第50期棋王戦コナミグループ杯(共同通信社と観戦記掲載の21新聞社、日本将棋連盟主催)は予選が進行中。2月19日(月)には第8ブロックの脇謙二九段―藤本渚四段戦が関西将棋会館で行われました。対局の結果、相居飛車の力戦を81手で制した藤本四段が次回戦進出を決めました。

最高勝率の行方は

この3日前に東京・将棋会館で行われた佐藤天彦九段戦(王位リーグ)を戦った藤本四段はハードスケジュールの年度末。藤井聡太竜王・名人を抑えて暫定首位につける勝率ランキングの面でも注目が集まります。振り駒が行われた本局は藤本四段が先手で雁木を志向。

後手が角を転換したのを受けて藤本四段は中住まいに作戦をシフト。空いた空間を使って飛車を8筋に大移動したのが本局の作戦の骨子となる一手でした。飛車先逆襲を見せられた脇九段はたまらず局面打開を図りますが、ここから藤本四段の指し回しが光ります。

藤本四段が充実の勝利

左辺一帯を使った後手の仕掛けは迫力満点ですが、藤本四段はこれを手抜いて悠々と8筋を突破。後手からの攻めをすべて見切ってこそ指せるこのと金づくりが好手で局面は徐々に先手優勢へと傾きます。脇九段渾身の角捨てにも藤本四段は1分未満の考慮で対応。

終局時刻は15時58分、最後は形勢の開きを認めた脇九段が投了。投了図で駒損の後手としては先手玉の右辺への逃げ出しを止めるのが難しい形でした。勝った藤本四段は今期勝率を0.863に更新。次戦では畠山鎮八段と顔を合わせます。

水留啓(将棋情報局)

  • 感想戦で藤本四段は「先手らしくない展開にしてしまった」と序中盤を反省

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