第37期竜王戦1組(主催:読売新聞社)はランキング戦と出場者決定戦が進行中。2月21日(水)には計2局が行われました。このうち、東京・将棋会館で行われた出場者決定戦の羽生善治九段―丸山忠久九段戦は127手で丸山九段が勝利。横歩取りの熱戦を制して本戦進出に向け前進しました。

熾烈な出場権争い

両者が戦う5位トーナメントは9人からなる山を勝ち抜いた1名が本戦出場権を得るもの。振り駒が行われた本局は先手の丸山九段が横歩取り青野流に誘導して幕を開けました。対する羽生九段が自陣に歩を埋めて屈伏したのはつらいようでも定跡化された手順です。

1筋の歩を伸ばした丸山九段はそのまま端攻めを起点にリズムをつかみます。高く構えた四段目の飛車が敵陣の進展性を奪っているのは見逃せない点で、耐えかねた後手が左金を上がれば後手陣はさらに愚形になるという寸法。両者長考を重ね濃密な中盤戦が続きます。

丸山式青野流の快勝譜

首尾よく仕掛けを得た丸山九段は手筋の連続で徐々にリードを拡大します。歩の成り捨てで香を釣り上げてから盤上中央に角を打ったのは香取りと竜の侵入を含みにした両狙い。一見単純なこの手が厳しく、ここから後手の羽生九段は防戦一方に追い込まれました。

夜戦に入ると丸山九段は後頭部に冷却シートを貼りつける独自の戦闘態勢を披露。形勢も先手優勢で終盤戦に突入します。終局時刻は21時57分、最後は自玉の詰みを認めた羽生九段が投了。最終盤に猛追を見せた羽生九段ですが、丸山九段が踏みとどまった形です。

勝った丸山九段は次戦で松尾歩八段―稲葉陽八段戦の勝者と対戦します。一方敗れた羽生九段は2組への降級が決定。32期連続で在籍した1組以上の座を明け渡すことになりましたが、「また来期がんばります」と前を向きました。

水留啓(将棋情報局)

  • 丸山九段は昨年11月に行われた達人戦決勝の借りを返した(写真は第33期竜王戦挑戦者決定三番勝負第1局のもの 提供:日本将棋連盟)

    丸山九段は昨年11月に行われた達人戦決勝の借りを返した(写真は第33期竜王戦挑戦者決定三番勝負第1局のもの 提供:日本将棋連盟)