iLife '09を入手しました。いろいろ強化されているようですので、時間をかけ情報を整理したうえで記事をお届けしたいと思います。いましばらくお待ちくださいませ。

さて、今回は「リモートデスクトップ」について。離れた場所にあるコンピュータをデスクトップの操作を通じてコントロールする、という一種の遠隔操作機能だが、Leopardに標準装備されていることは案外知られていない。今回は、その基本的な設定方法と、ツールバーのカスタマイズを含むTIPS情報を紹介してみよう。

OS X Leopardのリモートデスクトップ機能

OS X Leopardのシステム環境設定にある「共有」ペインには、「画面共有」なる項目がある。これが今回のテーマであるリモートデスクトップ機能で、10.3 Pantherから10.4 Tigerまで装備されていた「Apple Remote Desktop」の強化版だ。名称変更の理由は定かでないが、製品として販売されている「Apple Remote Desktop」との重複を避ける意図かもしれない。

というのも、Panther / Tigerの同機能は、遠隔操作を受け付ける (リモートサーバ) ことは可能だったものの、クライアントが装備されていなかった。リモートサーバを遠隔操作するためには、クライアント機能を持つ製品「Apple Remote Desktop」の購入が必要で、それが普及の妨げとなったことは否めない。フリーのデスクトップ共有ソフト「VNC」をクライアントとして使うことも可能だったが、認知度は高くなかったように思う。

Leopardのシステム環境設定にある「共有」ペイン。ここで「画面共有」をチェックすれば、他のLeopardマシンからの遠隔操作が可能になる

Leopardのリモートデスクトップ機能には、サーバとクライアントの両方が含まれている。システム環境設定の「共有」ペインで「画面共有」を有効にすればApple Remote Desktopのサーバとなり、Finderのサイドバーにある「共有」欄からアイコンを開けば、クライアント (Screen Sharing.app) が起動する。正しく設定すれば、Leopard以前のシステムもサーバとして (遠隔操作の対象として) 利用可能だ。このようにOS標準の機能だけで、しかも出色のイージーさでリモートデスクトップが使えるという点は、もっと知られて然るべきと考える。

Tigerの「共有」ペイン。「Apple Remote Desktop」をチェックしたうえで、右図のようにアクセス権を設定しなければ、Leopardから遠隔操作できない

Finderの「共有」欄に表示されたアイコンをクリック、続けて[画面を共有...]ボタンをクリックすれば、ログイン用のダイアログが現れる

「ScreenSharing.app」の隠し機能

リモートデスクトップ機能のクライアント (Screen Sharing.app) には、いくつかの隠し機能がある。よく知られているのは、Bonjour名のリストからサーバを選択できるようになるというもので、以下のコマンドをTerminalから実行すればOK。多くのユーザにとってメリットがある機能とは思えないが、多数のOS Xが同一ネットワーク上に存在する環境では便利に使えるかもしれない。


$ defaults write com.apple.ScreenSharing ShowBonjourBrowser_Debug 1

Bonjour名で接続先をブラウジングできるようになる

ここで是非とも検討したいのが、ツールバーの改造。Screen Sharing.appの初期値では、クリップボードデータの送信など3種類のボタンしか表示できないが、plistファイルにとある情報を書き込めば、最大で9つものボタンを配置できるようになる。これはTIPSというか裏ワザとしてよく知られていたが、リモートデスクトップ機能に潜むセキュリティーホールが修正されたOS X 10.5.5以降は、残念ながら利用できなくなっていた。

今回は、LeopardのインストールDVDから修正前のScreen Sharing.appを取り出し、現行のOS X 10.5.6のものと差し替えることにより、この裏ワザを復活させてみよう。まずは、インストールDVDをセットした状態で、次のとおりTerminalからコマンドを実行してほしい (要管理者権限)。なお、HDDの空き容量を3GB以上確保しておくことと、インストールDVD-ROMに収録されたOSのバージョンがv10.5.4以前であることは、事前に確認しておこう。

なお、この方法はセキュリティ対策前のバージョンに戻すという危険な行為であることを、十分に認識しておいてほしい。筆者および編集部は一切の責任を負わないので、念のため。

旧バージョンのScreen Sharing.appを取り出す作業には、フリーウェアの「unpkg」 を使用する。エラーが続発するが無視して構わない


$ cd ~
$ cp /Volumes/Mac\ OS\ X\ Install\ DVD/System/Installation/Packages/Essentials.pkg .
(このあと「unpkg」でパッケージを展開)
$ cd /System/Library/CoreServices/
$ sudo mv "Screen Sharing.app" SCAPP.bak
$ sudo mv ~/Essentials/System/Library/CoreServices/Screen\ Sharing.app .

これで、Screen Sharing.appは置き換えられたはず。あとは、定石どおり以下のコマンドラインを実行すればOK。これで、画面共有が開始されると、ツールバーには9種類のボタンが表示されているはずだ。


$ defaults write com.apple.ScreenSharing \
   'NSToolbar Configuration ControlToolbar' -dict-add 'TB Item Identifiers' \
   '(Scale,Control,Share,Curtain,Capture,FullScreen,GetClipboard,SendClipboard,Quality)'

このようにツールバーが表示されればOK

元の状態へと戻す場合には、以下のコマンドを実行すること。ここでは「SCAPP.bak」という名前でバックアップしているので、再び利用する場合は「Screen Sharing.app」と置き換えればいい。


$ cd /System/Library/CoreServices/
$ sudo mv Screen\ Sharing.app oldSCAPP.bak
$ sudo mv SCAPP.bak Screen\ Sharing.app

セキュリティ上の懸念はあるが、OS標準の機能だけでフルスクリーン表示できることは魅力的