ASUSTeKの「ROG Strix SCAR 17 G733QS-R9XR3080EC3」(以下G733QS)は、CPUに8コア16スレッドの「AMD Ryzen 9 5900HX」、GPUにノートPC向け「NVIDIA GeForce RTX 3080」、ディスプレイに300Hzの超高リフレッシュレートの17.3型液晶を搭載とモンスター級のスペックを持つゲーミングノートPCだ。

  • ASUSの「ROG Strix SCAR 17 G733QS-R9XR3080EC3」。実売価格33万円前後

    ASUSの「ROG Strix SCAR 17 G733QS-R9XR3080EC3」。実売価格33万円前後

GeForce RTX 3000シリーズ、モバイル版とデスクトップ版の違い

まずは、ノートPC向けのモバイル版GeForce RTX 3000シリーズに触れておこう。アーキテクチャはAmpere、製造プロセスは8nmとここはデスクトップ版と変わらない。全体的な仕様としては、発熱を減らすためにCUDAコアやRTコア、Tensorコアの数が減っている。スペックは下の表で確認してほしい。

■表1 デスクトップ版 RTX 3080 モバイル版 RTX 3080 デスクトップ版 RTX 3070 モバイル版 RTX 3070
アーキテクチャ Ampere Ampere Ampere Ampere
製造プロセス 8Nnm 8Nnm 8Nnm 8Nnm
SM数 68 48 46 46
CUDAコア数 8704 6144 5888 5120
RTコア数 68(第2世代) 48(第2世代) 46(第2世代) 40(第2世代)
Tensorコア数 272(第3世代) 192(第3世代) 184(第3世代) 160(第3世代)
ブーストクロック 1710MHz 1245~1710MHz 1725MHz 1290~1620MHz
メモリバス幅 320bit 256bit 256bit 256bit
メモリ種類 GDDR6X GDDR6 GDDR6 GDDR6
メモリ容量 10GB 8GB/16GB 8GB 8GB
PCI Express 4.0 4.0 4.0 4.0
TGP(カード電力) 320W 80~150+W 220W 80~125W

ノートPC向けGeForce RTX 3080スペックを見ると「ブーストクロック」は1,245~1,710MHz、GPUの消費電力を示す「GPU Subsystem Power」は80~150W超と幅があり、高度な電力管理の「Dynamic Boost 2.0」や動作音管理の「WhisperMode 2.0」といった機能が盛り込まれた第3世代Max-Qテクノロジへの対応も製品によって異なる。

「G733QS」はどうだろうか。ブーストクロックは最大1,645Hz、カード電力は130Wに設定されている。フルパワー仕様ではないが、かなり高クロックで動作することが分かる。ビデオメモリは16GBとこの部分はデスクトップ版よりも上だ。これなら重量級ゲームでもビデオメモリ不足になることはないだろう。また、CPUとビデオメモリのやり取りの効率を高める「Resizable BAR」にも対応していた。

  • GPU-Zでの表示。ビデオメモリは16GB(GDDR6)で、ブーストクロックは最大1,645Hzに設定されている

  • NVIDIAコントロールパネルのシステム情報を見るとDynamic Boost 2.0やWhisperMode 2.0がサポートされているのが分かる。Resizable BARにも対応

なお、RTX 3080はPCI Express 4.0 x16接続対応だが、NVIDIAコントロールパネルのシステム情報を見る限り、PCI Express 3.0 x8接続になっていた。後述するベンチマーク結果を見る限り、帯域不足にようには感じられなかったので、問題はないのだろう。

  • RTX 3080はPCI Express 3.0 x8接続と表示

CPUもパワフルだ。Zen 3アーキテクチャ採用のRyzen 9 5900HXを搭載。8コア16スレッドでブーストクロックは最大4.6GHzとなっている。16スレッドなのでマルチスレッド処理に強いのはもちろん、Zen 3はシングルスレッド性能に優れているのも特徴だ。ちなみにデスクトップ版のZen 3はPCI Express 4.0対応だが、ノートPC向けはPCI Express 3.0。高速なデータ転送による発熱を回避しているのかもしれない。

  • CPU-Zでの表示。8コア16スレッドで最大4.6GHz動作。TDPは45Wだ

メモリはDDR4-3200が32GBと高速大容量。ストレージはPCI Express 3.0接続のNVMe SSDが2TBと十分だ。

ディスプレイはサイズが17.3型で解像度はフルHD(1,920×1,080ドット)。映り込みのないノングレア(非光沢)タイプだ。リフレッシュレートは300Hzと超高速駆動に対応している。応答速度は3ms、sRGBカバー率は100%と色の再現性も高い。画面のチラつきを防ぐAdaptive-Sync(可変リフレッシュレート)もサポートする。

  • ディスプレイは17.3型のフルHD

  • リフレッシュレートは300Hzの高速駆動

インタフェースは左側面にUSB 3.2 Gen1×2、ヘッドセット端子、背面にギガビットイーサ、USB 3.2 Gen2(Type-C)×1、USB 3.2 Gen1×1を搭載。右側面にインタフェース類は用意されていない。

  • 左側面は左からUSB 3.2 Gen1×2、ヘッドセット端子

  • 背面は左からギガビットイーサ、USB 3.2 Gen2(Type-C)×1、USB 3.2 Gen1×1

  • ACアダプタは240W。サイズが大きいのは、ハイスペックなゲーミングノートの宿命言える

キーボードも特徴の一つ。光学メカニカルスイッチが採用されており、薄型ながらしっかりとしたクリック感があり、気持ちよくキー入力できる。光学式なので、チャタリング(誤動作)の心配が無く、クリック1億回という高い耐久性を持つのも魅力。キーボードの交換が難しいノートPCに置いては非常に心強いところだ。

  • 英語配列のキーボード。音量やマイクのオン/オフボタンが独立して用意されているのも便利だ

  • キーピッチは筆者の実測で約19mmと十分広い

  • ノートPCでは小さくされがちな、矢印キーが大きいのもうれしい

  • タッチパッドは大きめで、全体がクリックになっているタイプ

ゲーミングPCらしくライティングにも凝っている。キーボードに加えて、底面にもRGB LEDが内蔵されており、光らせるとフワッと浮いているような雰囲気を醸し出す。総合ユーティリティの「Armoury Crate」を使えば、発光色やパターンの変更も可能だ。

  • キーボードにRGB LEDを内蔵

  • 底面にもRGB LEDがあり、浮いているような雰囲気を出す

  • Armoury Crateで発光管理が可能だ

  • Armoury Crateにはゲームでのボイスチャットに便利な。雑音をカットするノイズキャンセリング機能も搭載

また、ユニークなのがNFCキーの「Keystone II」。USBメモリのようなキーで、本体の右側面に取り付けスロットが用意されている。スロットへの挿入に、パフォーマンスの切り替え、指定したアプリの起動といったアクションを割り当てられる。まら、キーを抜くことでWindowsアカウントをロックさせることも可能とセキュリティとしても使用可能だ。

  • NFCキーの「Keystone II」。右側面のスロットに挿入して使用する

  • キーを挿入したときの動作をArmoury Crateで設定できる

  • 持ち運び用の専用ホルダーも付属している

  • ヒンジ部にあるArmorキャップは交換が可能で標準のグレーのほか、シルバーと半透明タイプが付属する