MCをする内村の手に必ずある「棒」へのこだわりに密着する『内村と棒』を企画したのは、深夜番組『ここにタイトルを入力』でSNSをザワつかせた入社3年目の原田和実ディレクター。

「いち視聴者として、とにかくコントをやってる内村さんが見たいと思ったんです」(原田D、以下同)というきっかけから、「フジテレビで内村さんとコントをやるということに、どれだけの意味があるのかという重みも感じながら収録に臨みました」と、河田町からお台場にかけて数々の名コントを生み出してきた座長とのタッグに挑んだ。

実際に撮影すると、「面白かったし、うれしかったです。結構アドリブ多めのコントだったので、登場人物のあだ名など細かい設定をその場で作る感じや、台本にない部分の展開の持って行き方が面白くて、感動が多い現場でした。コントをやってる内村さんの持つある種のクレイジーさと、素で笑ってしまうリアルな部分が見え隠れするので、いろんな魅力の内村さんが見られると思います」と手応えをつかんだ。

  • 『内村と棒』 (C)フジテレビ

■コント×フェイクドキュメンタリーの塩梅

コントのようで「フェイクドキュメンタリー」のような要素も感じられるが、そこには、原田Dがこれまで『ただ今、コント中。』でコントを作り、自身が企画した『ハイパーハードボイルドひとリポート』『あえいうえおあお』でフェイクドキュメンタリーを制作してきた経験が生きている。

「長谷川(忍)さんが内村さんのボケを全部拾っていただいているというのがあったので、コントとフェイクドキュメンタリーのいい塩梅を出せたらなというのが、自分の中の裏テーマでありました。そこのバランスは、これまでの経験があったから、行き着いた答えだと思います」

登場する「棒」のネタ出しでは相当数の案があがったが、予算との兼ね合いも見て実際に製作する数を調整し、その中でも「1個1個本当に手作りで、1本10万円とか20万円かかってる棒もあります」とのこと。内村は打ち合わせで、「いや、俺そんなに棒を望んでないから(笑)」と主張し、収録後も「これでまた棒のイメージ付いちゃうな(笑)」と、こぼしていたそうだ。

『ここにタイトルを入力』では、バイきんぐ・小峠英二を縦分割して2番組に同時出演させたり、マジックミラー号からロケ中のフワちゃんを映り込ませたり、「恋の買い取り」という謎のシステムを平然と放送したりして、深夜の視聴者を騒然とさせた原田D。今回の番組は日曜夕方枠ということで、「広い世代の方が見てもらえる時間なので、勉強の場になりました」と糧になったようだ。