映画『461個のおべんとう』の公開記念舞台挨拶が7日に都内で行われ、井ノ原快彦、道枝駿佑、森七菜、映美くらら、阿部純子、兼重淳監督が登場した。

  • 左から井ノ原快彦、道枝駿佑

    左から井ノ原快彦、道枝駿佑

同作はヒップホップバンド・TOKYO No.1 SOUL SETの渡辺俊美によるエッセイ『461個の弁当は、親父と息子の男の約束。』(マガジンハウス刊)の映画化作品。長年連れ添っていた妻と別れることを決意した鈴本一樹(井ノ原)が、息子・虹輝(道枝駿佑)と「3年間、毎日お弁当を作る!」「3年間、休まず学校へ行く」という約束をし、ライブの翌日も、二日酔いの朝も、早出の朝も怒涛のお弁当作りをする。

「今一番ありがとうを伝えたい人」という質問には、道枝が「パパ」と答え、井ノ原は「ミーのこと?」と反応。道枝は「タメ口協定に感謝してますし、バラエティ番組に出させていただいた時もフォローしてまとめてくれて、本当の親子のように接してくれた」と感謝する。井ノ原が「映画を撮影してた時よりも距離が近くなって、彼のグループの子たちも息子の友達みたいな気持ちになっちゃって」と語ると、道枝が「僕だけタメ口はおかしいから、『なにわ男子全員タメ口でいいよ!』と言われて、それをなにわ男子全員に伝えたら即答で『無理!』と返ってきました。『使われへん!』って」と明かした。

兼重監督は「僕もユーです」と言うと、道枝は「ジャニーさん入ってます?」とツッコミ。監督は「イノッチは、クランクイン前に怪我をしていて、それを『大丈夫だからみんなに言わないほしい』と言って、痛々しかったんですけど、そのシーンを見るたびに胸が痛んで」と振り返る。「主役でこんなに寄り添ってくれたのは初めてで。メールをいただいたんですよ。『僕の人生で出会うべき人に出会えたと思いました』と書いてくれたんですよ。思わず涙が……」と語った。

その後、MCの「そろそろフォトセッションに……」という言葉を合図に、道枝が「ちょっと待った〜!」と乱入し、サプライズで井ノ原への手紙を読む段取りとなっていたが、道枝は全く気づかず、取材陣からも笑いが起こる。MCから「何かあるんですよね?」と話しかけられた道枝が、「何か? 何か? ああああ!」 と気付き、「ちょっと手紙を書いてきまして、パパに」と宣言すると、井ノ原は「マジかよ! 40代の秋は涙もろいからやめて! こんな季節にやめて!」と喜ぶも、手紙を取りに行った道枝は2分ほど戻ってこない。

井ノ原は「あいつ今書いてんじゃねえの!?」とつっこむも、ようやく戻ってきた道枝が手紙を読み始めると、目には涙が。手紙を聞き終わり、目元を拭った井ノ原は「嬉しい。本当に、クランクアップするときに、自分の息子と引き離されるような気持ちになりました。それは君の頑張りだと思いますし、支えてくれたみんなのおかげだと思っています」としみじみ。「今日のすべての出来事、手紙を忘れちゃうところとかも含めて全部君で、それはとても素敵なことで、すべてスムーズにいけばいいんじゃないなってことを実現してくれる。後輩ですし、息子役だったけど、とても尊敬してます」とメッセージを送った。

最後の挨拶でも、井ノ原は「彼(道枝)が『なんだっけなんだっけ』って袖にはけていく姿を見て、『これぞ人間!』と思うし、そういうことを含めて、人間ってあったかいなってことをこの映画に教わったような気がします」とコメント。また本当のフォトセッションの後では、「パネルを持つところが(裏に)あるのに、ミッチーはずっと上を持ってて、途中で『あっここにある!』って持ち替えてましたよ。かわいいですね」と暴露し、道枝は「言わなくていいから!」と訴えていた。

道枝駿佑 手紙全文

パパへ。やっと待ちに待った映画が公開されたね。撮影から約1年が経ちました。今回僕は映画に初めて本格的に出演させていただいたので、最初の方はどんな感じなのか不安と緊張でいっぱいでした。けど、パパが撮影前からたくさん連絡をとってくれました。そのおかげで撮影でもキャストの皆さん、スタッフの皆さんたちともすぐになじめて、みんな一丸となっていい作品作りができたと思っています。

僕はどちらかというと内気な方だけど、パパは疲れていたり忙しいはずなのに撮影の合間でも僕を気にかけてくれて、たくさん話しかけてくれたり、周りを盛り上げてくれたり、本当に感謝してる。お昼ご飯も毎日一緒に食べてくれたね。パパとくだらない話をしたり、ドローンの話をしたり、ギターの話をしたり、その時間が本当にこの映画のようで、他愛のない時間だったけど、あの時間は今思えば本当に大切な時間でした。

パパの背中を見て撮影したこの作品で、僕も少しはパパのように成長できたかな。もしこれから20年後30年後、父親役を演じる作品に出会えた時は、絶対超えられないパパの背中かもしれないけど、パパの背中を思い出して、この経験を生かして、『461個のおべんとう』みたいな作品になるように頑張るから、その時は僕もタメ口協定を結ぶね。そしてこの舞台挨拶で、パパから、井ノ原さんに戻ります。パパの優しさに甘えちゃいけないから。でも、僕が悩んだときや苦しい時は、「大丈夫、全部うまくいくよ」って、またパパになってね。ありがとう、パパ。そしてありがとうございます、井ノ原さん。道枝駿佑より