第73期ALSOK杯王将戦(毎日新聞社、スポーツニッポン新聞社、日本将棋連盟主催)は挑戦者決定リーグが進行中。10月23日(月)には羽生善治九段―豊島将之九段戦が東京・将棋会館で行われました。対局の結果、四間飛車で戦った豊島九段が82手で勝利し2勝目を挙げました。

豊島九段のノーマル四間飛車

羽生九段2勝0敗、豊島九段1勝1敗で迎えた本局は挑戦権争いに向けた分水嶺。豊島九段が勝てば全勝者は早くも永瀬拓矢九段(1勝0敗)のみとなります。序盤の駆け引きのすえ、9筋の位取りに満足した後手の豊島九段は四間飛車を選択します。

豊島九段による振り飛車採用は珍しく、SNS上はすぐさま「豊島先生が(飛車を)振ってる!」「豊島先生の四間飛車ワクワクする」といった驚きの声で溢れます。対して先手の羽生九段は6筋に角を上がって持久戦の構え。ここに再び駆け引きが生じました。

羽生九段リードも…

豊島九段が中飛車に振り直したのは中央の歩をぶつけて早い戦いを仕掛ける狙い。これを受けて羽生九段は急戦に方針をシフトします。金無双の要領で自陣を引き締めてから端攻めに転じたのが好着想で、うまく端を逆襲した羽生九段に不満ない中盤戦となりました。

羽生九段はその後も敵陣に竜を作ってリードを広げますが豊島九段も金底の歩で徹底抗戦。決め手を欠いた羽生九段は右辺の角打ちに新たな戦場を求めますが、豊島九段は終盤で訪れたこの一瞬のチャンスを見逃しませんでした。

急転直下の結末

飛車取りを手抜いて5筋に歩を成ったのが豊島九段の決め手。手順に先手玉すぐそばに馬を作れば持ち駒の乏しい羽生九段は受けに窮しています。終局時刻は18時25分、そのまま自玉の受けなしを認めた羽生九段が投了を告げて豊島九段の勝ちが決まりました。

これで勝った豊島九段、敗れた羽生九段ともに2勝1敗に。感想戦では先手からの前述の角打ちが敗着とされました。次局で豊島九段は永瀬九段、羽生九段は菅井竜也八段との対戦が組まれています。

  • 豊島九段が王将戦七番勝負に登場したのは2017年度が最後。再登場が期待される。(写真は第6期叡王戦五番勝負第4局のもの 提供:日本将棋連盟)

    豊島九段が王将戦七番勝負に登場したのは2017年度が最後。再登場が期待される。(写真は第6期叡王戦五番勝負第4局のもの 提供:日本将棋連盟)

水留 啓(将棋情報局)

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