特に美人というワケではないし、飛びぬけておしゃれ上手というワケでもないのに、なぜか目を引く「好印象」なあの人。

一方、どんなに見た目が良くても、なぜか印象に残らない「残念象」(残念な印象)なあの人。

せっかくなら、誰もが「好印象」を身につけたいはずです。では、どうすれば、「残念象」を「好印象」に魅せることができるのでしょうか?

ニューヨークと東京で長年、ファッションデザイナーとしてアパレル業界で働いてきた原田眞里さんの『ニューヨークで学んだ最高の魅せ方』(あさ出版)から、その方法の一部をご紹介します。

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■「選ばれる人」になるための印象戦略

もともと持っている自分らしさをベースに、戦略的に意図するイメージを作り上げることを「印象戦略」と言います。

好印象であることはもちろん、ピンポイントで「選ばれる」ためには、相手や目的に合わせて自分を印象づける必要があります。

例えば、高額商品を扱うのなら"高級感"を、楽しさを提案するのなら"ワクワクするような雰囲気"を、癒しのサービスを提供するのなら"やすらぎの空気感"を、それぞれ打ち出し、「選ばれる」ためにアピールするのです。

印象戦略を成功させるためには、装いだけに気を遣えば良いということではありません。 「ファッション」「アクション」「マインド」の、3つの軸のバランスを整えることが重要です。

3つの軸が偏ることなく、バランス良く整ってこそ好印象であり、印象戦略が成功します。

バランスを欠いた「残念象」(残念な印象)を抜け出し、好印象を実現する、3つの軸について詳しくご説明しましょう。

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■3つの軸(1) ファッション

ファッションは、あなたという「商品」を包む、包装紙の役割を果たします。包み方が美しく整って魅力的であればあるほど、商品への期待感も高まります。

中身がどのようなものなのか、包装の仕方である程度、想像がつくのと同じで、装い方は、あなた自身、あなたの商品・サービスを物語るものです。

だからこそ、ファッションはとても重要です。

ここで言うファッションとは、装い、色使いに関することです。

わかりやすいように、私は装いについては、「服装術」、色使いに関しては、「色彩術」と呼んでいます。

「ファッション」と「服装術」には違いがあります。

ファッションとは、好きだから身につけるもので、古着のリメイクでも、ハンドメイドでも、デザイナーズものでも、どんなに派手でも地味でも、誰かに迷惑がかからない限り、自分の個性に合わせて好きに楽しむものです。

一方、服装術は、単に好き嫌いで着るものではありません。相手にどのように自分を印象づけたいかという、相手ありきの印象戦略に基づいた装い方です。

「より明るい印象にするには?」「信頼感を表現するには?」「親しみやすさを感じさせるには?」など、打ち出す目的に応じて、アイテム、素材感、ボリューム感などを含めて、服から小物、アクセサリー使いまで、装い全体を考えます。

また、「どうすれば体型コンプレックスをカバーできるのか?」「どうすればより魅力的に魅せることができるのか?」ということも含めた、自分という素材を活かした魅せ方の方法でもあります。

「色彩術」も同じです。「好きだから(似合うから)身につける色」ではなく、「より信頼感を表現するには?」「より親しみやすさを感じてもらうには?」「よりプロらしさを表現するには?」などの角度から、戦略として色を吟味します。

■3つの軸(2) アクション

より良い人間関係を構築する上で、コミュニケーションは欠かせません。

伝えるべきことが相手に伝わり、正確に理解されるためには、コミュニケーション技術を磨く必要があります。良いコミュニケーションのために必要なのが、アクションです。

ここで言うアクションとは、動作表現のことで、笑顔をはじめとする表情、話し方、姿勢、身のこなしなどが含まれます。

前述の「服装術」「色彩術」が完璧だとしても、マネキンとは違い、人間は話もするし動き回ります。

コミュニケーションを円滑にするための動作表現は、印象を左右する重要な要素のひとつです。それを私は、「アクションテクニック」と呼んでいます。

中でも重要なのは、「話し方」です。「話し方」が上手だと、聞き取りやすく、話がきちんと伝わります。コミュニケーションもスムーズに行えて、好印象を抱いてもらいやすいです。

話すスピード、間のとり方、声のトーンなどが大切です。

話し方と同様に大切なのが「表情」です。豊かに反応することで、傾聴していることを相手にしっかり示せます。

驚き、共感、納得、好感、同意、尊敬など、言葉で多くを語らずとも表情がそれを代弁してくれます。

「姿勢」も重要です。装いがどんなに素敵でも、丸い背中で首を前に突き出した姿勢では魅力が半減してしまいます。顔を上げて胸を張っていて背筋が真っすぐな人には、堂々と自信がある印象を抱くでしょう。

■3つの軸(3) マインド

好印象を作る上で最も重要なもの。それは、マインドです。実は、目には見えないマインドが、ファッションやアクションなど見える部分を形作っているのです。

マインドとは、心の在り方、考え方、信念などを指します。

表情や話し方、身のこなしやしぐさなどの動作表現はもちろん、装い方など目に見えるものにはすべて、日頃の生活態度や心の状態が表れます。

目に見えない心の状態や考え方がカタチとして表れたものが、「印象」となって人の目に映ります。ですので、このマインドこそが、好印象を作る上で最も重要なものと言えるでしょう。

好印象を身につけるには、ブレない心の軸を定める必要があります。

たとえどんなに美しく着飾ってみても、どれほど正しいマナーでお行儀良く振る舞ったとしても、どんなに素敵な笑顔を作っても、心が伴っていなければ表面上の美しさにしかすぎません。

小手先のテクニックや技術は、得ようと思えばいつでも得られるでしょう。でも心が伴っていないと、テクニックや技術が崩れるのは時間の問題です。

「心の在り方、考え方が見た目のすべてを左右する」と言っても過言ではないでしょう。

「ファッション」「アクション」「マインド」の3つの軸が、バランス良く整うことで初めて、「残念象」が「好印象」となります。

仕事やプライベートなど、様々なシーンで「選ばれる人」になるために、この3つの軸を整えていきましょう。

原田 眞里

好印象プロデューサー/株式会社プレミアムステージ代表取締役/好印象プロデュースアカデミー主宰。ニューヨーク州立ファッション専門学校F.I.T.卒業。ファッションビジネスの本場、ニューヨークのアパレル業界で約10年のキャリアを積む。帰国後は、ファッションデザイン企画会社を設立して独立。デザイナー、バイヤー、コンサルタントとして20年以上にわたり、8000人以上の女性たちの装いと印象作りをサポートしてきた。「ファッション迷子」「印象迷子」の方々をより深いレベルでサポートしたい、との思いで現在は、独自開発の「好印象スター診断(R)」「好印象ヒーロー診断(R)」で個人の印象の基礎を見つけ、それをもとに好印象に磨きをかける「好印象プロデュースプログラム」を提供。女性起業家、ビジネスパーソン、ドクター、弁護士、政治家まで、幅広いクライアントを持つ。

『ニューヨークで学んだ最高の魅せ方: 自分を100%輝かせるセルフプロデュース術』(原田 眞里 著/あさ出版 刊)

ニューヨークと東京のファッション業界の最前線で活躍してきた著者が、好印象を与える「魅せ方」についてまとめた1冊。印象で大切な「ファッション」「アクション」「マインド」の整え方を紹介。