キヤノンは9月14日、RFマウントのフルサイズミラーレスカメラ「EOS R3」を正式に発表した。秒30コマの高速撮影や高速オートフォーカス、最大1/64000秒の高速電子シャッター、ブラックアウトフリーのEVFを備える速写モデルで、ファインダーをのぞいた目の動きでオートフォーカスを合わせる視線入力AFを新たに搭載したのが特徴。動画撮影機能はシネマカメラを超える部分もある。EFマウントのデジタル一眼レフカメラ「EOS-1D X Mark III」を超える撮影性能や堅牢性を備える高性能ミラーレスとして、プロやハイアマチュアから支持されそうだ。

価格はオープンで、予想実売価格は75万円前後。発売は11月下旬の予定。

  • RFマウントのフルサイズミラーレスカメラ「EOS R3」の全貌がついに明らかに。EOS-1D系の信頼性を備えつつ、電子シャッターでさまざまな被写体を確実にとらえられる新次元のカメラに仕上がっていた

EOS R3のおもな特徴は以下の通りです。

  • 撮像素子は有効2410万画素の積層型裏面照射型CMOSセンサー、高速読み出しでローリングシャッターゆがみを低減(EOS-1D X Mark III比で約1/4)
  • 撮像素子の100%×100%の領域でピントが合わせられるデュアルピクセルCMOS AF
  • ファインダーをのぞいた目の動きでオートフォーカスを合わせる視線入力AF
  • クルマやバイクのドライバーにピントが合わせられる「乗り物優先AF」
  • 電子シャッターで秒30コマ、メカシャッターで秒12コマの高速撮影
  • 電子シャッターは最高1/64000秒に対応、NDフィルターいらずで絞りを開いた撮影が可能に
  • 縦位置グリップ一体型のボディ、堅牢性はEOS-1D X Mark III並みに引き上げた
  • 8段分の手ぶれ補正機構
  • 0.02秒で3枚連写した写真を合成するHDRモード
  • ブラックアウトフリーのEVF
  • EVFの見え方を光学ファインダーに近づける「OVFビューアシスト」
  • 背面液晶を常時オフにする設定を追加
  • 4K動画は30分の制限がなく、最大6時間まで撮影可能
  • 6K動画は外部機器を必要とせず、カメラ内部での記録が可能に
  • メモリーカードはCF Express+SDカードのデュアルスロット
  • EOSシリーズらしい流れるような美しいデザインと、EOS-1D系の流れをくむ操作性が特徴だ

  • 本体上部にはEOS Rシリーズで共通の正方形の表示パネルを備える

  • メモリーカードはCF Express+SDカードのデュアルスロットとなる。SDカードの採用は利便性を考慮してとのこと

速写性能を高めたフルサイズミラーレス。電子シャッターでの撮影時は連写速度が秒30コマと高速で、最高1/64000秒の超高速シャッターに対応し、EVFが暗くならないブラックアウトフリーでの撮影が可能になる。キヤノンとしては、基本的に電子シャッターで撮影するカメラと位置づけている。センサーは高速読み出しに対応しており、電子シャッター撮影時に気になるローリングシャッターゆがみはEOS-1D X Mark IIIの電子シャッター撮影時の約1/4に抑えたという。

EOS DIGITALシリーズ初の装備となるのが、ファインダーをのぞいた目の動きでオートフォーカスを合わせる視線入力AF。スポーツ競技などでフレーム内に複数の人がいる場合でも、視線を特定の人に向けるだけでAFのターゲットがその人に合い、シャッターの半押しやスマートコントローラーの押下でその人を追従してピントを合わせ続ける仕組み。

  • ファインダーをのぞいた目の動きでオートフォーカスを合わせる視線入力AFを搭載。フィルム一眼レフEOS以来の搭載となる

  • 目の動きでAFのターゲットを自由に動かせる

視線入力AFは、EVFの内部に設けられた赤外線LEDを瞳に照射し、反射した光をEVF内のセンサーで受けて検知する仕組み。カメラに備わるキャリブレーションを実施すれば、より精度が高くなるという。日光を遮る大型アイカップを装着すれば、誤作動が少なくなる。

  • 視線入力AFの構造。複数の赤外線LEDとセンサーで目の動きをとらえる仕組みだ

ボディは、可動式のバリアングル液晶を搭載しながら、EOS-1D系と同等の堅牢性や防塵防滴性能を確保したのが目を引く。キヤノンによると、既存のミラーレスは堅牢性や防塵防滴性能の弱さを指摘する声があり、EOS-1D系と同等に引き上げたとのこと。

  • 可動部のあるバリアングル液晶を搭載しながらEOS-1D系と同等の堅牢性や防塵防滴性能を確保している

  • EOS-1D X Mark III(右)と並べたところ。EOS R3のボディの小ささが分かる

  • ボディの外装は堅牢性の高いマグネシウム合金を採用する

動画撮影性能の高さも注目点の1つ。4K/60p動画は、これまでの最大30分制限を撤廃し、最大6時間まで撮影できるようになった。4K動画は6Kのオーバーサンプリングで生成するので、画質面でも優れるという。さらに、6K動画は外部機器を必要とせず、カメラ内部での記録を可能にしているのもポイント。動画性能は各社のシネマカメラよりも優れている部分があり、動画撮影用で使いたいプロからも注目されそうだ。

アクセサリーシューは、データ通信と給電が可能なマルチアクセサリーシューを搭載。対応アクセサリーは乾電池などの電源を装着する必要がなくなるので、システムの小型軽量化が図れるのも魅力的だ。

  • シューの奥に専用の端子を備えたマルチアクセサリーシュー。電源も供給されるので、多くのアクセサリーは乾電池不要で動かせるようになる