猛暑はピークを越えましたが、しばらく残暑は続きそうです。長引く暑さでバテたり、食欲が減退したりしている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今回は、睡眠研究家で『最強の睡眠』(SBクリエイティブ)の著者である西川ユカコさんが、「免疫力を上げるビタミンDの取り方」についてご紹介します。

  • 日光浴の効果を理解していますか?

毎日30分の「日光浴」が病気を遠ざける

ビタミンDは、アメリカやドイツでは、体全体の免疫力を上げる栄養素として重要視されています。免疫系の強力な調整役になり、免疫力を上げる機能があるのです。

では、どのようにビタミンDを摂取しましょうか? 実はビタミンDは、肌の上で作られます。太陽の紫外線の中の「UV-B」が皮膚に当たると、ビタミンDが合成されるのです。

UV-Bは、美容美白の大敵でありシミやシワなど肌の老化を促進するのみならず、皮膚がんの原因になるというマイナス面だけが強調されていますが、実は「ビタミンDを作る」という素晴らしい働きもしてくれています。

健康を維持するために必要なビタミンDを皮膚で作るには10~14時の間に毎日30分程度日光を浴びてください(冬の札幌は一時間程度)。真夏の天気のよい日であれば、毎日15分ほどでOKです(特に日差しの強い日には熱中症にならないように加減してください)。

なお、ガラスはUV-Bをほぼ通しません。ですので車や建物内の窓ガラス越しに光を浴びると大変気持ちがいいですが、ビタミンDは作られませんので、ご注意を。

狩猟と採集で暮らしていた遠い祖先、農耕を知った比較的近い祖先も、みんな日中は外で活動して十分な日差しを浴びていました。しかし、室内にい続けることが増え、今のようにコロナ禍で外出を控える日が続くと、圧倒的にビタミンDが不足します。

私は日頃からできるだけ、太陽の日差しを直接皮膚で受けるようにしています。日常生活では、顔と首以外は基本的に日焼け止めを塗りません。太陽の日差しを最も得られにくい冬には首にも塗らず、日中はマフラーや手袋をしないなどして、なるべく肌が露出するよう準備し、せっせとビタミンDを作っています。

真夏の日焼け対策として、両腕に長い手袋、両足も長いスパッツ、そしてぬかりなく帽子にサングラスと完全防備している女性をたまに見かけます。太陽を避けることにより、ビタミンD不足で骨が弱くなっていないか、免疫力が落ちていないか、セロトニン不足でイライラしたりメンタルが不安定になったりしていないか、などと老婆心ながら心配します。

ある研究結果によると、宗教上の理由で頭にスカーフを巻いたり、肌を全部布で覆ったりしている中東の女性2,032人のうち、 60%の人のビタミンD濃度が12ng/ml以下だったそうです。これは日本で言う骨粗鬆症や骨折、骨軟化症、くる病、虫歯などの発症リスクや筋力の低下が心配される「ビタミンD欠乏症」の値に相当します。

彼女たちのふだんの食生活をはじめとする生活習慣を知らないので、太陽を皮膚に当てないことだけが「ビタミンD欠乏症」の原因とは言えません。しかし、このようなデータからも、日中にはある程度皮膚を露出して日差しを浴びることはやはり健康な心身のために必要だと思ってしまいます。

魚とキノコ類はビタミンDの強い味方

ビタミンDを作るには、サケ、サバ、マグロなど脂肪の多い魚やキノコ類を積極的に取るのもお勧めです。厚生労働省は、食べ物による成人のビタミンD摂取基準を一日8・5μg (340IU)としています。しかし、これは日差しをある程度浴びていることが前提の数字であって、多くの人にはとても足りないと感じます。

そこで念のため、私はサプリメントも活用しています。厚生労働省『統合医療に係る情報発信等推進事業』の「統合医療」情報サイトによると、ビタミンDのサプリメントの安全な摂取上限は1日4,000IU(100μg)。会社の産業医の勧めで、「ナウフーズ ビタミンD-3 2,000IU(μg)」を1日2粒取っています。

その結果、驚くほど風邪をひかなくなりました(以前は2~3ケ月に1回は必ずひいていましたが、ここ3年以上風邪知らずです)。また、風邪に限らず、体の不調があれば睡眠の質も下がります。睡眠の質が下がれば十分な休養が取れなくなり、不調も改善されにくくなるという負のスパイラルに陥ります。もちろん、仕事のパフォーマンスは激落ち確約。

ビタミンDは骨を強くしたり免疫力を上げたりする他にも、さまざまな効果が期待されています。例えば呼吸器疾患、自己免疫疾患、がん、糖尿病、認知症、うつ病などの予防です。現代人が無意識のまま生活していれば、絶対的にビタミンDは不足する。そのことを認識したうえで、ビタミンDを補う方法を検討してください。

次回は、「快眠と健康を手に入れる『夜時間の過ごし方』」についてお伝えします。