2021年8月末のこの瞬間、最もネットで話題になっているグルメと言えば、マリトッツォでもなく、クラフトコーラでもなく、生ジョッキ缶でもなく……「ウインナー弁当」だろう。

ローソンストア100は6月30日、関東エリア限定でウインナー弁当を発売。おかずがウインナーだけという潔さと、彩りの「い」の字もないシンプルさで世間の度肝を抜いた。

そんな渦中のウインナー弁当が、なんと8月25日から販売エリアを拡大。全国673店舗で買うことができるようになり、再びSNSが大いに盛り上がっている。「そんなに盛り上がるほどか?」という声もあるにはあるが、ここまで話題になっていると、一度は食べたくなるのが人の性。

ということで、今回は思いっきり乗っかってみたので、その顛末をご報告したい。

実家の朝ごはんを思い出す、ノスタルジックな香り

発売日当日、さっそく最寄りのローソンストア100へ駆けた筆者。「これだけ人気だと、売り切れているかもなぁ」と危惧したが、ラスイチが残っていた!

どちらかというと、もともと「そんなに盛り上がるほどか?」とも思っていた派だったのだが、こういった幸運に恵まれると、途端にテンションも爆上がりしてしまう。……我ながらフラフラした奴である。

ウインナー弁当は216円という価格設定で、100円の商品が基本となっているローソンストア100の中では高級な部類に入る。

とは言え、216円という安さでありながらウインナーが5本も入っており、コスパの高さを評価する声は絶えない。

これを高いと取るか安いと取るかの議論も起こっているが、それはひとまずさておき、とりあえず実食しよう。

まずは買ってきたウインナー弁当をレンチンするところからスタート。えーと……500wのレンジで1分30秒温めればいいらしい。

……で、温まったら、ラップを剥がして準備OK。

あっ、弁当の熱気で部屋中にウインナーのニオイが充満していく。あまりウインナーを食べる習慣がないからか、なんだかすごく懐かしい香りに感じる。そうだ、ちょうど実家の朝ごはんを連想させるニオイだわ、コレ。懐かし〜。

予想通りだったこと、予想外だったこと

こうしていざ食べようとしてみると、本当にラインナップがご飯、ウインナー、そしてチラ見えしているスパゲッティのみであることに、改めて軽い驚きを覚える。

いや、実際、凄い度胸だよ、開発者さん。構想から発売まで10年をかけたという話がネットでは出回っているけど、関わった人たちの間でいろんな議論があったことは容易に想像がつくぜ……。

じゃ、そろそろ食べてみますか。いただきます。

パクッ。

……もはや「やっぱりな」という感想に尽きると思う。ものの見事に想像どおりの味なのだ。もちろんディスってなどいないし、これでイイというか、これじゃなきゃダメな気がする。

ウインナーの味は濃くもないし、薄くもない。香りも強くもないし、薄くもない。どれをとってもちょうどいい。加えて言えば、ちょっと矛盾する言い回しになるが「思ったほどパリッとしない歯ごたえ」まで思ったとおりである。

むしろ、変に「想像を裏切ってやろう」とか、「期待値を超えてやろう」などという野心や下心のなさにホッとするし、それこそがローソンストア100の狙いでもあるに違いない。万人にウケる味であり、よほどの辛口のグルメ評論家でもない限り「まずい」などとは言わないはずだ。

ただ、予想と違った点もいくつかある。ご飯と一緒に食べてみると、不思議なことに……

あっ、美味い……と素直に思えるのだ。ご飯に合うようにかなり計算して作られているのかもしれない。ウインナーの塩っ気や味わいがご飯と混じり合って丁度いい塩梅になるのである。めっちゃ合う。

あっ、そうか。これはウインナー単品じゃなくてウインナー弁当なのだから、ご飯と一緒に食べたうえで、その味を評価すべきなのかもしれない。そういう意味で言えば、個人的にこのウインナー弁当は美味いと思う。

そして、てっきりゴマ塩だと思い込んでいたが、ただの黒ゴマだったことも一応記しておこう。ちょっとびっくりしたが、もちろん、それもウインナーと食べたときの塩っ気を考慮してのことだろう。

そして、これも予想外というか、意外だったのだが……

スパゲッティがまさかのアルデンテ。

なぜにこんなにクオリティの高い茹で方なのだろう。こういう弁当だと歯ごたえのないスパゲッティが定番だし、これもそうだと思いこんでいたが……これは完全に意表を突かれた。

味付けはおそらく塩で茹でただけ。ウインナーが5本もあるので、1本くらいはスパゲッティと食べてもいいのかもしれないが、スパゲッティの量は驚くほど量が少なかったので、これはケチったというよりも、善意で添えてくれたものと受け取るのがマナーだろう。

「おにぎり2個より絶対に満足度が高い」という意見に賛同

完食してみての感想は、味が濃すぎないからこそ食べ疲れることなく、なんなら「また今度食べたいな」と思えるような絶妙な味だったと思う。

SNSでは、いろんな声がある。中には「ウインナーの質を高めてほしい」という意見もあるが、「予想以上に満足度が高い」「こういうのでいいんだよ」「ありそうでなかった弁当だ」など、味や価格設定、企画力を称賛する声のほうが目立っているように見える。

どこかで「おにぎり2個よりウインナー弁当のほうが絶対に満足度が高い」という意見を目にしたが、筆者も完全に同意である。だって、ウインナー5本だよ? おにぎり2個にウインナー5本は収まらないでしょ? やっぱりこれはかなりコスパ面でも優秀なんじゃないかなぁ、と思う。

ちなみに、アレンジも推奨されているようなので、さっそく一工夫して2個目のウインナー弁当を食べてみたのだが……

満足度が跳ね上がるアレンジ飯になった。家にあった卵と冷凍ブロッコリーを添えただけなので、せいぜい原価率は30〜40円上乗せになったとして、計240円。栄養バランスも少しは整っただろうし、一食でこの値段、この満足度なら、決して悪くないんじゃない?