“触れてはならない”、まさに“アンタッチャブル”なネタを取り上げる挑戦的なバラエティが2023年4月にスタートした。その名も『ひらけ! パンドラの箱 アンタッチャブるTV』(カンテレ・フジテレビ系 毎週火曜21:00~)。ゴールデン帯レギュラー番組・初MCとなるアンタッチャブルの2人が、ネットにあふれる謎のレビューや低評価の真偽をホテルや旅館、ときには海外に確かめに行く「謎レビューツアー」企画や、パンサー尾形貴弘率いる「尾形軍団」が世の中の違法行為や困りごとを検証・取り締まる企画など、ほかでは見られないような禁断のネタや体当たりなロケで視聴者の心をつかんでいる。

今回は、放送されるたび大きな反響を呼んでいる「尾形軍団」の企画について、総合演出を手掛ける横田幸介氏にインタビュー。ゴミ拾い企画誕生のきっかけや、尾形の魅力を聞いた。

  • 『アンタッチャブるTV』より尾形軍団=カンテレ提供

■尾形にオファーしたきっかけは「何事も一生懸命に取り組む姿」

――これまでの『アンタッチャブるTV』放送の中で、特に反響が大きかった企画を教えてください。

スタッフもタレントさんも本当に大変だと思うのですが、毎回反響をいただくのは「尾形軍団」の企画です。渋谷の夜の街を徘徊するだけで、番組の趣旨である「危険なものに触れる」ということが叶うんじゃないか、何かネタになるんじゃないかと、ディレクターが渋谷で一晩カメラを回してきてくれたんですけど、映像を見ると危険なもの以前にゴミがすごくて。このゴミを拾ったら一体どれぐらいの量になるんだろうというところから、この企画が始まりました。ゴミを拾うだけのロケを誰にやってもらったら面白くなるだろうと考えたとき、過去に『マルコポロリ』(カンテレで毎週日曜13:59〜に放送されている関西ローカルのバラエティ番組で、かつて横田氏が総合演出を担当。今年8月に放送800回を迎えた長寿番組)で、どんなこともすごく一生懸命に取り組んでくれた尾形さんの姿を思い出してオファーしました。

――「尾形軍団VS渋谷」という企画として形になりましたが、改めて尾形さんの魅力に感じたところを教えてください。

単純にゴミがどれぐらいの量になるのか知りたいだけの企画だったので、最初は短い尺を想定していたんです。でも撮影したものを見ると、一生懸命な尾形さんの姿から一晩中ゴミを拾う大変さがストレートに伝わってきて、だんだんゴミが捨てられていることに腹が立ってくるというか。尾形さんの超越した一生懸命さが人の心を動かす映像になっていて、それが反響につながったんだと思います。尾形さんは現場でも不満を言うし、怒るし、悲しむし、喜怒哀楽を全部出す方で、ウソがないから視聴者の方の気持ちも乗っかりやすいんですよね。こういう企画が似合う芸人さんだと感じます。来週12月5日には、尾形軍団がハロウィンの夜に再び渋谷でゴミと格闘する姿を放送予定です(渋谷区から許可を得て撮影)。「いままでとは違う渋谷と尾形」「ホッコリ要素」もある仕上がりになっておりますので、こちらも是非ご期待ください。

■「軍団員」たちが尾形のモチベーションに

――尾形さんの企画だと、今ニュースでもたびたび取り上げられている「桃の移動販売車」とのバトルも、攻めた企画で面白かったです。この撮影も大変だったのでは。

僕じゃなくて、尾形軍団と担当のスタッフさんたちがめちゃくちゃ大変そうでした。作家さんが絞り出してくれた案なのですが、最初はこれを取り上げるのは無理だろうなと思っていて。でもADさんがウソみたいな張り込みをして、2週間くらい移動販売車を追いかけてくれたところ撮影できそうだと分かりました。スタッフがギリギリまで頑張ってくれて、尾形軍団の皆さんもその熱に応えてくれてこういう色んな人の思いが乗った企画の評判がいいのはすごくうれしいです。桃の企画に関しては、「許せない」という怒りの思いがほとんどですが。

――尾形さんが、桃の移動販売車に違法性を直接注意しにいくという展開にはびっくりしました。

こんな大変な企画も尾形さんは毎回快諾してくださって「いや、それはできないよ」と言われないのが逆に不思議でもありますが(笑)、本当にありがたいという気持ちしかありません。柴田さんが尾形さんに「いつもありがとうね」とねぎらいの声をかけたときにも「なんでもやります」と言ってくれていたと聞きました。あと尾形さんは、「尾形軍団」として軍団員たちと一緒に仕事ができること、テレビに出してあげられることがモチベーションになっているみたいで。これまでも、今年の『キングオブコント』で優勝したサルゴリラの赤羽(健壱)さんや、準優勝したカゲヤマの益田(康平)さんにも出演していただいたのですが、芸人さんには計り知れないつながりがあって、支え合っていて、僕は芸人さん同士のそんな関係が好きなんです。これからも「尾形軍団」として出演していただいて、それが番組の色にもなればいいなと思っています。軍団員と一緒にいる尾形さんは最高に面白いし、最高にかっこいいです。

■続々と新たな「軍団」が登場

――本日、尾形軍団の最新作が放送されるとのことですが、見どころを教えてください。

尾形さんと軍団員の皆さんが「とある町の厄介ごと」に切り込んでいます。「自分の町でおんなじ事がもしも起こっていたら……」と尾形さんたちを通して見ていただけると色んな感情が湧いてくると思います。

また、先週の放送では「マシンガンズ軍団」が大阪のゴミ問題と戦いましたが、今回も「バイきんぐ西村軍団」という新たな芸人軍団が登場します。かなりハードな問題に対して、西村さんを中心に挑んでもらいました。こちらもぜひ放送を楽しみにしてください! 今後も芸人軍団とスタッフが一丸となって、社会のいろんな問題にアタックすることが番組の色になればいいなと思っております。芸能事務所の皆さま、我こそはという軍団がありましたら、是非とも番組にお声かけのほどよろしくお願いいたします。

――各芸能事務所にこのメッセージが届くことを祈っております!(笑)ありがとうございました。

■横田幸介
1987年生まれ。愛知県出身。11年、関西テレビ放送に入社し、営業セクションを経て15年に制作セクションへ異動。『有吉弘行のダレトク!?』『マルコポロリ』『おかべろ』などでディレクター、20年から『マルコポロリ』で総合演出を担当。特番『パンドラTV』の4度の放送を経て23年4月よりレギュラー化を果たした『アンタッチャブるTV』の総合演出を務める。