各社から様々な特徴を持つ完全ワイヤレスイヤホン(TWS)が発売されていますが、中でもここ数年で一気に台頭してきたジャンルがオープンイヤー型、いわゆる「耳をふさがないイヤホン」と呼ばれる製品です。

その中でも注目を集めているのが、ファーウェイから発売された「HUAWEI FreeClip」。イヤーカフのように耳の横側に装着するスタイルが特徴的で、オーディオやガジェットに興味の無い層からも関心が寄せられています。

従来の多くのイヤホンと全く異なるデザインなだけに、その使い勝手も気になるところ。今回はそんな注目機種をお借りできたので、実機レビューをお伝えしていきます!

  • HUAWEI FreeClip。耳を挟み込むように装着して音楽などを聞ける、オープンイヤー型の完全ワイヤレスイヤホンです

前後非対称のカフ型完全ワイヤレスイヤホン

スマートフォンやタブレットPC、スマートウォッチなどでも有名なファーウェイは、実はオーディオにもかなり力を入れているメーカー。スタンダードなTWSだけでなく、意欲的なプロダクトも数多く発表されていますが、今回のモデルもその筆頭と言えるでしょう。

その最大の特徴は、先述の通り耳の横側に装着するイヤホンであるということ。一般的なオープンイヤー型のTWSは耳の上に引っ掛けるようなタイプが多く、そのためにここまで小柄なモデルもほとんどありませんでした。まずはそんな外観からチェックしていきましょう。

  • FreeClipの本体。音が鳴る球状の部分(アコースティックボール)を耳穴側に、そら豆のような平たい部分(コンフォートビーンズ)を耳裏に装着します

イヤホン本体はつるんと丸みを帯びた前後非対称のデザインで、まるでミニチュアのヘッドホンのような可愛らしいフォルム。一方で光沢のあるブラックのボディはガジェットらしい高級感もあります。ちなみに他にもパープルのカラーバリエーションが用意されており、全く印象が異なるのも面白いところ。

中心の「Cブリッジ」と呼ばれるパーツはニッケルチタン形状記憶合金製で、“合金”という言葉から受ける印象とはうらはらに、柔軟に曲げ伸ばし可能。滑り止めのコーティングがされているような質感でつまみやすくなっており、ケースや耳への着脱もカンタンに行えます。

充電ケースは楕円形で、手のひらに収まるサイズ感。イヤホン単体で約8時間、充電ケース込みで最大約36時間の再生が可能と、コンパクトながら実用的なスペックです。ケース側面にはペアリング用のボタンも備えられています。

  • 中央で「C」の形に曲がっている部分が「Cブリッジ」。軽い力で柔軟に開いたり閉じたりできます

  • 後ろ側は「コンフォートビーンズ」と呼ばれるパーツ。中央が少しくぼんでおり、耳裏にフィットしやすくなっています

  • 耳元で音を鳴らす「アコースティックボール」と呼ばれるパーツには、約10.8mmのデュアルマグネットダイナミックドライバーを内蔵

  • 左右は全く同じ形。耳に装着すると、自動で左右を判別して音楽を再生します

  • 本体をケースに入れた状態で、ケース側面のボタンを長押しすると、Bluetoothのペアリングが可能に

  • ケースを閉じたところ。充電インタフェースはUSB Type-C

実際に装着! しっかり耳をホールド、でも痛くない

それでは装着してみましょう。イヤホン本体はつるつるとした滑らかな質感なので、耳の側面にイヤホンを当てるとスルリと装着されます。しっかりと耳にホールドしてくれる反面、挟まれているような痛みはありません。

洗濯バサミのようなイメージというよりは、スポッとちょうどいいところに収まってくれているような感じ。頭を振ったりしても全然外れる気配がありませんが、手で引っ張ればすぐに外れる絶妙なホールド加減です。

  • 耳にFreeClipを装着してみたところ。やさしく耳が挟まれ、頭を振っても外れる印象はありません

安定感があり、片側5.6gと軽量であることも相まって、まさに着けていることを忘れてしまうような装着感。それどころか、慣れないうちは「あれ、ちゃんと付いてるよね!?」と思わず確認してしまうほどに自然な感覚でした。

筆者はメガネをかけたり、帽子を被ったり、マスクをしたりと耳の周りに物を身につけることが多いのですが、それらにも干渉しないので扱いやすく、文字通り付けっぱなしでも全く問題ありません。ちなみに、IP54の防塵防滴性能も備えているため、運動時や急な雨でも付けたままでいられるのは嬉しいポイントです。

  • 耳の上はメガネのつるやマスク、帽子のふちまで乗っかる“一丁目一番地”的な場所。ここと干渉しない装着方法は助かります

なお、イヤホン本体は左右の区別がなく、どちらに付けても自動的に識別してくれる機能も搭載されているので、通話などの際に急いで耳に付けたり、ケースに戻したりする時も、いちいち左右を気にする必要が無いので便利です。

