コロナ禍でずっと家にいる期間が長くなってきていることもあり、eスポーツタイトルとしても評価が高い、ライアットゲームズの人気のFPS「VALORANT」を快適に遊べるPCは無いものか物色している。最近は半導体不足のあおりを受け、GPUやCPUが入手しにくくなっているので、BTO PCなど完成品PCは、ゲーミングPCを手っ取り早く用意する有力な選択肢になるだろう。

そこで今回は、ちょうど良さそうなゲーミングPCの候補として、マウスコンピューターのゲーミングブランドG-Tuneより販売されている「G-Tune HM-A」を試してみたい。CPUにAMD Ryzen 7 3700Xを、GPUにNVIDIA GeForce RTX 3060を搭載したミニタワーデスクトップPCである。スペックを見る限り、VALORANTを始め、様々な3Dゲームを快適に遊ぶことができそうである。

  • G-Tune HM-A

    G-Tune HM-A

そのほかの主な基本構成時の仕様としては、メモリが16GB(8GB×2)、ストレージがM.2 NVMe対応SSD 512GB、電源が700Wとなっている。今回試すのも、この基本構成モデルだ。新しめのミドルクラスといった構成で、価格も非常に手ごろだ。初心者からミドルゲーマーにオススメできるスペックと言えるだろう。

G-Tune HM-Aの基本構成時仕様
CPU AMD Ryzen 7 3700X(3.60GHz、8コア/16スレッド)
メモリ 16GB(8GB×2)
ストレージ M.2 NVMe対応 512GB SSD
グラフィックス NVIDIA GeForce RTX 3060 12GB
インタフェース USB 3.1(Type-A)×2、USB 3.0(Type-A)×6、PS/2端子×2、DisplayPort×3、HDMI×1、ギガビットLANポート×1、ラインイン×1、ラインアウト×1、ヘッドホン×1、マイク×2など
サイズ 約W189×D396×H390mm
重量 約10.5kg
OS Windows 10 Home 64bit
基本構成時価格 175,780円(税込)

HDMI出力端子をフロントに持ってこられるのは便利

ケース前面はシンプルで非常に美しい。フロントのインタフェースは、斜めをなっていてアクセスしやすくなっている。ここには、USB 3.0(Type-A)×2とヘッドホン端子、マイク端子が並ぶ。さらに、HDMI出力端子も備えているのがユニークだ。メインディスプレイは背面に3基もあるDisplayPortに任せ、VRヘッドマウントディスプレーやモバイルディスプレイを接続するといった利用の仕方が考えられるだろう。ただし、こちらを利用するためには背面のHDMI端子からケーブルを伸ばさないといけないことには注意。

  • 電源の横には光学ドライブのトレーのようなパーツが見えるが、基本構成時では非搭載なのでただの蓋である。BTOでDVDやBlu-ray Discドライブが選択可能なので、必要な人は追加しよう

左側面パネルは背面のネジによって取り外しが可能。メンテナンスや拡張はここから行なう。右側面パネルには前方に内部のエアフローを確保するための空気孔が並んでいる。六角形が並んだ形状をしており、単に穴を空けるだけではなくデザイン性にもこだわりが感じられる。

  • 蜂の巣のような六角形の吸気孔が並ぶ右サイドパネル

背面は各種端子が並ぶ。マザーボード部分からは、PS/2×2、USB 3.0(Type-A)×4、USB 3.1(Type-A)×2、ギガビットLAN端子、ラインイン×1、ラインアウト×1、マイク入力×1。グラフィックスカードからは、HDMI×1、DisplayPort×3。さらに、上部にはグラフィックスカードのHDMI端子とケーブルで接続することで、全面のHDMI端子を使用可能にするための端子を備えている。

  • 背面。グラフィックスカードのHDMI端子と一番上にあるコネクタを接続すれば、フロントのHDMI端子が利用できる

内部には、3.5インチベイ×1と2.5インチベイ×2を備えており、ストレージの拡張も行なえる。さらにこれらは全面上部に配置されており、電源ユニットも上段にあるため底面から給気して内部パーツを冷却したあと、背面から排熱するという効率的な構造になっている。

  • 電源と3.5インチベイが上に配置されている

ベンチマークテスト、VALORANTだけでなく、より重めのゲームも視野

ゲーミングPCとしてどれだけの実力を持っているのか、数値で確認できるよう各種ベンチマークソフトでテストしてみたい。

PCの総合力をテストする「PCMark 10」。トータルのスコアは「6612」であった。スコアの詳細をチェックすると、アプリケーションの起動やブラウザの処理速度を表す「Essential」のスコアは「9717」となっている。かなりの高スコアだ。WordやExcelといったOffice系アプリケーションの処理速度を表す「Productivity」のスコアは「8346」。こちらも高スコアである。画像・動画処理や3Dグラフィックス機能を表す「Digltal Contet Creation」においても「9677」というハイレベルなスコアになっている。PC作業のすべてを快適にこなせるハイスペックぶりがわかる。

  • 「PCMark 10」のスコア

CPUのパワーをチェックする「CINEBENCH R23」では、CPU総合が「12276pts」、シングルスコアでは「1298pts」という結果になった。

  • 「CINEBENCH R23」のスコア

過去のレビュー記事と比較できるよう、旧版だが「CINEBENCH R20」のスコアも出しておく。こちらはCPU総合が「4847pts」、シングルは「509pts」。さすがにCPUが8コア/16スレッドもあるRyzenなので、余程のことがないと困らない水準の性能があると言えよう。

