今回は、時短できる調理家電の売れ筋を求めて、ビックカメラ新宿西口店を訪ねました。

調理家電ブームは長く続いていますが、とりわけ“時短”という特徴はコロナ禍に注目度が上がったところがあるようです。同店の家電コーナーを担当する増田美羽氏は「共働きの家庭も多く、生活の変化が起きるなかで効率的に時間が使える調理家電の需要が高まっている面はありますね。それに呼応して、多くのメーカーが多彩な製品を投入したことで、相乗効果のようなものも起きていると思います」と話していました。

  • ビックカメラ新宿西口店 5階にあるキッチン家電売り場。スタッフの増田美羽氏に案内してもらった

時短できる対象は、食材の保存や下ごしらえから調理まで、さまざまなプロセスに及びます。どんな料理の何をカバーするのかによって選択肢が変わるので、器具の予算感にも幅が出ます。下記の「時短調理家電選びの3ポイント」を踏まえて、直近の注目アイテムを6つ追いかけていきましょう。

<時短調理家電選びの3ポイント>

  • 調理全般を任せるなら圧力鍋やオーブンレンジが便利。予算は数万円から。
  • 真空調理やカットなどの特定の処理なら、専用の器具が1万円前後から選べる。
  • 保温や加熱の手間と時間を省くアイテムも、1万円前後で多彩な選択肢がある。

※本文と写真で掲載している価格は、2023年9月14日14:00時点のもの。日々変動しているので、参考程度に見てください。

注目1:タッチ操作で調理をナビする圧力調理鍋「クックフォーミー タッチ」

調理全般の時短器具として幅広い層に人気があるのが、ティファールの「クックフォーミー タッチ(Cook4me Touch)」です。タッチパネルで操作できる電気圧力鍋で、2~4人分の調理が一度にできます。圧力調理により調理時間を最大5分の1まで短縮できる一方で、できあがりのタイミングを逆算して最長12時間かけて調理するスロークッキング機能も備えています。取材時の価格は84,300円でした。

「時短調理具家電といえば圧力鍋ですが、とにかく操作が直感的で、画面も見やすいので世代を問わずに指名買いされます。270レシピを備えていますが、Wi-Fi経由でメニューが増えますし、スマホを使った連携機能も充実していますね」

  • ティファール「クックフォーミー タッチ」

注目2:じっくり煮込んでも手離れが早い「真空保温調理器シャトルシェフ」

鍋をじっくり加熱する料理では、サーモスの「真空保温調理器シャトルシェフ KBG-3000」が注目されています。調理鍋を丸ごと収納できる魔法瓶構造の保温容器で、価格は9,670円でした。

コンロなどで数分加熱した調理鍋を保温容器にセットすると、真空断熱構造によって、あとは火を使わずにじっくり加熱できます。エネルギーを効率的に使うエコな調理具ですが、時短の視点からも支持されているそうです。

「保温調理中は火加減などを気にしなくてよいうえコンロも空くので、別の料理に集中したり、ほかの作業をやるなど自由にできます。並行していろいろ料理が進められるので、結果として時短になるんですよね」

  • サーモス「真空保温調理器シャトルシェフ KBG-3000」

注目3:時間の使い方に幅を与える「真空保存スターターセット」

真空つながりで挙げられたのが、ツヴィリングの「真空保存スターターセット」です。食材や料理を容器やタッパーに入れて真空保存できる一式をセットにしており、取材時の価格は10,420円でした。

真空状態にすることで食べ物を長く保てるほか、梱包した下処理を施した食材と調味料を再加熱する真空調理もできるということで、注目する人が増えているとのことです。

「食べる直前の手間と時間を大幅に減らせますし、長期保存を念頭に置くことで買い出しの効率化も図れます。保存から調理まで、時間の使い方に幅を持たせられることが結果的に時短につながります」

  • ツヴィリング「真空保存スターターセット」

注目4:お湯もレンジもなしで温められる「レトルト亭」

食べる直前の再加熱に特化した時短グッズとしてはもうひとつ、アピックスインターナショナルの「レトルト亭 ARM-110」もよく売れているとのことです。本体にレトルトパウチをセットしてタイマーをセットするだけで、ホカホカに加熱できる仕組みです。取材時の価格は7,680円でした。

「お湯やレンジなどを使わずに使えるのですぐ食べられますし、洗い物も減って、トータルの手間と時間も抑えられます。家族で使われる方からお一人でという方まで、幅広く支持されていますね」

  • アピックスインターナショナル「レトルト亭 ARM-110」

注目5:砕く、おろす、泡立てるができる「カプセルカッター ボンヌ」

調理の時短で注目されているのは、レコルトのフードプロセッサー「カプセルカッター ボンヌ」です。3つのプレートを付け替えることで、刻む、潰す、砕く、おろすのほか、混ぜる、練る、泡立てるの処理ができます。取材時の価格は7,150円でした。

「自炊ブームが続くなかで、いかに調理の手間を減らすかを考える人が増えています。これがあれば、包丁やまな板などがなくてもさまざまな料理に合った細かな処理ができますからね。とくに、ふわふわの大根おろしができると評判です。これもトータルで見て時短になる道具といえますね」

  • レコルトフードプロセッサー「カプセルカッター ボンヌ」

注目6:冷凍と常温の食材をまとめて調理できる「ヘルシオ」

シャープのウォーターオーブンの最上位「ヘルシオ AX-LSX3A」も、時短目的で愛用する人が多い製品といいます。取材時の価格は212,300円でした。

「ヘルシオは、ヘルシーで多彩な料理をお任せできるオーブンレンジとして昔から人気があります。時短という意味では、冷凍や冷蔵、常温の食材を角皿に並べて、まとめて調理できる『まかせて調理』機能を気にしている人が多い印象があります。解凍待ちや料理ごとの順番を考えずに一気に進められるので、多彩な料理を作るほど時短の度合いは大きくなります」

  • シャープ「ヘルシオ AX-LSX3A」