JVCケンウッドは、ビクターブランドの新製品として、独自の頭外定位音場処理技術「EXOFIELD(エクソフィールド)」を搭載したワイヤレスシアターシステム「EXOFIELD THEATER XP-EXT1」を8月上旬に発売する。価格はオープンプライスで、店頭価格は税別10万円前後。

【お詫びと訂正 7月21日 14時5分】製品画像が誤っていたため、記事初出時の画像を正しい製品画像に差し替えました。

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    ワイヤレスシアターシステム「XP-EXT1」

XP-EXT1は、個人の聴覚特性(音の聞え方)を測定するマイクを内蔵したワイヤレスヘッドホンと、頭外定位処理などを行うプロセッサー部で構成。Dolby AtmosやDTS:Xといったオブジェクトオーディオ信号に対応しており、EXOFIELDの技術を用いて処理した音声信号をヘッドホンにワイヤレス送信する仕組み。

1月に米ラスベガスで開催された「CES 2020」で初公開されていたもので、今回正式に国内発売が決まったかたちだ。

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    CES 2020で展示されていたEXOFIELD THEATER「XP-EXT1」

ヘッドホンリスニングでもスピーカーで聴いているかのような音場を、個人特性に応じた最適な音場効果で再現する、頭外定位音場処理技術「EXOFIELD」を搭載。これにより、本格的なマルチチャンネルスピーカーシステムを組むことなく、時間や音量を気にせずにリアルな定位感で映画や音楽・スポーツなどのコンテンツを楽しめるとする。

初回生産限定特典として、Dolby Atmos体験デモディスクと、「ボヘミアン・ラプソディ」(4K Ultra HD + 2Dブルーレイ2枚組)を同梱。Ultra HD ブルーレイ再生対応機器Dolby Atmosの空間表現を「EXOFIELD THEATER」で体感できる(なくなり次第終了)。なお、Ultra HD ブルーレイ再生対応機器が別途必要となる。

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    スピーカーの音場定位イメージ(左)と、EXOFIELDヘッドホン(右)の音場定位イメージ

ヘッドホンでもスピーカーで聴いているような音を実現

既報の通り、EXOFIELD(エクソフィールド)は、JVCが2017年に発表した音響技術。通常のヘッドホンでステレオ音源を聴くと、頭の中でボーカルや楽器などの様々な音が鳴り響くような感覚を覚えるが、この状態は自然な音場表現とは言い難い。

EXOFIELD技術は、音の発生源との距離感や定位感を明確にし、ヘッドホンで音楽を聴いてもスピーカーで聴いているような自然な奥行き感・距離感を感じられるようにするもの。2017年5月に、音場特性カスタムサービス「WiZMUSIC」(ウィズミュージック)として商品化されている。

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    頭外定位音場処理技術「EXOFIELD」の概要

新製品のXP-EXT1では、従来のスピーカー音源(ステレオ2ch)に加え、新たにDolby AtmosやDTS:Xなどのマルチチャンネル音源(7.1.4ch)の再生に対応。従来のステレオ2chや5.1chなどのコンテンツも7.1.4chにアップミックスすることができ、開放感のある全方位の広い音場で楽しめるという。EXOFIELDは任意でオン/オフできるほか、プロセッサー側で4つのサウンドモード(CINEMA/MUSIC/GAME/CUSTOM)を選ぶこともできる。

新開発の専用スマートフォンアプリと、ヘッドホン部に内蔵したマイクで個人特性を測定し、アプリ内のデータベースから最適なデータを抽出・生成することで、従来は専用のオーディオルームで行っていた個人特性の測定が自宅で簡単に行えるとする。ユーザーデータは最大4人分まで登録が可能。スマートフォンからイコライザ調整などのリモート操作も行える。アプリの対応OSは、iOS 11 / 12 / 13とAndroid 6.0~10.0。

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    専用スマートフォンアプリで個人特性を測定できる

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    CES 2020で展示されていたアプリ画面

ヘッドホン部は密閉ダイナミック型で、大口径40mm径の高磁力ネオジウムドライバーユニットを搭載。内蔵バッテリーで動作し、臨場感豊かでパワフルなサウンドが楽しめるという。遮音性と装着感を高めた大型のソフトイヤーパッドを採用しており、長時間のリスニングでも疲れにくく、快適なリスニングが楽しめるという。重さは約330g。

プロセッサー部にはHDMI入力3系統と出力1系統を備え、市販のテレビやBlu-rayプレーヤーと接続できる。HDMI入出力は4K対応のディスプレイやプロジェクターへのパススルー出力に対応。eARC機能にも対応し、ストリーミングデバイスから非圧縮のマルチチャンネル音声信号をテレビ経由で伝送できる。光デジタル音声入力端子やアナログ音声入力端子なども備える。

プロセッサー部とヘッドホン部の間は、2.4/5GHz帯デュアルバンドのデジタルワイヤレス伝送を採用。周囲の環境に合わせて音が途切れにくい伝送帯域を自動選択する。

プロセッサー部の本体サイズは266×154×30mm(幅×奥行き×高さ)、重さは約530g。ACアダプターが付属する。