  • 「CINEBENCH R20」のスコア

「CrystalDiskMark 8.0.1」でストレージ速度を計測。結果は以下の画像のとおり。M.2 NVMe対応SSDらしい高スコアになった。

  • NVMe対応SSDとしては一般的な速度

ここからは3Dグラフィックス機能をチェックするため、ゲーム系ベンチマークを走らせる。MMORPG「ドラゴンクエストX ベンチマークソフト」では、設定はグラフィック設定が「最高品質」、解像度が「1920×1080」、表示方法は「フルスクリーン」で行なう。結果は当然のようにスコア「21927」で、評価は「すごく快適」。

  • 「ドラゴンクエストX ベンチマークソフト」の最高設定でのスコア

次は「ファイナルファンタジーXIV:漆黒のヴィランズ ベンチマーク」。画質が「最高品質」、解像度が「1920×1080」、画面モードが「フルスクリーン」という最高の設定で、スコアが「15799」であり、評価は「非常に快適」であった。MMORPG程度に関してはまったく問題なく遊べるだろう。

  • 「ファイナルファンタジーXIV:漆黒のヴィランズ ベンチマーク」のスコア

今度はもっとヘビーな3Dゲーム系として、オフラインゲームのベンチマークである「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION」でチェック。設定は、画質が「高品質」、解像度が「1920×1080」、画面が「フルスクリーン」という高レベルな状態でも、スコアは「8697」で、評価は「快適」。設定を詰めれば4K表示などを行なう余裕もありそうだ。

  • 「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION」のスコア

3D格闘ゲーム系の「STREET FIGHTER V ベンチマーク」も見てみた。設定は、ディスプレイ解像度を「1920×1080」、「フルスクリーンモード」、画質設定が「最高」。最高設定ながらfpsのアベレージはカンストの60.00FPSとなり、評価も「PERFECT」であった。

  • 「STREET FIGHTER V ベンチマーク」のスコア

3Dグラフィックス能力チェックの定番、「3DMARK」の結果も見ておきたい。その中の「Time Spy」のスコアは「8837」。ゲームパフォーマンス予測でも、バトルフィールドVが1440pのUltraで85+FPSとなっている。さらに4K映像の「Time Spy Extreme」でも、スコは「4140」でかなりの高レベルという結果だ。

  • 「3DMARK」の「Time Spy」スコア

  • 「3DMARK」の「Time Spy Extreme」スコア

最後に、肝心の「VALORANT」を実際にプレーしてみた。グラフィック品質の設定は、画面モードが「フルスクリーン」で解像度が「1,920×1,080」の60Hz。そのほかの「マテリアル」、「テクスチャー」、「ディテール」、「UI」、「ブルーム」などは最高の「高」を選択した。さらに、アンチエイリアスはMSAA 4x、異方性フィルタリングは16x。最高画質を追求しまくる状態だ。この設定で練習モードをプレイしたが、安定したfpsが得られ画面は常に滑らかだった。というか、ベンチマークテストの結果を見た時点でこうなるだろうとは予想していたが、正直「ややオーバースペックかな」というくらいに動作に余裕が感じられた。もう少しハイエンドなゲームであってもラクに動いてくれるレベルだろう。

  • VALORANTのグラフィック設定画面その1

  • VALORANTグラフィック設定画面その2

  • VALORANTはストレスなくとっても滑らか動作

G-Tune HM-Aをより快適にするBTOカスタマイズとは

PCでできることならほとんどのことが快適に、ゲームもVALORANTはもちろん新しめの3Dタイトルがヌルヌル動くG-Tune HM-Aだが、BTOでちょっとだけカスタマイズするとより快適にできる余地がありそうだ。

ズバリ、このモデルでカスタマイズが必要なのは、ストレージである。基本構成時に搭載されているのは、M.2接続のNVMe対応 SSD 512GBのみ。アクセス速度は申し分ないのだが、この容量ではゲームをインストールしていくとあっという間にいっぱいになってしまう。そこで、HDDをデータドライブとして追加したい。さらにケース内部の空いている3.5インチベイは1基なので、容量はできるだけ大きくしたい。+10,890円(税込)となる4TBが一番コストパフォーマンスがいいのでオススメだ。ちなみに8TB HDDは+20,790円(税込)で選択できる。

  • BTOでHDDを追加する。4TBが一番コスパ良し

これで十分に使いやすいマシンになってくれる。4TB HDDを搭載した場合の値段は税込で182,919円。十分コストパフォーマンス良好なモデルである。

HDDの追加だけでも問題ないが、ドライブは空きベイの関係で1台しか搭載できないためメインストレージも容量をアップしておくのも悪くない。NVMe対応 SSDを1TBに交換すると+1万円前後といったところなので、お財布とよく相談して決めて欲しい。

そのほかの項目であれば、好みによって光学ドライブを搭載するのも良いだろう。最近はゲームのほとんどがダウンロードで入手することになるものの、やはりあったほうが便利だからだ。DVDスーパーマルチなら+4,180円(税込)とさほど高くもない。

VALORANTを始めてみたい初心者からミドルゲーマーに最適

本機は、AMD Ryzen 7 3700XとNVIDIA GeForce RTX 3060により、パワフルなスペックを持ちながら価格を抑えた”ちょうどよい”ミニタワーとなっていることが特徴だ。3D処理機能が高いので、VALORANTを始めてみたいという人には最適。数年先まで使うことを見据えても、「初心からミドルゲーマー向け」にかなりオススメできる性能を持っている。

BTOカスタマイズでより満足できる構成になるのも嬉しい。ゲームだけでなく動画編集までも快適にこなせるパワーがあるので、PCでできることをほとんどすべて楽しめる。入門用PCとして選んでも間違いはない一台と言えるだろう。