里見香奈白玲に西山朋佳女流三冠が挑戦するヒューリック杯第3期白玲戦七番勝負は、第5局が10月14日(土)に京都市中京区の「ザ・ゲートホテル京都高瀬川」で行われました。対局の結果、相振り飛車の熱戦を130手で制した里見白玲がシリーズ成績を2勝3敗としました。

シリーズ3度目の相振り飛車

2年ぶりの戴冠まであと1勝と迫った西山女流三冠は先手番で迎えた本局で初手から三間飛車を宣言します。これを受けて後手の里見白玲も三間飛車で対抗して戦型は相振り飛車に。後手の銀と歩が二重に角道を止めているため角交換は起こらないまま駒組みが進みます。

穏やかな駒組みが続いたのち西山女流三冠が動きを見せます。自玉周辺の金銀を盛り上げて矢倉囲いを目指したのがそれで、自玉の動きを軽くしつつ後手の大駒を圧迫する狙いが見て取れます。大駒の位置取りをめぐる細かい駆け引きが続いた局面は形勢互角ながら、実際の先手はバラバラになった自陣の金銀をまとめるのに苦労が絶えません。

里見白玲が反撃決め勝利

来るべき戦いに備えて西山女流三冠が打った自陣への底歩が波紋を呼ぶ一着でした。感想戦ではこの手に代えて、じっと左銀の再活用を目指しつつ後手からの攻めを誘う手が有力とされました。右辺からの突破を含みに局面の打開を目指した西山女流三冠ですが、ここから里見陣の金無双の堅さに手を焼くことになります。

行くしかないと飛車を切って攻め続ける西山女流三冠に対し、里見白玲の反撃は的確でした。狙われた飛車を角と刺し違えて豊富な持ち駒を手にすれば、薄くなっている先手玉はひとたまりもありません。終局時刻は17時58分、最後は自玉の詰みを認めた西山女流三冠が投了。里見白玲が2勝3敗と踏みとどまって防衛に望みをつなぎました。

第6局は10月21日(土)に北海道札幌市の「札幌ビューホテル 大通公園」で行われます。

  • 立会人の糸谷哲郎八段を交えた感想戦では複雑な序中盤を中心に検討が行われた(写真は棋士編入試験第2局のもの 提供:日本将棋連盟)

    立会人の糸谷哲郎八段を交えた感想戦では複雑な序中盤を中心に検討が行われた(写真は棋士編入試験第2局のもの 提供:日本将棋連盟)

水留 啓(将棋情報局)