「ふつつかもの」とは、「気が利かない人」や「何かと行き届かない人」などを意味する言葉です。結婚式の挨拶で耳にしたことがある人は多いかも知れませんが、実はビジネスでも使える表現です。しかし使い慣れていないと、どう使えばいいのか、よくわからない人も多いでしょう。

この記事では、「ふつつかもの」の意味や語源、正しい使い方について紹介します。また、類語や英語表現についてもまとめたので参考にしてみてください。

  • 「ふつつかもの」とは

    「ふつつかもの」の意味や使い方、類語などを紹介します

ふつつかもの(不束者)の意味と語源

「ふつつかもの」の意味

「ふつつかもの」には「気が利かない人」「何かと行き届かない人」などの意味があり、漢字で書くと「不束者」です。

古くから女性が夫となる男性に対して、自身の妻としての能力を謙遜して述べる場合によく使われてきましたし、ビジネスシーンでも使われます。

「ふつつか(不束)」の語源

「ふつつかもの」に含まれている「不束」には、以下のような意味があります。

・気が利かない様子
・太くて丈夫な様子
・太くて不格好である様子
・風情がなく下品である様子

「不束」の語源となっているのは平安時代初期頃に使われていた「太束(ふとつか)」という言葉です。もともとは「太くて短い柱」という意味でしたが、転じて「太くて頑強な様子」という意味になりました。

  • 「ふつつかもの」とは

    「ふつつかもの」は気が利かない人や行き届かない人を表す言葉です

「ふつつかもの」を使う場面

ここでは、「ふつつかもの」を使う場面をご紹介します。

「ふつつかもの」を使う場面1.ビジネスシーン

ビジネスシーンにおいて「ふつつかもの」は、自分や自社のスタッフのことを表現する場合に使います。まだまだ未熟であることを謙遜の意味を込めて、「ふつつかもの」と表現します。

「ふつつかもの」を使う場面2.結婚の挨拶

「ふつつかもの」は結婚の挨拶でもよく使われる表現で、主に新婦側が使用します。本人が自分のことを謙遜して述べる場合はもちろん、新婦の家族が新婦のことを謙遜して述べる場合にも使う言葉です。

「ふつつかもの」を使う場面3.上司・目上の人にお願いをする時

「ふつつかもの」は、目上の人にお願いをする時にも使われる表現です。へりくだる表現のひとつとして覚えておきましょう。

「ふつつかもの」の例文【場面別】

ここでは、「ふつつかもの」の例文を場面別にご紹介します。

「ふつつかもの」の例文【ビジネスシーン】

  • ふつつかものではございますが、誠心誠意尽力いたしますので、どうぞよろしくお願いいたします
  • ふつつかものではありますが、皆様の支えを受けながら日々精進してまいります
  • まだまだ経験の浅いふつつかものですが、かわいがってくださるとありがたいです
  • ふつつかものですが、精一杯努めさせていただきます

「ふつつかもの」の例文【結婚の挨拶】

  • ふつつかものではございますが、末永くよろしくお願いいたします
  • ふつつかものの娘ですが、どうぞよろしくお願いいたします
  • ふつつかものでございますが、すばらしい縁に恵まれ、家族一同心から嬉しい思いでいっぱいです

「ふつつかもの」の例文【上司・目上の人にお願いをする時】

  • ふつつかものではありますが、ご指導のほど何卒お願いします
  • ふつつかものの私に、どうかご教授いただけないでしょうか
  • 「ふつつかもの」の使い方と例文

    「ふつつかもの」はビジネスシーンや結婚の挨拶などで使われる表現です

「ふつつかもの」の類語・言い換え表現

「ふつつかもの」には似た意味を持つ言葉がいくつかあります。ここでは、言い換え例とともに「ふつつかもの」の類語を紹介します。

不調方者・不調法者(ふちょうほうもの)

「不調方者・不調法者(ふちょうほうもの)」は、「不慣れで細かい部分まで行き届いていない様子」を表す言葉です。ビジネスで「ふつつかもの」を使う場合に言い換えられる表現として覚えておきましょう。

・このようなありえないミスを犯してしまう不調法者で、お恥ずかしい限りです。
・このようなありえないミスを犯してしまうふつつかもので、お恥ずかしい限りです。

未熟者(みじゅくもの)

「未熟者(みじゅくもの)」には「不慣れで技術や能力が身に付いていない者」という意味があります。「ふつつかもの」と似た意味で使える言葉のひとつです。

・まだまだ未熟者ですが、精一杯努めさせていただきます。
・まだまだふつつかものですが、精一杯努めさせていただきます。

・未熟者ではございますが、末永くよろしくお願いします。
・ふつつかものではございますが、末永くよろしくお願いします。

若輩者(じゃくはいもの)

「若輩者(じゃくはいもの)」は「年齢の若い人」や「未熟な人」を指す表現で、謙遜の意味を込めて使われます。若手社会人が自分のことを謙遜して述べる場合や、結婚の挨拶で相手の親や親族など年齢が上の人に対する挨拶としてよく用いられる言葉です。

・まだまだ経験の浅い若輩者ですが、ご指導くださると嬉しいです。
・まだまだ経験の浅いふつつかものですが、ご指導くださると嬉しいです。

至らない点もありますが

「至らない点もありますが」は、「ふつつかものですが」の言い換え表現のひとつです。「ふつつかものですが」はあらたまった表現ですが、やや堅い表現となっています。柔らかい印象を加えたければ、「至らない点もありますが」に言い換えるといいでしょう。

・至らない点もありますが、精一杯努めさせていただきます。
・ふつつかものですが、精一杯努めさせていただきます。

  • 「ふつつかもの」の類語表現

    「ふつつかもの」には「未熟者」などいくつかの類語表現があります

「ふつつかもの」の英語表現

「ふつつかもの」の英語表現を紹介します。仕事や会話などで英語を使う機会がある人は押さえておきましょう。

inexperienced person

「inexperienced」には「経験がない」「未熟で」などの意味があり、「inexperienced person」は「ふつつかもの」の英語表現として使われることがあります。

・I may be an inexperienced person, but I will do my best.(ふつつかものではございますが、誠心誠意尽力いたします)

incompetent person

「incompetent」は「無能な」「役に立たない」などの意味がある英単語です。「人」という意味がある「person」と組み合わせて、「ふつつかもの」の英語表現として使われます。

・I'm an incompetent person, so please teach me your job.(ふつつかものの私に、どうか仕事をご教授ください)

ignoramus

「ignoramus」には「無学の者」「無知な者」などの意味があります。仕事にまだ不慣れな状況を指す状況の「ふつつかもの」の英語表現で活用してみましょう。

・I'm a bit of a ignoramus in my work, but I'll do my best.(ふつつかものですが、精一杯頑張ります)

  • 「ふつつかもの」の英語表現

    「ふつつかもの」の英語表現も押さえておきましょう

「ふつつかもの」の意味は「未熟な人」

「ふつつかもの」とは、「気が利かない人」や「何かと行き届かない人」などを指す言葉です。漢字で書くと「不束者」となります。ビジネスシーンでは、目上の人に対する挨拶や、目上の人に何かを頼む場合などに使われることがあります。

類語表現としては「不調法者」や「未熟者」などがありますので、状況に合わせて言い換えましょう。

「ふつつかもの」はビジネスシーン以外でも、結婚の挨拶などでへりくだる表現として使いやすい言葉です。この記事で紹介した意味や使い方を参考に、使いこなせるようになりましょう。

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