有機ガラス管を使った、ソニーのグラスサウンドスピーカー第3弾「LSPX-S3」が8月6日に発売されます。先端の音楽コンテンツにチューニングを最適化し、LEDイルミネーションには新しいライティングモードを追加。価格も手ごろになった最新機種の試聴レポートをお届けします。
新しいLSPX-S3の価格はオープンプライスで、ソニーストアの直販価格は38,500円。従来の「LSPX-S2」(2019年発売)が同44,000円なので、5,500円ほど安くなった格好です。新製品に関する仕様の詳細については発表時のニュース記事も合わせてお読みください。
有機ガラス管スピーカーの仕組み
ソニーは2016年に最初のグラスサウンドスピーカー「LSPX-S1」を発売しており、このシリーズは2008年に1台105万円で販売された「Sountina(サウンティーナ)」(NSA-PF1)という高級スピーカーに端を発しています。スピーカーの振動板の役割を担う有機ガラス管を加振器で叩いて音を生成する「バーティカル ドライブ テクノロジー」が共通の特徴です。
加振器を使うスピーカーの技術は、爪でガラスのコップを叩いて音を鳴らす仕組みによく似ています。グラスサウンドスピーカーの場合、振動板の役割を担うガラス管の端面側に搭載する加振器が、音楽信号に合わせてガラス面を細かく叩いて音を生成します。ガラス素材の持ち味であるクリアな音色と、楽器の生音に近いリアルな音の高い再現力に、グラスサウンドスピーカーの持ち味があります。
グラスサウンドスピーカーは円筒形の有機ガラス管の全面を振動させることにより、水平方向に均一な音場の広がりを作り出します。部屋の隅々まで360度全方向に等しい音圧のサウンドを満たせる「サークルサウンドステージ」のリスニング感もシリーズ共通の魅力です。
新機種「LSPX-S3」はどこが変わった?
従来のLSPX-S2(以下、S2)と比べて、新機種のLSPX-S3(以下、S3)はどんな点が変更されたのか確認してみましょう。
まず、中低音域を再生するウーファーの口径が35mmから46mmへと大きくなっています。本体のスリットから内部をのぞき込むと、46mm径のウーファーから放出された音が360度方向へと広がるようディフューザーが設けられていることがわかります。
主に高音域を再生する有機ガラス管ツイーターは容積を拡大し、長さを2cmほど伸ばして中低域とのつながりをスムーズにしています。
ガラス管ツイーターを支え、ウーファーを格納するベースは“なで肩”形状にデザインを変更。ガラス管の付け根の部分には120度間隔で加振器を3基搭載しており、管の響きを安定させる形状としたベースユニットに採用した亜鉛ダイキャストの材質も最適化。不要な響きを抑え、音を整えています。
グラスサウンドスピーカーの有機ガラス管は、音楽を再生するための基幹部分としてだけでなく、照明器具の役割も担っています。スピーカーユニットの側に配置されているLEDライトを点灯させると、特殊なすりばち形状のレンズリフレクターが光を拡散させて淡い光を放ちます。
明るい室内でもライトが点灯していることがよくわかるほどに明るく、特に夜間にはふんわりとまたたく、とても良い雰囲気のイルミネーションが楽しめます。LEDの明るさは新旧モデルの間で大きくは様変わりしていませんが、ライティングの明滅パターンをソニーの「Music Center」アプリから32段階で細かく調整できるようになりました。
音楽に合わせて光が揺らぐ、新たな「キャンドルライト」モード
スピーカーで再生している音楽に合わせて光のまたたきや揺らぎが変化する、キャンドルライトモードの「音楽連動」もS3から実現しています。S2で初めて搭載したキャンドルライトモードは音楽再生とは同期せず、自然な間隔でまたたいていました。
LED点灯のオン/オフや、キャンドルライトモードへの切り換え、明るさの強弱変更は本体背面のタッチセンサーで行えます。S2では本体の底面と側面に設けられているボタンを複数回押さなければならなかった操作が、S3はひとつのセンサーボタンでまとめてスマートに操作できるので、LEDライトのカスタマイズが楽しくなります。
S3を2台そろえると、Bluetoothによるステレオ再生ができます。モノラル再生モードで最大100台までの対応Bluetoothスピーカーを同期させながら鳴らす「パーティーコネクト」モードも健在。LSPX-S3は8台までならばLEDイルミネーションも連動するので、商業・イベント施設に置いて面白い使い方ができそうです。
ほかにもマイクを本体に内蔵してハンズフリー通話ができるようになったり、USB Type-Cの充電ケーブルにも対応したりと、使い勝手が良くなっています。