先日、男から聞いてウゲーとなった話をふたつ。

栄えあるひとつ目は、2日間彼女の話。「俺、彼女出来たんですよ~、2日間だけ」と、男友達がうれしそうに言うので詳細を聞いてみたら、「知り合ってすぐの女の子と付き合おうかってことになったんだけど、2日間一緒にいたら嫌になっちゃって、それ以後、連絡取ってません」だとか。お前、そりゃー溜まってただけだろう!

栄光のふたつ目は、「前の彼女と別れたときは、何となく付き合ってただけだから、特に悲しくも寂しくもなく、自然消滅って感じ」という発言。

どちらも、ぶっ飛ばしてやろうかと思うくらい、気分が悪い話であった。これらの相手の女が自分だったらたまらない。2日一緒にいただけで嫌になられて、その後きちんとした話もなく、勝手に「別れた」などと言われたってなあ。なんでそんな上から目線なんだ。それに別れた男から「ただ付き合ってただけ」「別れても平気だった」なんて言われたら、空しくってお腹も減らなくなっちゃうよ。またこういう話を、平然と女に聞かせるっていうのもどうなのかね。

こんな話が世の中に蔓延してるから、女は「運命の恋」とか出会いに弱いんだろうな。『MARS』は運命的に惹かれあっちゃった2人の話だったけど、『ときめきトゥナイト』の蘭世と真壁くんは、恋に落ちるのがまさに運命だったらしい。

運命云々の詳細は次週に回すけれども、この真壁くん、登場したときは一般の貧乏人間でした。ところがある日、突然生まれ変わって魔界人になってしまうのだ。15歳だった真壁くんは、魔界人になると同時に赤ん坊に早変わり。そして実の父親(魔界の王様)に命を狙われている彼とそのお母さんは、追っ手からの逃亡生活に入る。その一部始終に立ち会っていた蘭世は、2人の逃亡に全面協力。はい、ここ、ヲトメ萌えです。

先日読んだ、とある携帯漫画は、夫と姑がデキちゃってる話だったが、その姑は「男に絶望してるので、自分の好みの男を育てて自分のものにした」とか言っちゃって、最後は嫁も交えて3人で仲良く布団に入るという大団円を迎えていた。また佐藤史生の『ムーン・チャイルド』は、愛する男と別れた女が彼のクローンを産み、息子として、恋人として育てる話だった。

女は、男に絶望しても深く愛しても、どちらにしろ男をその手で育てたいと思う。そうだよな、恋人になる男って、大人になってから知り合うもので、そのミニチュア版が手元にできたら、さぞかし愛しいだろうな。人生が1本のフィルムだとしたら、恋人の人生をちょっきり切って、生まれたところと現在とをくっつけて一緒に見る感じ。蘭世の場合、世話をするのは、まさに愛しい男そのものなんだから、これはたまらない。

赤ん坊になってしまった真壁くんの世話をしながら、「あなたが15歳になるころ、私は30歳よ?」などと言って蘭世は泣くわけだが、なんだ、たった15歳の年の差くらい。『砂の城』のナタリーとフランシスは16歳差だぞ。ドンマイ!

とはいえ、すぐに真壁くんはすくすくと成長をし、飛び級するみたいに大きくなっていく。しばらくすると、元の真壁くんに戻り、年の差恋愛は杞憂に終わる。よかったー! というわけだけど、これのおかげでその後、真壁くんや蘭世が人間になってしまっても、「ああ、たぶん元に戻るから大丈夫」という安心感がどこかにあり、気楽に読み進められるようになってしまう。トラブルが続くストーリーってのも大変だな。

ところで、真壁くんが父親に命を狙われていた理由は、「魔界の王族の双子は不吉で、魔界に破滅をもたらす」と言われていたからだ。真壁くんは、王子アロンと双子だった。しかし、ごっちゃごっちゃやるうちに、魔女のばばあが突然「もしやこれは破滅ではなく、新世紀、という意味だったのでは」などと言い出し、晴れて真壁くんは助かることに。しかし、ばばあよ、そんないい加減な予言をしていたのか。そして、そんな適当なばばあの言うことを鵜呑みにしていた王様よ、大丈夫なのか? 政治能力のほうは。
<つづく>