『とんねるずのみなさんのおかげでした』『めちゃ×2イケてるッ!』といった長寿バラエティを一斉に終了させるフジテレビの4月改編。5日に都内のホテルで行われた説明会では、視聴率低迷が続く同局の反転攻勢への決意が、随所で見られた。

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    改編キャンペーン・イメージキャラクターの村田諒太選手

『極タウン』は挑戦的な試み

今回の改編キャンペーンのキャッチコピーは「変わる、フジ 変える、テレビ」。イメージキャラクターにはボクシング世界チャンピオンの村田諒太選手を起用し、ポスタービジュアルでは、パンチを繰り出す村田選手の赤いグローブが、おなじみの"目玉マーク"の中心に据えられている。同局をはじめフジサンケイグループのシンボルである同マークは、1985年に制定されてから30年以上使用されてきたが、このデザインをいじったビジュアルは今回が初めてだといい、今回の改編が"聖域"に踏み込んだことを象徴している。

タイムテーブル上での"聖域"の1つだった『めちゃイケ』の後番組『世界!極タウンに住んでみる』(毎週土曜19:57~)は局制作ではなく、IVSテレビ制作がメインで制作を請け負う。この"土曜8時"は、フジ躍進の象徴である『オレたちひょうきん族』も放送されていた時間帯で、『めちゃイケ』もそのプライドを胸に制作されてきたが、ここを外部の制作会社に"明け渡す"ことに、社内でも議論はあったようだ。しかし、同局幹部が口をそろえて「非常事態」を宣言する中、そうしたプライドに固執している場合ではないと判断が下された。

最近は『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ)のヒットから、類似企画が各局で増えているという指摘もあるが、『極タウン』について、立本洋之編成センター局次長兼編成部長は「町に本気で住み込むというのはチャレンジングな企画だと思っておりまして、実際に住んでみてどうなるか分からないというYouTubeなどを見ているネット世代に当たり前のことを、テレビでどう消化していけるかというのは、われわれとしても挑戦的な試み」と説明した。

若手登用意識も『AI-TV』終了、MCベテラン陣の指摘に…

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立本洋之編成センター局次長兼編成部長

『めちゃイケ』そして『みなさん』に対して、立本氏は「本当に感謝の念しかないです。この2つの番組というのは、入社当時から本当に好きな番組でしたし、目標というかベースになっている番組。これが自分が(編成部長)担当の時に終わってしまうのは本当に残念というか寂しいものはもちろんございます」と率直な心境を吐露。

一方で、「今のフジテレビの若手ディレクターやプロデューサー、編成の人間が、次のああいう番組を作っていかなきゃいけないんだという時代になっている。時代が変わっていますし、環境も変わっていますし、新しい時代に向けて、次に新しいことをやっていく」と、世代交代を推し進める意図があると語った。

しかし、次代を担う若手芸人たちによるバラエティ番組『AI-TV』(毎週月曜23:00~)は、わずか半年で終了し、同じ制作陣で深夜から出直すということも行われない。このことについて、立本氏は「若手のプロデューサー、ディレクターが芸人さんたちと築いた関係が、今すぐにというわけではないですけど、きっと次の新しい番組につながっていくんじゃないかなと思っています」と期待を示した。

また、夜帯新バラエティのMCを、石橋貴明(『石橋貴明のたいむとんねる』)、林修(『林修のニッポンドリル』)、梅沢富美男(『梅沢富美男のズバッと聞きます!』)、坂上忍(『直撃!シンソウ坂上』)、東野幸治(『世界!極タウンに住んでみる』)と、決して若手ではないベテラン陣で固めたことについては、「もともと若年層が得意な局ですので、そこを中心に幅広い層に見ていただける番組をとにかく作ろうということで、われわれの意識を変えたと思っております」(立本氏)と、"変わる、変える"が決して世代交代だけの意味ではないことを強調した。

今回の改編率は、全日(6:00~24:00)28.2%、ゴールデン(19:00~22:00)29.8%、プライム(19:00~23:00)29.5%で、立本氏は「昨年7月に(編成部長に)着任しましてから、全社的に一致団結して今回の改編に取り組んで参りました」と説明。キャンペーンのイメージキャラクターに村田選手を起用したのは、昨年チャンピオンになった際に発した「(みんな)あんまり好きじゃないかもしれないけど、フジテレビのみなさん、感謝してます」というスピーチを"叱咤激励"と受け止めたことも背景にあることを明かしている。