14日午前(日本時間)の米英仏によるシリア攻撃を受け、テレビ朝日系『池上彰のニュースそうだったのか!!』が、同日の番組を急きょ、一部生放送に差し替え、池上彰氏が解説を行った。この舞台裏では、池上氏自らが「生放送やろうよ!」と提案していた。

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    池上彰氏=テレビ朝日提供

14日は、2時間スペシャルの放送日であると同時に、もともと28日放送分の収録日でもあった。午前11時半過ぎ、池上氏はスタジオに到着するなり、「シリアの話、やるべきだと思うんだよね。こんな時にさ、全然関係ない話してると間抜けじゃない? 生放送やろうよ!」と提案したそうだ。

テレ朝の丹羽敦子プロデューサーは「正直収録直前でしたし、当日放送分のVTRもようやく編集が終わったばかりのところでしたし、正直『えーー!』とは思いました(笑)」と本音を吐露しながら、「池上さんの『シリアのことを伝えたい!』という熱い思いもありましたし、ここはやるべきだろう、と。最終的にテレ朝の偉い人たちが判断し、急きょ生放送が決定しました。それがお昼の13時過ぎ。OAまで6時間あるかないか、という恐ろしい時間での判断でした(笑)」と裏側を打ち明けてくれた。

そして、今後の放送に支障が出るため、まずは予定していた28日分の収録を開始。その裏で、手の空いたディレクターが、夜の生放送のスタジオで出すイラストやCGの準備を進めていた。

丹羽Pは「生放送のちょっと前まで収録して、生放送。そしてまた収録、と(笑)。もちろん、その他編集や、生放送のための手続きもあるので、もう、大騒ぎです」というが、「『池上ニュース』のスタッフは緊急生放送に慣れてますから。わさわさした雰囲気を見たスタッフが『あ、今日生放送なんすね。何やればいいすか?』って感じで、みんな特に騒がず焦らず対応してくれました」と、意外な様子を紹介。

池上氏も、普段から収録の際、ほとんど台本を見ないため、「特に台本を作り込むこともなく、『こんな話をこんな感じでしましょう』と流れだけを作れば、あとは池上さんがしゃべってくれるので、そういう意味では楽ですね。生放送の内容打ち合わせなんて、30分くらいでした(笑)」と、あっけらかんと明かした。

報道番組であれば、こうした"緊急生放送"は、場合によっては10分で突入することもあるというが、『池上ニュース』のスタッフは、あくまでバラエティ番組の制作チーム。それだけに、丹羽Pは「その瞬発力はすごいな、と我ながら思います。もちろん、それを池上さんが最終的にまとめ上げてくれるから成立してるんですけどね」と感心していた。

ちなみに、28日放送分の収録ゲストは、全員生放送にも出演でき、「プライベートな予定が入っていた方は何人かいたようですが、皆さん都合付けていただいて、本当に感謝です」(丹羽P)。一方で、「もともと14日に放送するはずだった収録分に出演いただいたゲストの方たちには、出番が半分になってしまって、大変申し訳なかったです」とも話した。

そんな舞台裏の中で行われた収録は、次回28日(18:56~)に放送。韓国・北朝鮮の南北首脳会談が迫っているということで、意外と知らない北朝鮮と韓国に分かれた歴史から、これまでの核交渉をおさえつつ、今北朝鮮が何をしたいのか、何をしようとしているのかを解説していく。