連載『保険なう』では、保険の世界における旬のトピックスをとりあげて、読者の皆さんに知っていただきたい保険の知識を提供します。


2016年10月から社会保険の適用基準が拡大されます。これは具体的にどのような変化になるのでしょうか。

今までは、パートやアルバイトなどの短時間契約で働いている方々の場合、週30時間以上の勤務で厚生年金に加入ができていましたが、2016年10月以降、「週20時間以上の勤務」「月額賃金8.8万円以上(年収106万円以上)」というように基準が緩和されます。

ただし、これには1年以上の勤務期間が見込まれること、そして501人以上の企業に勤め、学生以外であることが条件となっています。このような条件があるにせよ、現在短時間契約で働いている方々にしてみれば大きな変化となりますよね。

社会保険の適用基準拡大には賛否両論?

今回の適用基準拡大については、「私たちの老後の資金確保のために必要だ」というポジティブな意見と、「厚生年金に加入することになると手取り額が減ってしまう……」というネガティブな意見と、私の周りでは賛否両論聞こえておりますが、皆さんはどちらのご意見に賛成ですか?

厚生労働省の調査によると、平成26年時点での平均寿命は男性が80.5歳、女性が86.83歳となっており、その前の年と比較しても男性は0.29歳、そして女性は0.22歳寿命が延びています(出典: 厚生労働省 2015簡易生命表の概況)。

上記データをもとに寿命が延びていくと仮定すると、退職して自分で稼ぐことができなくなってからの人生も、まだまだ長いといえるのではないでしょうか。そう考えると必然的に老後の資金もその分多く必要になりますよね?

また、下記10年ごとの出生数をご覧ください。

年 出生数
1975年 1,901,440
1985年 1,431,577
1995年 1,187,064
2005年 1,062,530
2015年 1,008,000
(出典: 厚生労働省 2015年人口動態統計)

これだけ出生数が減っているという事実から、自分たちが老後を迎えたときに若い人たちに頼ることが難しいと捉えると、老後の資金確保は自主努力が不可欠ではないかと考えられます。

老後の資金確保の選択肢はいろいろある

前置きが長くなってしまいましたが、自助努力と言っても方法はさまざまかと思いますが、国の年金制度以外にはどのようなものがあるのでしょうか?

・預金
・株や投資信託
・個人年金保険
・生命保険を利用した資産形成

ぱっと思いつく限り、上記のような自助努力の方法があります。中でも生命保険を上手に利用した資産形成は、保障もついているため老後のさまざまなリスクに備えることができます。

生命保険で老後に備える

生命保険とは、払込期間中に保険料を納め、万が一被保険者が死亡した場合、残された家族のために保険金が下りるという保険です。

ただし、払込期間を終えても死亡しなければ、そのまま据え置きにしておくことで、予定利率(被保険者に約束する運用利回り)によって解約返戻金が増えていく商品もあります。

いくら寿命が延びても、病気のリスクや介護のリスクは若い時に比べれば高くなりますよね? そのようなリスクに保険で備えながら、何もなければお金を運用することで増やしていき、必要なときに解約返戻金という形で受け取ることもできるんです。

また、納税者が一定の生命保険料、介護医療保険料及び個人年金保険料を支払った場合には、一定金額の所得控除を受けることができます。保障がついて、貯蓄性もあり、所得控除を受けることができる保険で賢く備えておくのも一つの自助努力の方法と言えるのではないでしょうか。

老後の資金確保は今のうちに

平均寿命の延伸からも、私たちは老後の人生をよりよく歩んでいくための資金を自分自身でしっかりと用意しておく方が良い時代だと言えるでしょう。

保険料は年齢が上がるにつれ高くなります。健康状態によっては加入する事が難しくなる場合もあります。今回の社会保険適用基準の拡大は、少し長期的な目線で年金のこと、ご自身の老後の資金のこと、について考えてみる良い機会となるかもしれませんね。

<著者プロフィール>

安本佐和子

2010年 株式会社保険見直し本舗へ入社。お客様のライフプランの実現のため「寄り添い」を大切にしながらファイナンシャルプランニングを行う。大分市を中心に活動中。
AFP(日本FP協会認定)、住宅ローンアドバイザー、ALCP ライフケア・プラクティショナー。

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