ボルボが東京・青山に「Volvo Studio Tokyo」を開設した。電気自動車(EV)に特化したスペースでクルマを見たり試乗したりすることも可能だが、あくまでブランド発信拠点という位置づけで、この場所でクルマは売らないという。どんな施設なのか、開店前に訪問してみた。

  • ボルボのブランド発信拠点「Volvo Studio Tokyo」

    「Volvo Studio Tokyo」ってどんなところ?

収益ゼロ? オープンの狙いは?

「Volvo Studio」は世界に6カ所ある。所在地はストックホルム、ニューヨーク、ミラノ、ワルシャワ、上海、東京だ。東京のスタジオは「Volvo Studio Aoyama」としてもともと青山にあったのだが、今回は青山通り(国道246号)を挟んだ向かい側に場所を移転して新たにオープンした。Volvo StudioでEVに特化したのは東京が初めて。スペースは倍くらいに広くなっている。

  • ボルボのブランド発信拠点「Volvo Studio Tokyo」
  • ボルボのブランド発信拠点「Volvo Studio Tokyo」
  • ボルボのブランド発信拠点「Volvo Studio Tokyo」
  • 店内はスカンジナビアンデザインのインテリアやウッドの壁がオシャレな雰囲気。内装は「Volvo Studio Aoyama」で使っていたものを最大限活用したそうだ。地下には試乗用のEVやEV用の充電器(急速充電2基、普通充電5基)を備える。試乗はネットで事前予約すれば90分の枠がもらえる。来店時にクルマが空いていれば予約なしでも短時間の試乗が可能だ。専門ドライバーに運転してもらって助手席に乗るのもOK

店内にはボルボのEVが並んでいる。日本で販売しているEVは「XC40」と「C40」の2車種だが、今後はさらにコンパクトな車種の導入を検討しているようだ。

専用のアプリをダウンロードすれば、ARを用いたいろいろなコンテンツを体験することができる。具体的にはスタジオ内のマーカーをスマートフォンのカメラでスキャンして、ボルボのトリビアやEVの特徴などを学んでいく内容となっている。

  • ボルボのブランド発信拠点「Volvo Studio Tokyo」

    ARコンテンツを体験しているときに撮影したスクリーンショット。中央と右は、なぜボルボ車のヘッドライトが「T」の字を横にしたようなデザインなのかを説明している画面だ

アプリを入れてもらった人には、クルマを売る側としては、プッシュ通知を送って何らかのセールス活動を展開したくなるところだと思うのだが、ボルボにはアプリをそうした用途で活用するつもりはないらしい。アプリをダウンロードしたときに「ニュースレターを購読するかどうか」を聞かれたが、登録はスキップできた。

  • ボルボのブランド発信拠点「Volvo Studio Tokyo」

    こちらは実際にEVに乗り込んでバーチャルドライブを楽しむコンテンツ。大きな画面にストックホルムの街を走っているような映像が流れる。ちなみに、ハンドルを切ったりペダルを踏んだりする必要はない

  • ボルボのブランド発信拠点「Volvo Studio Tokyo」
  • ボルボのブランド発信拠点「Volvo Studio Tokyo」
  • スタジオでは「Fika」(フィーカ)というスウェーデンの習慣も体験できる。フィーカは「コーヒーをお供に大切な人とゆっくりとした時間を過ごす」文化だそうで、ここでは「Stockholm Roast」の豆を使用したコーヒーをセルフサービス(無料)で楽しむことができる。コーヒーは酸味5、苦み4、コク4(5点満点)といった感じのテイストだった

「Volvo Studio Tokyo」ではEVを売らない。店舗にいるのは販売員ではなく、ボルボのブランドやEV、スウェーデンのカルチャーなどに詳しい「ブランド・アンバサダー」だ。

クルマのディーラーは、クルマの「購入検討度」が高くない人にとってかなり敷居の高い施設だ。ボルボ・カー・ジャパンでは「Volvo Studio Tokyo」の垣根を低くして、「EVって何?」というレベルの人にも来店してもらいたいと考えているという。デジタルコンテンツを充実させたのには、若年層に対する間口を広げるためという側面もあるようだ。

  • ボルボのブランド発信拠点「Volvo Studio Tokyo」

    「Volvo Studio Tokyo」の営業時間は月曜~金曜が12:00~19:00、土曜・日曜・祝日が10:00~19:00。定休日は毎週水曜日と第1・第3火曜日

ボルボは「2040年までにクライメートニュートラルな企業になる」ことを目標に掲げている。EVの販売比率は2025年までにグローバルで50%(日本国は45%)、2030年までに同100%を目指す。なかなか野心的な数字だ。目標達成に向けてはボルボのEVを多くの人に知ってもらう必要がある。「Volvo Studio Tokyo」はクルマも売らない、グッズも売らない、コーヒーもタダなので1円も収益が発生しない施設だと思われるが、ボルボEVのタッチポイントとして大事な役割を担うことになる。