米Microsoftは2月22日(現地時間)、「フォト」アプリの新AI機能「Generative Erase」を発表し、Windows 11 Insidersの全てのチャンネルで同機能のロールアウトを開始した。このアップデート(バージョン2024.11020.21001.0)では、「フォト」のAI編集機能をArm64デバイス向けのWindows 11とWindows 10でも利用できるようにする。

同社は昨年春のアップデートで、「フォト」に「スポット修正」(Spot fix)を追加した。写真から取り除きたいを部分(シミや風景に写ってしまった人物など)を指定して簡単に除去できる機能である。Generative Eraseは、それを生成AI技術で強化した機能になっており、画像加工機能としての基本的な役割は同じだが、簡単な操作で正確に範囲を指定でき、除去した部分が自然に仕上がり、より大きな範囲にも使用できる。

Generative Eraseは[画像の編集]で使用する。スポット修正は除去範囲を大まかにしか指定できないが、Generative Eraseではブラシを使って詳細に範囲を指定できる(ブラシのサイズは調整可能)。

上の例の場合、犬から細いリードが長く伸びていて、犬の毛と砂浜の色が似ており、犬の毛並みは複雑だ。リードを削除した部分を自然に仕上げるのが難しい写真である。Generative Eraseでは、リードをブラシで塗りつぶすだけで、Auto Apply(自動適用)機能がリードを認識して削除し、生成AIがコンテンツに応じたイメージを作成して埋めてくれる。

Auto Applyをオフにすることで、除去範囲のマスクをより詳細にコントロールしたり、下の例のように複数のオブジェクトをマスクして一度に除去することが可能になる。

生成AIを用いて不要なオブジェクトを除去する機能は、Googleの「消しゴムマジック」で注目を集めたが、同機能の利用にはGoogleのデバイスやGoogle Oneへの加入が必要になる。人々の関心が高い生成AIによる写真編集機能がWindows PCで広く利用できるようになる価値は大きい。

Windows Insidersの「フォト」プレビュー版には、Generative Eraseのほか、安定性を向上させる修正と改善が含まれる。Arm版Windows 11とWindows 10への展開に関しては、背景ぼかし、背景の削除と置換、Generative Eraseなど、Windows 11の「フォト」が備える全てのAI機能を提供する予定になっている。