第2次世界大戦前後、国産自動車の開発と販売に尽力した男たちがいた! 本作は、TBSが威信をかけて放つスペシャルドラマの続編『LEADERSII』(3月26日21:00~23:24)。今夜の放送を前に、本作を手掛けた制作陣の1人、伊與田英徳プロデューサーを直撃した!

主人公・愛知佐一郎役の佐藤浩市(右)と山崎亘役の内野聖陽(左)

ストーリーの軸を開発から販売の世界へ

このドラマは、2014年に二夜連続で放送された『LEADERS』を別の視点から描く続編だ。前作の主軸は、国産自動車の開発に人生を懸けたアイチ自動車の愛知佐一郎(佐藤浩市)ら製造チームの物語だったが、今回は佐一郎を販売面から支え続けた男たちの熱きドラマが展開される。

ローマは一日にしてならず。史実に基づき、日本の製造業の夜明けにスポットを当てた『LEADERS』は大いに反響を呼んだが、その裏側にもこんなに濃厚な営業マンたちのドラマがあったのだ。

「パート2を作る前にパート1を見直したんです。1には労働争議で生きるか死ぬかみたいなエピソードも入っていて、2はこれに勝てないんじゃないかと思ったけど、2は2で人が亡くなるエピソードがなくてももしっかりとした友情や人々の絆、思いが語られる話になりました」と伊與田氏。

「営業の人たちがいなかったら、アイチ自動車は続けられなかった。もちろん国産車を作る技術者も必要だけど、情熱をもって売る人たちも重要なんだと思いました。彼らはその頃、『とんでもない』とか『バカげている』と言われながらも、20年後、いや50年後を見据えたビジョンで、販売網を全国に広げていったんです。先見の明がある戦略は本当にすごい。実際、そこを調べていくと、いろんなドラマがありました」と熱く語る。

豪華新キャストの加入と主演・佐藤浩市への信頼

新キャストとして、佐一郎に惚れ込み、アイチ自動車の販売店第一号・日の出モータースの支配人となる山崎亘役を内野聖陽が、山崎の部下・日下部誠役を東出昌大が、若草自動車販売からアイチ自動車に移籍する菊間武二郎役を大泉洋が演じる。そのほか、郷ひろみ、尾上菊之助、菅野美穂、山崎努らそうそうたる布陣となった。

『LEADERS』に続き、主演を務めた佐藤浩市には全幅の信頼を寄せる伊與田氏。「浩市さんは全体を見据えた上で芝居をされている。前回に引き続き、今回もそう思いました」と称賛した上で、強く共感したという佐藤の言葉を明かす。

「『ハリウッド映画や外国映画、ネットのドラマなどたくさんあるけれど、僕にしかできない日本人のドラマがあるし、それをやるしかない』という意味合いのことを浩市さんがおっしゃられていて。まさに僕もそうだなと思っています。僕らができることをちゃんとやり、それがもし世界で通用したらいいなとは思うけど、最初からそう簡単にはうまくいかないですから、目の前のチャンスを一つ一つをちゃんとやれたらいいなと。このドラマはまさしくそういうドラマですね」

後半のキーマンとなる大泉扮する菊間武二郎が、佐一郎について「彼はこの国の50年先を照らすヘッドライドだ!」という台詞が心に刺さる。「ある種、決め台詞的なものに思えるのかもしれないけど、それを言うことによって感動してもらうというのはおかしな話で。まずはキャラクターがあり、その積み重ねでぐっと決まる瞬間があるということだと想います。もちろん大泉さんが菊間という役にのり移って演じてくれたからこそ伝わるんだと思います」

しっかりと引き継がれた脚本のバトン

「脚本でいえばパート1がしっかりしていたからこそ、そのキャラクターを引き継ぐ方はプレッシャーも大きかったと思います。八津(弘幸)さんはそのバトンをちゃんと引き取って走り抜けてくれたという感じがしますね。八津さんは確かにすごいと思うけど、橋本(裕志)さんが引いてくれた本ラインがあったからこそなんです。

その上で、さらにパート2について言及。「営業マンたちも頑張って佐一郎を支えていたことがわかります。もっといえば下請け会社のみなさんもそうで、 ドラマでは“協力会社”という言葉を使っていますが、普通なら自社で全部やろうとするところを、スキルの高い技術者の力を借りてそこをしっかりと伸ばした。それがあったからこそ、アイチひとり勝ちではなく、アイチを中心に自動車産業が発展していき、日本の経済を支えていくことができたんだと思います」

ドラマ作りへの情熱と信念

TBSのドラマといえば、恋ダンスが社会現象にもなった『逃げるは恥だが役に立つ』は回を追うごとに右肩上がりに視聴率を上げていき、最終話では20.8%という高視聴率をマークした。高視聴率を叩き出した番組については、社内で分析したりするのだろうか?

「分析まではしないかもしれないけど、僕は気になるからもちろん観ます。ただ、結局何がどうなるかはやってみないとわからない。数字は気になるけど、かといってそれがすべてではないというか。もちろんたくさんの人に観てもらえるとうれしいし、『逃げ恥』の時もTBS自体が盛り上がっている感じがして、自分たちも負けないで頑張ろう!と思ったのも事実です。ただ、最後は自分が面白いと思ったものを信じてやるだけですね」

伊與田氏のドラマ作りにかける思いは熱い。「そういう意味では、みんなの姿勢は昔から変わっていないと思います。目の前に来たボールを打って必死に走ること。僕はいろんなドラマがあっていいと思うし、いろんな考え方があっていい気がします。今までいろんなドラマを作ってきたし、今回はちょうどこの昨品と出会えて良かったという気はしますが、今後も目の前にチャンスをいただければ一つ一つ全力でやらせていただくというだけです」

■プロフィール
伊與田英徳(いよだ ひでのり) 1998年、制作会社からTBSに中途入社。『ヤンキー母校に帰る』(03)や『新参者』(10)、近年では、『半沢直樹』(13)、『ルーズヴェルト・ゲーム』(14)、『流星ワゴン』(15)、『下町ロケット』(15)など、話題作を続々と手掛けている。

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