また、再生操作はCブリッジや本体をタッチすることで行えますが、デフォルトの操作がダブルタップ、もしくはトリプルタップとなっているため、触れただけでうっかり再生/停止が行われてしまう心配もなく、これもまた扱いやすい仕様といえます。

  • 手に載せたところ。片耳5.6gと軽量。おおむね本体のどこをタップしても操作可能です

  • 左右の区別がなく、左耳に装着した本体をケースの右側へ戻しても問題なく収まります

音質は? 低音がなかなか満足度の高い再生力

最後に肝心の音質をチェック! iPhone 15 Proと接続し、Apple MusicでAdo「唱」を再生してみると、オープンイヤー型のイメージを覆すような明瞭かつパワフルなサウンドに驚かされました。粒立ちが良く、スネアやハイハット、クラップなどのディテールもクッキリとしています。

  • iPhone 15 ProとFreeClipを接続してみました。クセのない音作りで、ジャンルを選ばずに聴けそうです

また、特に気に入ったのが低音の再生力。量感としては特別に大きいわけではないものの、キックひとつ取っても身の詰まった重みを感じられ、なかなかに満足感の高い鳴り方です。ボーカルも非常にクリアで、本楽曲の複雑でバラエティに富んだ歌唱のニュアンスも余すことなく楽しめます。

玉置浩二「メロディー」では、低音の成分までしっかり感じられるボーカルの深みのある響きが美しく、繊細なファルセットや伸びのあるハイトーンまで細かく堪能できます。アコースティックギターの温かみのある音色もリアルに感じられ、生音系の描写力もなかなかのもの。クセのない音作りなので、ジャンルを選ばずに楽しめるバランスの良さが感じられました。

「じっくり音楽を聴くなら、耳に入れるイヤホンの方が良いのでは?」と思っていましたが、耳穴が空いているおかげで閉塞感が無く、イヤホンでの視聴とスピーカーでの視聴の中間のような感じで、むしろ自然に没入することができます。

オープンイヤー型のイヤホンの音質も年々向上していますが、いよいよ「悪くない」の領域を超えて、音質重視での選択肢のひとつに入ってきているといっても過言ではないかもしれません。

  • 耳に入れるイヤホンでの視聴と、オープンなスピーカーでの視聴の中間のような感覚でした

騒がしい場所には不向き。音漏れ対策はかなり優秀

ただし、オープンイヤー型のメリットでありデメリットでもあるといえますが、周りの音がよく聴こえる分、当然ながら騒がしい環境では音楽が聴き取りづらくなってしまうことには注意が必要です。

実際に自宅の周りや街中で音楽を再生しながら歩いてみたところ、後ろから来る車や自転車の音にもちゃんと気づくことができたり、コンビニのレジなどでイヤホンを外さなくてもスムーズに会話ができたりと、イヤホンをしていない時と全く変わらない聞こえ方で過ごせたのはやはり耳をふさがない良さがあります。掃除や料理といった家事作業でも問題なく物音が聴こえますし、付けっぱなしでもバッチリ生活できてしまうほどです。

また、オープンイヤー型で気になりがちな音漏れについても対策されています。耳穴の前に位置するアコースティックボールには逆音波システムが組み込まれており、周りに漏れる音を打ち消すことで音漏れを抑えているとのこと。

実際に静かな室内で知人に試聴してもらったところ、音量バーの50~60%程度であれば、隣に居ても全く音漏れは聴こえませんでした。

とはいえ、たとえば走行中の電車内などの騒がしい場所でしっかり音楽を楽しもうと思えば、それ以上に大きく音量を上げる必要があるはず。そうなると流石に多少の音漏れは避けられないかと思います(もっとも、それは一般的なイヤホンにもいえることですが……)。

あくまで室内や徒歩での移動中など、比較的静かな場所で使用するのが主の製品といえるでしょう。

  • PCと組み合わせてオンライン通話やリモート会議にも役立ちました。耳穴をふさがないため自分の声がこもらず、Discordでの通話も楽しめました

ちなみにヘッドセットとしても優秀で、通話やリモート会議時にも活躍してくれました。実際にDiscordでの通話で使用してみると、耳穴を塞がないために自分の声もこもらず、相手からも聞き取りやすいと好評でしたので、快適に会話を楽しむことができました。マルチポイント接続にも対応しているので、スマートフォンやPCに接続して、幅広く運用するのもオススメです。

以上、「HUAWEI FreeClip」のご紹介でした。耳の横側に付けるというユニークさと、その形状に最適化されているといえる合理的な完成度の高さ、そして優れた音質が揃った1台。流行りのオープンイヤー型に興味がある方は、この新しい再生感覚をぜひ一度体験してみてください。