今回のスペシャルについて、アンケート回答者の自由記述をひも解くと、高満足度の理由に、ナスDの活躍が次々にあげられた。「ナスDが最高に面白い」(42歳男性)、「ナスDで何度も爆笑」(22歳男性)、「面白い番組みっけ。ナスD最高」(41歳男性)と、番組に寄せられたポジティブな回答のほとんどにナスDへの言及がある。

番組MCの大石絵理(左)とバイきんぐ・小峠英二

また、放送がスタートした4月以降のこれまでのレギュラー回を含めた15回(4月11日~7月11日放送分)を振り返ると、ナスDが登場した計11回の平均満足度は3.89なのに対し、残りのナスDが登場しない計4回の平均は3.44と極端に低い。登場しない回の自由記述では「ナスDが出ていなくてがっかりした」(44歳女性)、「ナスがみたかった」(46歳男性)といった声も多く、どれだけ視聴者がナスDを求めている(=視聴者満足度を高めている)かが分かる。

それゆえに、さらなる人気を獲得するには課題もある。先に述べたように、ナスDが登場する「部族アース」以外にも視聴者が満足できるような人気コーナーを作ることはもちろんだが、視聴者の感想をみると、2日のスペシャルに向けて盛り上げを図ったレギュラー放送に対しては、不満の声も多く見られた。

「気絶SPと銘打っておいて前回と同様中途半端な所で終わってしまい、面白い番組だけにこういった作りどうなのか」(29歳男性)、「面白いのに煽るだけ煽って次週に持ち越した内容があって詐欺に思えた」(34歳女性)など、スペシャル前の煽(あお)り演出が視聴者の不満を募らせ、番組好感度を下げてしまったようだ。

いずれの回答も番組内容には満足しているだけに、それ以外の演出に不満が出ているのはもったいない。急上昇している番組だからこそ、新規視聴者のために復習できる回や、視聴者をより引きつける演出も必要だろう。だが、人気番組になるには新規視聴者と同じだけ、それまでのファン視聴者も満足させるものにしなければならない。そのバランスが最も大事と言っていい。

この番組は、破天荒なディレクターが活躍するというバラエティでもあるが、「アマゾンの実態を見て私たちの知らない世界を見た。幸せとは何だろうと考えさせられた」(46歳女性)と言った声もあるなど、知られざる部族について、その生態や闇までうかがい知れる"教養"も得られるという、これまでになかった画期的な番組。視聴者が求める"唯一無二の素材"を出し惜しみすることなく、今のうちに多くのファン視聴者を獲得できれば、国民的ヒット番組になる日も近い。

『陸海空 こんな時間に地球征服するなんて』(テレビ朝日系、毎週火曜23:15~)
「ミステリー」「豪華客船」「釣り」「ドローン」「部族」の5つのルートで、芸人たちがガチンコ取材するリアル冒険バラエティ番組。ナスDが旅する「部族アース」は、実はお笑いコンビ・U字工事がメインのレポーター。