13年ぶりに復活した日本テレビ系ドラマ『ハケンの品格』(毎週水曜22:00~)。正社員に対して物怖じせず、ズバズバ正論を繰り出していく篠原涼子演じる大前春子のスーパーハケンぶりはブランクを感じさせないが、何か物足りない感覚があった視聴者もいたのではないか。

その原因だった大泉洋演じる東海林武が、きょう15日放送の第5話から本格的に復活。第1話のエンディングで少し絡みを見せた東海林と春子だったが、「とっくり!」「くるくるパーマ!」の丁々発止が、よりパワーアップして繰り広げられる。

  • 大泉洋(左)と篠原涼子=日本テレビ提供

東海林は、営業事業部営業一課課長として、13年ぶりにS&Fの東京本社に復帰。北海道でおいしく痩せると評判のお菓子「黒豆ビスコッティ」を全国展開しようと、ダイエット効果を証明するデータと、100人の女性たちのアンケートを持って帰ってきた。

しかし、雑誌の取材をきっかけに、ダイエット効果のデータ改ざんが疑われ、栄養学の教授のお墨付きも怪しくなっていく。謝罪会見にまで追い込まれる東海林。アンケートは実際に行われ、偽りがなかったが、宇野部長(塚地武雅)は証拠隠滅のため処分を命じる。

東海林のアンケートへの思いを知る里中(小泉孝太郎)は、それらがシュレッダーにかけられたと知ってがく然。そんな中、北海道から「黒豆ビスコッティ」を作る小さな工場の社長が上京。春子は「このままだと工場がつぶれそうだからと飛んできた」と聞かされ…。

派遣社員を正社員の敵とみなしてきた東海林と、スーパーハケン・春子のバトルは、『ハケンの品格』に欠かせない名シーン。第5話では、冒頭からジャブを繰り出し合っていた2人だが、4分過ぎで一気に火がつき、「それはおまえだ!」に「大前!春子です」と返された東海林が「キタァー」と懐かしむ。前シリーズから見ている視聴者も思わず「うんうん」同意してしまうだろう。

また、大泉の天然パーマをイジるワードも「くるくるパーマ」に加えてバリエーションが増えている上、謎の擬音を突然発するなど、春子の攻撃力はさらに磨きがかかっている。そんな2人のやり取りに、派遣社員役の山本舞香、吉谷彩子が笑っている様子が映るが、それが演技ではない自然な笑顔に見え、小泉の表情もなんだかうれしそう。そして何より篠原が、水を得た魚のようにいつも以上に生き生きとしている。

当初は、スケジュールの都合で大泉の出演が危ぶまれていたが、脚本の中園ミホ氏がマイナビニュースのインタビューで「私は最初から大泉さんがいると思って書いていました。このドラマは、春子と東海林と里中がいないと成立しないと思っていますから」と言っているとおり、東海林が欠かせない存在であることが、開始5分で証明される。

今回、東海林は大きなピンチを迎え、落ち込む場面が登場するが、そんな時も春子の攻撃を受けるとヒートアップ。里中に「東海林さん、やっといつもの調子戻ってきたね」と言われ、「おう、なんかあいつにキレると得体のしれないパワーが湧いてくるんだよ」と応えるが、それは役のセリフではなく、大泉洋としての言葉なのかもしれない。

“嫌よ嫌よも好きのうち”なのか、敵対心を見せながら何かにつけて東海林のことを気にかけてきた春子は、彼のピンチにどう対応していくのか。あらためて、『ハケンの品格』が復活したことを実感する回となっている。