第82期順位戦(主催:朝日新聞社・毎日新聞社)B級1組は8回戦全6局の一斉対局が11月9日(木)に各地の対局場で行われました。このうち東京・将棋会館で行われた羽生善治九段-近藤誠也七段戦は106手で羽生九段が勝利。5勝3敗として昇級戦線に踏みとどまりました。

昇級枠は2つ

7回戦を終えた段階で6勝1敗の増田康宏七段と5勝2敗の千田翔太七段が首位グループを形成。上位陣に食い込むために、4勝3敗の羽生九段と3勝4敗の近藤七段としてはこれ以上の負けは許されません。

近藤七段の先手番で始まった本局は両者の思惑がかみ合って横歩取りに。青野流の急戦策に強気の飛車交換で応じたのは羽生九段好みの対応で、この直後に飛車角交換を甘受したことで局面は一段落。角2枚を手にした羽生九段の構想に注目が集まります。

駒得生かして盤上制圧

手番を得た羽生九段は盤上中央に据えた角を金桂との二枚換えに持ち込んで駒得に成功。手にした持ち駒をペタペタと盤上に打ち付けたのが非凡な構想でした。角による王手竜取りの筋が生じているため先手は竜に見切りをつけるほかありません。

ペースをつかんだ羽生九段はさらに攻防の桂打ちで先手からの攻めをシャットアウト。自玉の安全を確保してからジワジワと攻め駒を間に合わせる指し方が「急がば回れ」の最速の勝ち方でした。近藤七段にうまい反撃筋がないのを見越しています。

羽生九段が快勝

手番を得た近藤七段も後手陣に飛車を打ち込みますが、持ち駒の金を投入してこの飛車を封じ込めたのが羽生九段の受けの決め手でした。終局時刻は22時48分、最後まで安定した指し回しでリードを拡大した羽生九段が快勝で大きな5勝目を挙げました。

これで勝った羽生九段は5勝3敗、敗れた近藤七段は3勝5敗に。なお上位陣では千田七段との直接対決を制した増田七段が7勝1敗で首位を独走しています。次局9回戦は11月30日(木)に各地の対局場で予定されています(羽生九段は抜け番)。

  • 8回戦を終え羽生九段は増田七段・糸谷哲郎八段・澤田真吾七段に続く4位につけている(写真は第62期王位戦挑戦者決定戦のもの 提供:日本将棋連盟)

    8回戦を終え羽生九段は増田七段・糸谷哲郎八段・澤田真吾七段に続く4位につけている(写真は第62期王位戦挑戦者決定戦のもの 提供:日本将棋連盟)

水留 啓(将棋情報局)

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