――大島さんご自身も、オバマ次期大統領に対する期待は大きいですか?

大島「そうですね。期待感は持っています。まずオバマ政権に期待するひとつは、経済キャビネットの面々ですね。財務長官に就任するティモシー・ガイトナー氏は、ニューヨーク連銀総裁で、金融市場安定化政策の立案で中心的な役割を担っていた人ですし、国家経済会議委員長にはかのローレンス・サマーズ元財務長官が就任します。サマーズ氏は、クリントン政権で財務長官を1年半務めた人ですが、90年代の強い経済国・米国を演出した立役者です。共にルービン人脈です。また、同経済会議には、ポール・ボルカー氏も参加。まさに文句のいいようのない立役者揃いです。

また、オバマ時期政権は、1950年代のアイゼンハワー大統領以来といわれる大規模インフラ整備策に着手するといっています。なかでも、私が注目なのは『ラスト・ワンマイル』政策と呼ばれるもの。ITバブルのきっかけを作ったのが、米国の情報ハイウェイ政策でしたが、その際、積み残したのが、家庭までの高速大容量通信の普及です。つまり、米国の家庭は日本と違って、光ファイバー通信が通じていないんですよ。だから、家でネットをつなぎっぱなしにして、大容量でネットサーフィンをしたり、それこそネット通販を楽しむといったことがまだまだ自由にできない。ここが整備されれば、大きな消費革命、生活革命が起きると思いますよ。」

――それでは、まずは1月20日に政権が誕生して落ち着いたあたりが今年の相場を占うターニングポイントということですね

大島「1月20日の誕生前はいったん期待感から、相場状況は好転するかもしれません。ただ、これは様子見程度ですから、どこかの段階でいったんスピードが緩んだり、下げ戻したりといった動きもあるでしょう。年央以降、政権の打ち手の先行きが少し見えてきたところで、本格的に相場上昇の兆しが見えてくるかもしれません。もちろん、BIG3の問題を含め、まだまだ米国経済のうみは出尽くしているわけではありませんから、今年いっぱいは、急上昇といったことはむずかしいとは思いますがね。」

――もし米国市場に良い兆しが見えれば、日本株式市場もそれに連動して、上昇基調に乗れる可能性もあるということですか?

大島「そうですね。その可能性は十分にあります。昨年年初に、NY株は1万3,000ドル、日経平均は1万5,500円でした。ところが、今はともにざっくりというと8,000円前後。現在、明らかに日本株は売られすぎています。今年後半には相関関係の補正の動きも出るかもしれません。今年の年足チャートは、陰線3本のジンクスを破り、長くはないかもしれないけれど、陽線を描くかもしれません。」

――そうなることを祈りたいですね。どうもありがとうございました。

聞き手 : 酒井富士子氏

経済ジャーナリスト。回遊舎代表取締役。
上智大学卒。日経ホーム出版社入社。
「日経ウーマン」「日経マネー」副編集長歴任後、リクルート入社。「あるじゃん」[赤すぐ」(赤ちゃんのためにすぐ使う本)副編集長を経て、2003年から現職。近著に「20代からはじめる お金が貯まる100の常識」(秀和システム発行)「FPになろう」「定年手続きダンドリスケジュール」(インデックスコミュニケーション)「編集長の情報術」(生活情報センター)。二児の母。