元国税局職員 さんきゅう倉田です。好きな税金は「ひげ税」です。

印紙税ってなあに?

書類を作ったときに納める税金です。 印紙税の対象となる書類は、下記の(1)(2)(3)すべてに該当するものです。

(1)印紙税法別表第一という表に書いてある
(2)法律で決まっている非課税文書ではない
(3)課税事項を証明する目的で作成された

※(3)について、大人たちは取引があると契約書を作ります。契約書を作る理由は「課税事項を証明する目的」なのです。

印紙税の納め方

書類を作成したら、印紙税を納付しなければいけません。確定申告をしたり、税務署に行ったりしなければいけないのでしょうか。

否。契約書を作った人が、契約書に印紙をぺとっと貼り付けると、印紙税を納付したことになります。このとき、はがしてまた使ったりできないように、ハンコとかサインで使用済みにします。郵便切手も使うと押印がされますよね。これは、はがしてまた使うひとがいるからなんです。

印紙税を納めなかった場合の罰

国税庁は、「印紙税を納めなかったとき」について、次のようにいっています。

国税庁「印紙を貼り付けなかった場合の過怠税」より抜粋

納付すべき印紙税を課税文書の作成の時までに納付しなかった場合には、その納付しなかった印紙税の額とその2倍に相当する金額との合計額(すなわち印紙税額の3倍)に相当する過怠税が徴収されることになります。

(中略)

ただし、課税文書の作成者が所轄税務署長に対し、作成した課税文書について印紙税を納付していない旨の申出をした場合で、その申出が印紙税についての調査があったことによりその課税文書について3倍の過怠税の決定があるべきことを予知してされたものでないときは、その過怠税は、その納付しなかった印紙税の額とその10%に相当する金額との合計額(すなわち印紙税額の1.1倍)になります。

つまり、

「税務調査で印紙税を払っていないことが分かれば、罰を与えます。3倍です。払ってなくても、調査の前に正直に払うなら1.1倍でいいよ」

と言っています。「納めなかった」とは単純に書類に貼り忘れた場合もありますし、貼ったように見せかける積極的な不正もあります。

日常生活でのお金のやりとりにも印紙を貼るのか

領収証やレシートは税込み5万4,000円以上で印紙を貼ります。しかし、5万4,000円以上でも、「営業に関しない領収証」なら、印紙を貼らなくてもいいのです。「営業に関しない」とは、例えば、友達同士のお金のやりとりや、お寺とか神社が領収証を書いたときも、印紙を貼らなくて良いこととなっています。

知っておくと得をする印紙税のルール

作った書類に書いてある取引の金額が上がると、印紙税の金額も上がります。なるべく金額が小さい方が有利なわけです。そこで、書類には消費税の金額を必ず書きましょう。

・本体代金と消費税が分けて書いてある
・税込みと税抜きの両方が書いてある

など、消費税の金額が分かりやすく書いてあると、印紙税の対象となる金額に含めないからです。 例えば、レシートが5万3,999円(税込み)ならば、印紙200円を貼る必要がありません。

しかし、「税込み」や「消費税を含む」と書いていない場合は、印紙200円を貼らなければいないのです。

印紙税の還付について

印紙税は還付できる場合があります。

・領収書に貼った印紙の金額が多い
・印紙を貼らなくていい文書に、勘違いして印紙を貼った
・印紙を貼ったけど、その書類を使うのをやめた

などです。

ただ、印紙を間違って多く買ってしまったとか、買ったけど使わないから現金にしたい、といって買った場所、主に郵便局、には行かないでください。購入先で「うちでは返金できません。税務署なら返金しています」と案内する人がいるようですが、悪魔的間違いです。税務署でも返金できません。

印紙を現金に交換することはできず、できるのは還付だけです。返金できない旨を聞き、たらい回しにされたことで、税務署で怒ってあばれうしどりのように大暴れする方がいます。税務署をゴールにしないでください。スタート地点に戻って、税務署へ案内した人のところで怒ってください。そして、そこから二度とスタートせず、住みついてください。

印紙税の基礎は、これでご理解いただけたと思います。それでは最後に印紙税あるあるを。

「バイト先のレジに200円の印紙が何枚かあるけど、使ったことないし、使い方分からない」

執筆者プロフィール : さんきゅう倉田

芸人、ファイナンシャルプランナー。2007年、国税専門官試験に合格し東京国税局に入庁。100社以上の法人の税務調査を行ったのち、よしもとクリエイティブ・エージェンシーに。ツイッターは こちら