いよいよフルマラソンがスタート

大会当日となり、朝6時前に会場に到着した。まだ夜が明けきっておらず、乾燥してひんやりとした空気に包まれている。街の明かりがちらほらとつき始め、水平線から朝日が漏れていた。

早朝のゴールドコーストはひんやりとした空気に包まれてる

フルマラソンのコースは美しい海岸線に沿っており、高低差はほとんどない。舗装された道路を走るので、初心者にもオススメとのことだ。まずサウスポート地区にあるスタート地点から南に約15km半走り、そこから折り返してスタート地点に戻る。スタート地点に戻ってきたら、今度はそのまま北に約6km走ってから折り返し、スタート地点に付近に戻ったところでゴールとなる。長さ42.195kmのフルマラソン。まさか自分が走ることになるとは……。

マラソン会場には大量の人がすでに集合していた

会場では、すでに到着してストレッチをしている人や食事を取る人、記念撮影をしている人たちなどが待機していた。この人たちがみんなフルマラソンに出場するのか……。開始20分前となり、スタート地点へと向かう。想定完走タイムが短い順に先頭から並んでいき、筆者は最後尾付近でスタンバイした。

この貧弱な体で走りきれるだろうか

7時20分になり、いよいよマラソンがスタートした。制限時間は6時間40分。それまでにゴールしなければリタイア扱いとなる。そうは言ってもこちらはマラソン初挑戦。飛ばしすぎて、10km程度でばててしまっては意味がない。走るスピードは、早歩きよりちょっと速いくらいを維持することに努めた。

7時20分になり、マラソンがスタートした

スタート地点からゴールド・コースト・ハイウェイを南に進み、ナラン川を渡る。川を渡りきったら、ウォーターウェイズ・ドライブに入りそのまま、メイン・ビーチ・パレードに合流してそのまま南下していく。スタートしてから2kmちょっと。ここでようやく左手にメインビーチが見えてきた。美しい海岸線からは朝日が昇っており、これから長い道のりを走っていくランナーを鼓舞しているようだ。

1kmごとに標識が建てられている。これが42kmになれば間もなくゴールだ

走っている途中にすれ違った「マットレスマン」(勝手に命名)。今後彼とは何度もコース中に出会うこととなった

スタートしてから20分程度では、まだ夜は明けきってない

2kmを過ぎたあたりで、ようやく海岸線が見えてきた

水平線から昇る朝日を見ながら走れるのはぜいたくだろう

2kmを過ぎたあたりで、初めてウォーター・ステーションを発見。「ゴールドコースト・エアポート・マラソン」では、5kmごとにリフレッシュメント・ステーションが用意されており、リフレッシュメント・ステーション間の中間地点にウォーター・ステーションが設けられている。リフレッシュメント・ステーションはスポーツドリンクと水、ウォーター・ステーションは水のみを配布していた。

5km地点のリフレッッシュメント・ステーションでは、スポーツドリンクを配っていた

5kmを越え、海岸線の絶景を見ながら走る

海岸線をひたすら走っていくと言っても、その景観は変わっていく。5km地点のサーファーズパラダイスをあたりを過ぎていくと、市街地に入っていった。すれ違うカフェを見てみると、朝食をとりながらランナーを応援している人たちがちらほら。うらやましい。次は筆者もそこからマラソンを見たいものだ。

海岸線を走っていくと市街地に入っていった

触るとパワーアップするきのこを掲げている少女がいた

ちなみに8kmを過ぎたあたりで、反対車線からすでに折り返した先頭集団とすれ違う。待ってくれ。さすがに速すぎないか? まだ1時間もたっていないのに、15km以上差がついているではないか。すれ違った先頭集団は、文字通り風のように去っていった。

向かいから先頭集団が走ってきた。速すぎる……

市街部の次には、閑静な住宅街が見えてきた。ここでひとまず海岸線とはお別れだが、近所に住む人たちの応援に励まされた。ゆっくり走り続けてようやく、10km地点を通過。思った以上に苦しくない。なんだまだまだ走れるじゃないか。

ビルやショッピングモールが並ぶ市街地を抜けると、住宅街に入っていった

1時間17分で10km地点を通過

15km付近で心が折れそうになる

マラソンの恐ろしいところは、「結構走っただろう」と思っても全然進んでいないことだ。そのギャップにぶつかった途端、心が折れて走り続けることが苦しくなる。

心が折れそうでも絶景が待っている

筆者がそのギャップに初めてぶつかったのは、折り返し地点の手前くらいだ。おかしい。15kmを通過した先に折り返し地点があるはずなのに、全然見当たらないじゃないか。そう思った途端に足が急に重くなる。そういえば腕を振り続けて痛い気がする。10km以上走ったんだから、もう十分だろう。ここで止めてしまおうか……。

15kmを通過した。もう間もなく折り返し地点が待っているはずだった

そこから10分程度走ったところで、ようやく折り返し地点。ここを折り返してスタート地点に戻れば30kmだ。そこまでならなんとか走れそう。ちょっとポジティブな気分になってきた。目標までの距離がなんとなく掴めて来たら、足取りも軽くなる。

心が折れそうになっていたとき、ようやく折り返しが!!

ポジティブな気持ちを意識したまま、20km地点を通過する。さらにそこから1km近く走れば、ハーフマラソンの距離。1度は心が折れかけたものの、なんとかハーフマラソンは走り切った。ここでゴールしたらすごく気持ちいんだろうなあと思うが、フルマラソンはここでようやく折り返し地点だ。

これまで走ってきた街並みを反対から見ると、新鮮な気持ちになれる

子どもからハイタッチを求められる。まるでヒーローにでもなったかのようだ

道端に待っている人から元気をもらえるのが、シティマラソンの醍醐味だ

2時間27分で20km。人生で初めてこの距離を走った