東京メトロはこのほど、2008年6月開業に向けて建設中の副都心線のトンネルを歩く「地下鉄開通80周年記念 副都心線トンネルウォーク」を開催した。副都心線池袋 - 渋谷間のうち、新宿三丁目駅から東新宿駅間を歩く内容で、なんと3,000通を超える応募があったとのこと。その中から幸運にもイベントに参加することができた80組160名と共に、私も往復約2.5kmの道のりを歩くこととなった。道中、「え~っ!? 」と驚く地下鉄の意外な事実を発見した同イベントをレポートしよう。

スタートして間もなく方向感覚を失う……

「丸ノ内線の新宿三丁目駅、伊勢丹口改札にお集まりください」。東京メトロ・広報の男性の言葉を信じて、指定時間にその場所に行ってみると、工事現場の出入り口と間違えるほどの地味な出入り口に人だかりができていた。ここから、今回の冒険が始まるのである。

イベントに集まった人々と、すこぶる地味な入り口。中に入ると、すぐさまスタッフから「東京メトロ・ヘルメット」を手渡された

地下鉄を歩くというのは、意外と難しい。まず、どちらが北でどちらが南かがわからない。快晴の地上では、太陽と影の向きでおおよその方角を把握できるが、地下に潜り、右へ左へと何度も曲がると、もうお手上げだ。

「えー、こちらが渋谷方向ですね。これはA線。渋谷方面に向かう電車の線路ですね」。副都心線では、JRのように「上り」「下り」と方向を区別せず、渋谷方をA線、池袋方をB線と呼ぶのだ。ということで、我々トンネル・ウォーカーは、スタッフに誘導されながら、渋谷方面行き電車の線路を逆方向に歩くことになる。

いよいよホームから線路へ下りようとする直前。スタッフから建設概要などの説明を受ける。先を急ごうとする子供、携帯カメラに夢中なママ、トンネルでデートする男女、真剣に聞き入る鉄道ファンと、ウォーカー一行の顔ぶれは様々

やがて、トンネルの雰囲気がガラリとかわる場所に差しかかった。「ここからは、トンネルが丸い断面になっており、シールド工事が進められた部分になります」とスタッフ。つまり駅部分などは、地面から"開腹手術"のようにして行う開削工事によって断面が四角くなるのだが、この丸い断面の部分は、ドリルのような刃を持つ"巨大モグラ"を通してトンネルをつくるシールド工事の区間になっているわけだ。

"巨大モグラ"シールドで掘り進めた部分を歩く。ちなみに、トンネルは伊勢丹新宿本店の脇をかすめる明治通りに沿うように進んでいる、らしい