当連載第272回で、北総鉄道の7260形を紹介した。京成電鉄3300形を借りて走らせているという話だ。そこで2つの謎が生まれる。なぜ、わざわざ番号を変えたのか? そもそもなぜ、北総鉄道の電車形式は開業当初から7000番以上なのか?

北総鉄道7260形

北総鉄道7300形

4桁の車両番号を採用する鉄道会社のほとんどが1000番台から始まり、新形式を製造するたびに2000番台、3000番台が与えられる。しかし北総鉄道は開業当初から7000番台だ。そこには納得できる理由がある。

相互直通運転にあたり、お互いの電車の車両形式番号が重複しないように、あらかじめ使える番号を取り決めたからだ。その結果、北総鉄道の電車は開業当初から7000番台の形式番号となっている。京成電鉄から電車を借りる場合も、北総鉄道の所属車になったという意味で、3000番台から7000番台へ変更されたというわけだ。

会社ごとに番号が割り当てられている

北総鉄道の電車は京成電鉄に乗り入れ、押上駅から都営地下鉄浅草線に乗り入れる。さらに泉岳寺駅から京急電鉄に乗り入れて、羽田空港方面へ運行される。相互直通運転しているから、4社の車両が入れ替わり立ち替わりやってくる。

各社の車両形式番号を決めておけば、ダイヤ改正で車両の運用を決めるときや、ダイヤが乱れるなどで車両を変更するときに、形式名から保有会社がわかるというわけだ。車両形式番号の割り当ては、0~2999が京急電鉄、3000~4999が京成電鉄、5000~6999が都営地下鉄浅草線、そして7000~8999が北総鉄道になっているようだ。

観察してみると、京急電鉄の600形を例外として、どの鉄道会社も直通運転には千の位が奇数の車両形式を使っているようだ。

北総鉄道には9000番台の形式も走っているけれど、これは正確には北総鉄道ではなく、千葉ニュータウン鉄道が保有している。千葉ニュータウン鉄道は、北総鉄道として運行している小室~印旛日本医大間の線路施設を保有する会社だ。実際の管理は北総鉄道が実施しているけれど、所属を変更したわけではないから7000番台にはなっていない。