待たれる視聴者からの質問コーナー

あらためて2日のトーク内容を振り返ると、8年間のブランクはほとんど感じられなかった。浜田が「日テレのエレベーターが全然来ない」と不満をこぼしたあと、すかさず松本が「それよりTBSの守衛めっちゃ遅ないか?」と、話を変える自然な流れ。松本の十八番とも言える「ピッチャーが最強でゴリラにも勝てる。大谷翔平がタイムスリップしたら徳川家康にも勝てる」という妄想話。浜田が松本の頭をたたいたり、ケツキックしたり、笑いをこらえたり…「『ガキ使』のフリートークが戻ってきた!」と感じた人は多かっただろう。

さらに、家族をネタにすることに抵抗があった松本が、「娘から35-17(の計算式)をぶつけられてヒザがガクガク。『答えはない』と言った」「娘には『人をたたいたらダメ』って教育するじゃないですか。『でも、パパはいつもたたかれてるよね』って(娘に言われる)」とトークに交えていた。その心境は本人にしか分からないが、何かしらの変化があったことは間違いない。

この日はフリートークのみを放送したが、翌週の9日は「ゴルフコースに池いる?」をテーマに3分程度。16日、23日の放送ではフリートークがなかったが、きょう30日は視聴者からの質問コーナーも復活する。これが戻ってきてこそ「『ガキ使』のフリートーク」と言え、今ごろコアなファンたちは質問を考えているだろう。

このタイミングでの復活は相応しかった

少し見方を変えると、松本は今年1月から思い切ったコメントを放っていた。『ワイドナショー』で芸能界の慣習にメスを入れるようなコメントを繰り返し、『ダウンタウンなう』でも自由な発言を連発。私のところにも、「スタッフたちが爆笑と苦笑いを繰り返しながら対処していた」という現場の声が届いていた。

一方の浜田も、『プレバト』(MBS・TBS系)、『浜ちゃんが!』(読売テレビ・日テレ系)、『芸能人格付けチェック』(ABC・テレビ朝日系)などの単独MC番組で見せるフリートークに衰えは見られない。それだけに、この春がフリートーク復活のタイミングとしては相応しいとも感じる。

かつてフリートークのトップに君臨していたダウンタウンの復活。その先に待っているのは何なのか? 「2人の動きに呼応して、とんねるずやウッチャンナンチャンも、フリートークの場を作ってくれたら…」と思っている人は多いだろう。

■木村隆志
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者、タレントインタビュアー。雑誌やウェブに月20~25本のコラムを提供するほか、『新・週刊フジテレビ批評』『TBSレビュー』などに出演。取材歴2,000人超のタレント専門インタビュアーでもある。1日のテレビ視聴は20時間(同時視聴含む)を超え、ドラマも毎クール全作品を視聴。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』など。