消費電力(グラフ61~65)

ここまでの結果は「なかなかRadeon RX Vega 64は健闘しているし、場合によってはRadeon RX Vega 56も悪くない」と思わせるものが多かったのだが、そうした気分に水をぶっ掛けるのがこちら。今回は以下の3パターン+待機時の消費電力の測定を行った。

  • 3DMark FireStrikeのDemo(グラフ61)
  • Metro Last Light Reduxの1920×1080pixelのベンチマーク(グラフ62)
  • The Divisionの3840×2160pixelのベンチマーク(グラフ63)

まずグラフ61~63を見てみると、Radeon RX Vega 64の場合、実効消費電力で軽く400W超えを達成しており、Radeon RX Vega 56も300Wを軽くオーバーしている。GeForce GTX 1080Xがどのケースでも300Wを超えないことを考えると、これはかなり「熱い」カードとして判断して問題ないと思う。

実はもともとRyzen Threadripperのベンチマークの最中は、GIGABYTEの500W電源を使っており、これですべてのベンチマークが問題なく動作したのだが、Radeon RX Vegaの場合は起動こそするものの、3DMarkのIceStormの途中でシステムが落ちる状況から脱せず、結局1000Wの電源に切り替えて無事にデータを取ることができた。

単にシステムの総電源容量だけでなく、PCIe向けの12V補助電源回路に十分なゆとりがないと、Radeon RX Vegaを安定して動かすのは難しいようだ。

グラフ64がそれぞれのベンチマーク実施中の平均消費電力の比較、グラフ65は個々の消費電力から、待機時の消費電力を引いた、実効消費電力差の比較である。グラフ65を見ると、Radeon RX Vega 64で308~325W、Radeon RX Vega 56ですら243~259Wと結構な消費電力増となる。

もちろん、この中にはCPUの負荷が増えることによる増分も含まれるから、全部が全部GPUの消費電力というわけではないのだが、Radeon RX Vega正式発表時の資料に出てくるRadeon RX Vega 64のBoard Power 295Wという枠一杯まで消費電力を増やそうとしているという傾向は明らかだし、Radeon RX Vega 56についても210Wで本当に収まっているのか? という疑問を抱きたくなるほど消費電力が多いことが再確認された。

ちなみにGeForce GTX 1080はいずれの場合も215W前後に収まっており、性能/消費電力比の比較に関しては明らかにGeForce GTX 1080に軍配が上がる。