにもそうしたパワーを感じましたが、今回もそうした危機感のもと、なんとかみんなで立ち上がろうという気運が国全体に溢れている気がしました。西海岸で訪ねた某社の副社長が『私は共和党だけれど、今回はオバマに投票したよ』と目配せしていましたが、オバマ大統領の誕生も危機に立ち向かう米国民の団結力の表れなのかもしれません。」